隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1716.花野に眠る

2017年02月28日 | 本格
花野に眠る
読 了 日 2017/02/28
著  者 森谷明子
出 版 社 東京創元社
形  態 単行本
ページ数 355
発 行 日 2014/11/28
ISBN 978-4-488-02743-8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

雲の中からさす陽の光が、春霞の様相を示して、いよいよ春が来たか、そんな感じの今朝の雰囲気だ。
春に三日の晴れなしなどという諺の通り、何度も通り過ぎる春の嵐がどうやら治まったか。諺に構わず少しすっきりした晴れの日が続いてほしい。すっかり寒がりになってしまった僕だが、灯油代節約のために少しは我慢をしなければならないのがつらいから、暖かな春日和が恋しいのだ。
まあそんなことを言ってる間に、梅雨が来て、暑い夏が来て、と季節の巡りがだんだん早く感じられるのも年寄りの感覚だろう。2月も今日で終わり、明日からは待っていた春3月が始まるが、12日行われる*天羽支部会に配布する会報がまだ固まっていない。それを考えると、早すぎる時間を少し巻き戻したくもなる。
今日はそのための資料集めに、午後太陽のしずくに行くつもりだ。4月から始まる平成29年度の新しい役員に関する資料も整っていないから、法人本部に確認する必要もあり、何やかやと動作が鈍くなった僕を追い立てる。

 

*天羽支部会とは、社会福祉法人薄光会(富津市湊に本拠を持つ)の事業所の一つであるケアホームCOCO(ケアホーム6か所を持つ事業所)の入所者と、同じく薄光会の生活介護事業所・太陽(ひ)のしずくを利用する在宅介護の利用者の保護者・家族の会のことである。

 

 

 

朝・昼・晩と3杯のコーヒーが長いこと僕の習慣だったのが、ここ1週間ほど夕食後のコーヒーを身体が欲しなくなった。夜のコーヒーは眠れなくなるという人もいるが、僕は今までコーヒーが睡眠に影響することはなかったから、遅い時間にもコーヒーを飲むことはよくあった。
ところが最近夜の読書時間が短くなったこともかかわっているのか、読書に付き物のように飲んでいたコーヒーを欲しいと思わなくなったのだ。別に体調が悪くなったわけでもないのに、こうした趣向の変化は今までにもなかったわけではなく、突然酒が飲めなくなったり、頭痛持ちがいつの間にか治っていたりと、そんな体質の変化ともいえることを幾つか経験している。
余分なことだが、僕は食事の栄養バランスなど全く気にしたことはなく、食べたいものを食べ飲みたいものを飲んでてきて、それで具合が悪くなったことはないから、身体の要求の赴くままに飲んだり食べたりという具合だった。食事の好みについても全くと言っていいほど僕にはこだわりがない。何でもうまいと思って食べられることを一つの特技だとも思っているほどだ。
コーヒーについても僕はあまり味について、好みがあるわけではなく、保存の仕方や淹れ方に一工夫をすることで、おいしいコーヒーを飲んでいるという実感を持っている。だから、強いて高級品を飲もうという気にはならない。まあ、それは僕の懐具合にもよるのだが。

前にもここに書いたことがあるかもしれないが、僕はスーパーで安い400g入りの大袋コーヒーを買って、10~12gの1杯分を小さなファスナー付きのポリ袋に入れて、20杯分をまた大きなポリ袋に入れてから、冷凍庫に保管している。400gのコーヒーは毎回およそ30数杯から40杯近くに分けられて、一日3杯ずつ飲んで2週間前後で飲み終わる。月に大体1kgほど飲む計算になって、随分飲むものだと思うが、それでも現役時代に比べればたいしたことはない。
それこそファミリーレストランやコーヒーショップに入れば、そこで数杯のお代わりをすることも、文字通り日常茶飯であったからだ。それが夜に限ってそれほど身体が要求しなくなったことで、少し体質の変化が起きたのか、と考えているのだ。でもまたすぐに飲みたくなる日が来るのだろうと、気にはしていない。

 

 

者・森谷明子氏の作品は、前々回に「矢上教授の午後」を読む前に、東京創元社から刊行された、「れんげ野原のまんなかで」を2007年に読んでいるが、読書記録にはごくごく簡単な文章が添えられているだけで、内容についてはよくわからない。今となっては僕の記憶は全くおぼろげだ。
最も僕の読書記録はどれも内容について詳しく書いてあるわけではないから、文章の長い短いはあまり内容にはかかわりないのだが…。しかし、面白く読んだということは覚えており、その後何度かその続きか、あるいは同様の作品が書かれていないか探したが、見つからず今に至っている。
本書はたまたま木更津市立図書館で、「矢上教授の午後」の隣にあったから一緒に借りてきたのだが、「れんげ野原のまんなかで」と同じ舞台のいわばシリーズ作品であることを知って、僥倖を勝ち得たような気になった。森谷明子氏は東京創元社が主宰する第13回鮎川哲也賞を「千年の黙 異本源氏物語」という作品で受賞して、その後源氏物語や紫式部に関する作品を書いているから、どちらかと言えばそちらの作品の方が、著者の表現したい方向の作品なのだろう。
いずれにしても鮎川哲也賞を受賞したからには、本格推理ということだろうから、いずれ読んでみようとは思っているが、今のところ僕は源氏物語そのものに、興味がないからそうした作品を読むのはまだ先の話になるだろう。

 

 

収録作
# タイトル
第一話 穀雨
第二話 芒種
第三話 小暑
第四話 白露
第五話 寒露
 

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1715.昆虫探偵 シロコパκ氏の華麗なる推理

2017年02月26日 | ユーモア
昆虫探偵
シロコパκ氏の華麗なる推理
読 了 日 2017/02/26
著  者 鳥飼否宇
出 版 社 光文社
形  態 文庫
ページ数 353
発 行 日 2005/05/20
ISBN 978-4-334-73877-X

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

年5月から始めた健康管理ノートへの記入だが、そのノートも自作である。今日は来月3月分のノートをプリントした。この後で製本するつもりだ。これについては前にもどこかで書いたような気もするが、まあ良いだろう。元々は高い血圧の管理をするためのものだったが、体温や排尿・排便なども記録するようになって、専用のノートを自作した。
僕の変な拘りのようなもので、時にはそこに記入するよりノートを作ることが目的となっていたり、いろいろ様式を考えることも一つの目的となったりするから、考えれば本末転倒もいいところなのだが、誰に迷惑をかけることでもないから、好きなようにやっている。
血圧管理表や、食事の時刻なども記入するため、表が多いから前はExcelを使っていたが、表の罫線がいまいち美しくない。そこで、3月分は罫線の太さを加減できるWordで作ってみた。Excelであれば関数を使って、日付などは毎月一発で変更できるから、手間なしでいいのにわざわざ手間のかかるWordでは、一か月分を作るのに2-3時間は要する。
それでも、そうした時間は半分以上楽しみでもあるのだ。

 

 

少し前に新しい年を迎えたばかりと思っていたが、あと2-3日で3月とはおどろ木桃の木(山椒の木)だ。
健康管理ノートを作って、毎日記録するようになって9か月が過ぎようとしているが、近頃血圧の数値が以前より低い数値で、安定している。自作のノートのお蔭だとは思はないにしても、定期的に何かをするということも少しは影響しているのかもしれない。
3月10日が次の受信日なので、ドクターに薬を種類かあるいは量を減らせるのかどうか、聞いてみようと思っている。新聞の書籍広告欄には「(高血圧の)薬は飲んではいけない」などというコピーがあったりするから、血圧の高いことよりそちらの方がほんの少しだが気になる。

 

 

供の頃の夏休みの宿題の一つに、定番ともいえる昆虫採集があった。田舎育ちの僕ももちろんやったことはあるのだが、いつも適当なところで妥協していたから、たいそうなものは出来ず一応の義理を果たしたという程度の出来栄えだった。中には驚くほど整然と並べられた標本のような箱を提出する者もあったが、あとで考えればとても小学生の作ったとは思えないもので、多分親の協力があったのだろう(とまあ、これは僕の僻みだ)。
本書に出てくる昆虫の生態はまるで図鑑を読んでいるような詳細なもので、昆虫に親戚でもいるのかと思うほどだ。僕はタイトルから名探偵・シロコパκ(カッパ)が昆虫の生態などから、事件を解決するストーリーだと思ったら、それが大いなる勘違いであったことが、読み始めてわかるのだが・・・。

多分BOOKOFFで中古本を買ったのだと思うが、かなり前の話でいつ頃だったのかは忘れた。そんな古い本がまだまだたくさんあって、図書館の新しい本を探すことはないと思うのだが、やはり新しく出た本の魅力にも抗しきれないのが、凡人の悲しいところだ。
かなり図書館の本が続いたので、手持ちの未消化をいくらかでも解消しようと手にしたのが本書だ。この積ン読を消化するというのも、僕にとっては簡単なことではない。まだ、200冊いや300冊はあるか、それらはすべて読みたいと思って、あるいはいずれ近いうちに読もう、そう思って買ったものばかりなのに、なぜ読まずに溜まってしまったのか?
一つにはBOOKOFFなどという安価な中古本チェーンが増えたということもある。いやいや人のせいにするのは良くないが、一方でそれらの店がなかったら、僕の読書生活は今のように1700冊を超えるといった状態にはならなかったろう。
そうした点で感謝こそすれ、積読本がたまって困るなどとはとても言えないのだ。

 

 

著者・鳥飼否宇氏の名前は、横溝正史ミステリ大賞の優秀賞を受賞したということで、以前から知ってはいたが、大賞受賞作ですらまだ読み終わって無い本が数ある状態だから、とても優秀作までは手が回らず、例によってそのうちになどと思うばかりだった。
前述のごとく、タイトルの昆虫探偵から僕が想像したのは、事件の謎を名探偵が昆虫の生態などによって、解き明かすということだったのだが、そんな僕の想像からは全くかけ離れた設定は、驚きの世界だった。
葉古小吉(はぶるしょうきち)なる男がある朝目覚めるとゴキブリになっていた、というのがストーリーの始まりだ。高校生の時にカフカの「変身」という小説を読んで、自分も虫になりたいなどと考えたことがあった小吉は、別に驚きも嘆きもなく、昆虫世界に溶け込んで、熊ン蜂のシロコパκ氏の探偵事務所に助手として勤務することになる。
昆虫の世界もいろいろと複雑な様相を見せるが、人間世界と異なる事件を名探偵が解き明かすのかと思えば、これがなんとも頼りない探偵で、助手のゴキブリ・ペリプラ葉古(昆虫の世界ではそう呼ばれている)も、そんな探偵の助手だから、同様にあまり優秀とは言えない。探偵事務所はいつも閑古鳥が鳴くありさまだが、それでもたまには依頼人も現れて、シロコパκ氏は自信満々に引き受ける。しかし・・・・。

下表の収録作のタイトルにミステリーファンは、どこかで見たようなタイトルだと思われるであろう。それぞれ著名なミステリー作家の作品タイトルのもじりとなっている。

 

収録作
# タイトル
第一話 蝶々殺蛾事件
第二話 哲学者の密室
第三話 昼のセミ
第四話 吸血の池
第五話 生けるアカハネの死
第六話 ジョロウグモの拘
第七話 ハチの悲劇

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1714.矢上教授の午後

2017年02月24日 | 学園ミステリー
矢上教授の午後
読了日 2017/02/24
著 者 森谷明子
出版社 祥伝社
形 態 単行本
ページ数 355
発行日 2009/07/20
ISBN 978-4-396-63321-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

の地方では春を待ちわびる気持ちが強いといわれるが、このところ続いた春の嵐がようやく収まって、穏やかな朝を迎えたと思ったら、空は一面の雲で覆われており、比較的温暖な当地方ではあるものの、同様に春を待つ気持ちは変わらない。そんなことを思うのが歳をとった証拠なのかもしれない。
時々歳をとった、あるいは年寄りだ、などとここに書いてはいるが、一方で心の底ではまだ77歳はそれほどの年寄りではないだろう!テレビなどでは、90歳を超えてもなお元気で農作業をしている人も見るではないか。と、そんな叱咤激励を自分にすることもある。しかし、もうどう見ても若いとは言えない歳になったのは、気力も体力も衰えていることで確かだ。
夕から宵にかけてパソコンの前に座っていると、無性に眠気に襲われる時がたびたびある。たまらずデスクに突っ伏してしまうこともあり、以前は考えられなかったことが起きている。

今は唯一の趣味となった読書にしても、日一日と昼の読書が長くなって、逆に夜の読書時間が次第に短くなっている。歳をとるとだんだん子供に帰るなどと言われるが、僕は、夜明けとともに起きて、日没には寝る、そんな古代の人間生活に戻っていくかのような気にさせられる。

 

 

作家にとってタイトルはどの程度の重要性を持っているのか知らないが、多分それは人によって違うのだろう。読者である僕にとっては、結構大事なことで、時にはそのタイトルで傑作ミステリーを見出すこともある。
傑作と言ってもあくまで僕の独断と偏見による判断なのだが、これと思ったタイトルが期待通りの面白さであったりすると、その喜びはひとしおで、もしかしたら僕は好みのストーリーを見分ける力があるのか!などと妄想を抱いてしまうことも。
森谷明子氏のこの作品もタイトルを見ただけで、読みたいと思った1冊だ。それでもそんなことを思ったのはもう何年も前のことなので、それほど切実な思いでもなかったのかと今になって思う。 1週間ほど前に木更津市立図書館で、森谷明子氏の著作の中から本書と「花野に眠る」の2冊を借りてきた。最近は割と頻繁に図書館に通うのだが、たくさんの蔵書を見て回るうちに、自分はどんな本を読みたいのかわからなくなってくる。

インデックス「も」のところを見ていて、森谷明子氏の著作の中に本書を見つけて、前述のごとくかなり前ではあるが本書のタイトルをみて、読みたいと思ったことがあるということに気付いた。

 

 

ょっと話がそれるが、先日NHKテレビの番組で渋谷道玄坂にある古書店の店主が、「90%以上の本が古本屋でないと読めない」というようなことを言っていた。普通の新刊書店では次々と毎日のように刊行される書籍で、少し前のものは返品する。だから書店にはほんの少ししか在庫としておけない、ということのようだ。
もっともな話で、僕は今更ながらこの17年余りに読んだその9割以上の本を古書店で賄ってきたことに気付く。前回も古書店にお世話になったことを少し書いたが、改めて数字にしてみてまた少し驚いたのだ。

ここ数か月はもっぱら図書館のお世話になっているから、古書店を訪れることはないが、いずれ古書店でしか手に入らない本も出てくるかもしれない。
先日、木更津市立図書館が2月21日から28日まで、蔵書整理のため休館ということを書いたが、そうして整理した後古い書籍や雑誌が無料で、あるいは安価に売り出されることがあるのは、やはり限られたスペースの中で、提供できる本は限られるということだろう。
僕は読み終わった本は原則としてまとめて、古書店で処分してきたが、それだって部屋のスペースが狭いことからで、できれば手元に取っておきたい本はたくさんあるが、致し方がないことなのだ。

僕は高校しか出ていないが、この歳になってたまに大学生活にあこがれを抱くことがある。特にこうしたストーリーを読んでいるときに、その思いが強くなって、今からでも経済的に余裕があれば、大学受験に挑戦してみたい!などと思うこともあるのだが、夢のまた夢だ。
そんな思いを持たせる物語は、著者の巧みなストーリーや登場人物のキャラクター造形により、リアルながらファンタスティックな世界を作り上げている。著者が創造したフィクションの世界で、生き生きと活動するキャラクターたちを映像でも見たいと思う。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1713.京都寺町三条のホームズ6 新緑のサスペンス

2017年02月22日 | 青春ミステリー
京都寺町三条のホームズ6
新緑のサスペンス
読了日 2017/02/22
著 者 望月麻衣
出版社 双葉社
形 態 文庫
ページ数 331
発行日 2016/12/15
ISBN 978-4-575-51917-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

の嵐(のような強風)が過ぎ去って当地方(千葉県木更津市)は今朝、穏やかな日差しが降り注いで幸せな気分になる。
だが、北日本にはまだ冬型の気圧配置が居座っているらしく、雪降り模様が続いているようだ。土地柄とは言いながら、大変な環境に同情の念を抱く。僕が同情したくらいでどうなるものでもないが、幸せな気分に浸ることが、なんとなく後ろ暗いような・・・・。
今日は2が3つも並んで、何か記念日があるのだろうと、ネットを見ると最初に出てきたのは、「猫の日」だった。222が「ニャン、ニャン、ニャン」と読めることから決められたようだ。他にもいろいろあったが、これはペットフード工業会なる団体が制定したらしい。
そんな事とは関係なく、3月12日に開催される天羽支部会(社会福祉法人薄光会が運営する事業所の一つ、ケアホームCOCOに暮らす障害者の保護者たちの組織)で、2年の任期が満了する役員が改選される。
支部長は留任がほぼ決まっているが、副支部長、会計、会計監査が都合で退任することから、3名の新たな役員が誕生する。天羽支部が他の入所施設と異なる点は、会員の半数くらいが在宅介護の障害者の親たちで占められている点だ。比較的若いお母さんたちの中から選ばれる役員だから、引き続き活発な活動が期待されるところである。
そうした思いとは別に、僕が担当している会報の作成がまだ、思うような進展を見せておらず、その点だけが僕のちょっとしたストレスとなっている。

 

 

著者が、あとがきで言っているように、今回は長編ストーリーだ。
従来は、目次に章割りのタイトルが列記されて、その一つ一つに事件があったので、著者としては時系列の話しながら、連作短編集という認識を持っていたようだ、というより連作短編集として描いていたらしい。僕はブログに書く読書記事では長編という認識だったが、読者としてはどちらでも一向に構わないが、言われてみれば今回のように冒頭の事件を追って、最後までその謎を追うという形は、初めてのことだ。
残された少ない人生の中で、いろいろ理屈をつけて読みたい本を見逃していたのでは、楽しいことを第一とした僕の読書生活が、つまらないものになってしまう。という、そんな気分からこのところ、同じ作者のシリーズ作品を続けて読むことが多くなって、実に楽しい読書の日々を送っている。
このシリーズも6巻目となり、昨年暮れの発行だから最新刊だ。

 

 

は本書も愛読者が多くて、図書館の予約件数が半端じゃない。そこで木更津市立図書館では順番が回ってくるのが遅くなるから、市原市立図書館に予約しておいたのだ。
市原市の方に予約数が少ないわけではないのだが、何しろ千葉県一を誇る広い面積を持つ市だから、支所も多い。そこで順番の回転も早い。そんな目論見通り早く読めることになった。こうした僥倖―ではないな、自分で予約しておいたのだから―まあ、思ったより早く読めることになったラッキーか。
いつもそうしたことに出合うわけではないが、経済的な理由が大半の図書館通いが続いている中、新刊だけでなく見逃している名作、傑作ミステリーを多く楽しみたいと思う。そのうえで手持ちの積ン読本も消化しなければと、思いはたくさんあり過ぎてどれか一つに絞らないと、どれもができないことになりそうだ。
現役のサラリーマンだったころ、よく上役からたしなめられたことを思い出す。一点集中主義だ。近頃そのコンセントレーションがうまく作用しなくて、虻蜂取らずにならないよう気をつけなければ。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1712.セイレーンの懺悔

2017年02月20日 | サスペンス
セイレーンの懺悔
読了日 2017/02/20
著 者 中山七里
出版社 小学館
形 態 単行本
ページ数 317
発行日 2016/11/20
ISBN 978-4-09-386452-7

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

風が吹き荒れている。テレビでは朝の気象情報で、春2番などと言っていたが、先達て春一番が吹いていよいよ春本番だと思っていたら、また寒さが戻ったりとあわただしい気象が巡る。
洗濯物があおられて、物干し台が倒れた。この風でいろいろとまた被害が出るところもあるのだろう。風の谷なら城オジがナウシカに向かって「いい嵐だ」と言いそうな強い風だ。余分な話だが、僕はあのナウシカの冒頭から中盤に差し掛かるあの場面が好きだ。これから何かが起こりそうなことを感じさせる夜のシーンだ。
ミステリー小説で幸せを感じさせるシーンから、突如不幸な事件に見舞われるといったところを思わせる。
ということはさておき、強い風に押し流される大きな雲で、晴れ間を見せたり曇ったりと、落ち着かない空模様だ。そんな風の割には温度は高いので室内は割と過ごしやすく、風の音を聞きながらこれを書いている。

 

 

本書の発売予告をAmazonのサイトで見たのは昨年11月の初めだった。そこで僕は先駆けて予約カードを、木更津市立図書館に出したのが昨年(2016年)11月6日だった。早く読みたいと思う本をあらかじめ発売前に予約することは初めてではなく、今までに何度か試みて、割と早く読めることが出来たから、Amazonの発売予告を便利に使っていた。
ところがいつまでたっても木更津市立図書館からの連絡はない。他の図書館を検索すると、12月初めには貸出中の記載があるから、発売されて各図書館には入荷していることがわかる。
明けて1月に入ってから、仕方なく市原市立図書館の予約数が少なくなったところで、予約を入れてみた。すると、1月25日(水曜日)に予約確保というメールが入ったので、夕刻帰宅ラッシュで込み合う道路を、市原に向かった。
読みたいという欲求は僕の場合、何にも勝ることのようで、涙ぐましい努力?(ラッシュ時にも関わらず市原市立図書館まで、普通遅くも40分で行けるところ、1時間以上もかけて駆けつけるのは、努力と言わずに何と言おうか!)をするのだ。他の人からすれば、なんと馬鹿馬鹿しいことを、と思うだろう。

 

 

のミステリーがすごい!大賞という宝島社が主宰する、大賞を「さよならドビュッシー」で受賞した中山七里氏の作品にほれ込み、最初に読んだのはその受賞作でなく、スピンオフともいえる「要介護探偵の事件簿」だったが、そのあとすぐに受賞作も読んで、見事に著者の罠にはまってしまったのだ。
とにかくあとからあとからスト-リー・メイキング・マシン―そんなものがあったら凄いが、そう思わせるような執筆の速さで、次々と傑作を生み出した。そんな物語製造機械のような著者に寝る間もあるのだろうかと思うが、それがなんとたまにはテレビにも出演するなどの、余裕さえ見せるのだから驚くのだ。
僕がリアルタイムでこうした作家と出会えたという幸せを感じながら、これから出る作品を一つ残らず読んでやろう!そんな思いを起こさせるのだ。だが不幸なことに今の僕は(いや今に限ったことではないか…)とても貧乏だから、たとえ古本といえどもそれほど買うことは出来ないから、どうしても図書館のお世話にならざるを得ない。
コロンボ警部補を笑えない。(これについては、刑事コロンボの41番目のエピソードを見られたし)

 

 

さて、本書は若い女性ジャーナリストを主人公としたサスペンス巨編だ。民放テレビ今日の社会部に所属する朝倉多香美というのが彼女だ。ベテランの先輩記者である里谷太一と組んで事件の取材をする中、願ってもない特ダネをつかむことが出来て、有頂天になる多香美だったが、思わぬ落とし穴に陥る。
そうしたストーリーが進むうちに、次第にジャーナリストの本分とは?という疑問を持ったり、捜査刑事と渡り合ったりする中で、何をすべきかを掴む。
女性記者のサクセスストーリーかと思えば、もちろんそれもあるのだが、やはりどんでん返しの帝王の名に恥じぬ結末が待っていた。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1711.鎌倉香房メモリーズ4

2017年02月18日 | 青春ミステリー
鎌倉香房メモリーズ4
読 了 日 2017/02/18
著  者 阿部暁子
出 版 社 集英社
形  態 文庫
ページ数 301
発 行 日 2016/10/25
ISBN 978-4-08-680103-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

本番と言えるような陽気だったり、冬が立ち去りがたく戻ってきたりと、このところ温度変化が著しくて、体調を整えるのが大変だ。あまり万全とは言えない僕の身体も、悲鳴を上げる寸前で何とかこらえている。
息子の入所しているケアホームを運営する社会福祉法人薄光会には、知的障害者入所施設・豊岡光生園、特別養護老人ホーム・三芳光陽園、障碍者通所施設・鴨川ひかり学園、同じく通所施設、湊ひかり学園、そしてケアホーム6か所を統括する事業所・ケアホームCOCO等々の事業所がある。
神奈川県で発生した障害者殺傷事件により、いろいろと障害者福祉施設には、難しい問題があるようだが、そうした環境の中でも、わが薄光会は利用者ファーストを実践する、理想的な社会福祉法人だと自賛する。
もちろん利用者である障害者に対する虐待や、いじめなど全く無く、創設以来40年近くの年月を、穏やかに推移している。
しかし、問題がないわけではない。障害児を持つ親たちがゼロから始めた法人は平成15年夏に、法人の発展と利用者である障害者の安寧な生活と将来を願い、それまで一身を投げ打ってきた理事長を亡くした。


カリスマ的存在でもあった理事長・鈴木氏については、その手法について否定的な見方もあったが、薄光会の礎を築いたという点については、誰しもが認めるところだろう。そうした一家の大黒柱ともいえる舵取りをなくした法人が、その後も順調に発展したのは前述のとおり、確固たる土台が作られていたからだろう。
だが、今後も永続的に法人の行く末を決定するには、すなわちゆるぎない経営戦略を立てて進むのは容易ではない。決して安泰とは言えない国家財政の中で、福祉に当てられる予算は明るい兆しを見せているわけではないのだ。障害者の一保護者というだけの僕だが、時には将来像を想像できなく、不安になることがある。
戦略的な考え方をかざして、かじ取りをするにはどうしたらいいのか、視点を変えて将来像を見据えなければならない時が来ているのではないかと、考えているのだが・・・・。



れていれば、午後の日差しが西日となって片板ガラスを通して、部屋にそそぐから僕は籐椅子に座り、足先をその日差しに当てて本を読むのだが、今日は予報が少し外れたか?一面のうす曇りで、部屋の温度は残念ながら低い水準を保っている。と思うと切れ間から日差しが漏れたりと、よくわからない天気だ。
いつからか僕は冷え性になって、寒いときは手足の指先の血流が不十分になる。
血圧が少し高めなのも、もしかしたらそういうことも関わりがあるのか?そんなことを考える。NHKテレビでたまに見る「ドクターG」という番組では、ドクターG、すなわちドクターゼネラル=総合診療医が、若い研修医3人に対して、ビデオの画面で患者の容体を示しながら、病名を診断させる。
一度で正確な診断を下せることはなく、研修医が下した診断をもとに、二度ほどカンファレンスが行われる。議論が煮詰まったところで、3人の研修医たちは患者の病名を一致して答えることになる。その過程がなるほどと思わせて、ミステリードラマを見るようだ。僕が少しの歩行で胸が痛くなったり、ひどい疲労感を持ったりするのはどういう病からか?二つの病院の医師たちを受診したが、結局のところ分からず仕舞いだ。
ドクターGの診察を受けてみたいものだ。しかし、そんなことを思いながらも、毎日こうして本を読めるだけでも、幸せと思うべきなのだろう。



のシリーズも最新刊の4巻目となった。
第3巻から4巻に至るまで8か月がたっているから、この後第5巻が出るのは早くとも今年6月以降か。この先、匂いに関する特異な能力を有する咲楽香乃や、鋭い洞察力を持つ岸田雪弥が、どんな謎に遭遇してどんな活躍を見せるのかが楽しみだ。大河ドラマのように長い時間をかけて進むストーリーには、多くの人物たちが登場して、第1巻の読み始めから人物の相関図を作りながら読めばよかったと、今更考えても遅い。
それぞれに魅力のある陣靴たちについて、簡単に語ることは出来ないが、そのほかにもこのシリーズの楽しみの一つに、表紙のイラストの素晴らしさもある。ネットで検索したらイラスト作者の“げみ”という人物についてはよくわからなかったが、多くのファンがいるようで、そのファンたちもまたイラストを競っているようだ。


収録作
# タイトル
第1章 五文字の言葉と遠ざかるひと
第2章 クリスマスと丘の上の家
第3章 罪と毒
第4章 約束と冬の終わり

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1710.鎌倉香房メモリーズ3

2017年02月16日 | 青春ミステリー
鎌倉香房メモリーズ3
読 了 日 2017/02/16
著  者 阿部暁子
出 版 社 集英社
形  態 文庫
ページ数 299
発 行 日 2016/02/24
ISBN 978-4-08-680063-1

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

日は富津市湊にある生活介護事業所・太陽のしずくで、保護者・家族の会天羽支部の役員打ち合わせがあり、参加した。来月、3月12日に行われる天羽支部会のための、事前協議だ。今日は富津市湊にある生活介護事業所・太陽のしずくで、保護者・家族の会天羽支部の役員打ち合わせがあり、参加した。来月、3月12日に行われる天羽支部会のための、事前協議だ。
期末の3月の会合で、役員は2年の任期が満了となり、改選されるのに伴い会計と会計監査のお二人が、都合により退任されるので次年度からは新しい会計と会計監査が選ばれることになる。すでに人選はされておりスムーズな交代ができようだ。
とかくこうした人事はボランティアということもあり、誰もやりたがらないのが普通で、今回のような例はまれなのだ。2年前天羽支部発足の時から僕は、社会福祉法人薄光会の数ある保護者家族の貝とは差別化を図る意味で、支部会報を作ってきたから、役員ではなかったがこの会合には毎回参加してきた。
さすがに支部長は誰も引き受け手がなく、前任のS氏が引き続きその任を負うことになったが、彼から副支部長を任命されて、やむなく引き受けることになった。今までの女性副支部長も、残念ながら退任となったからだ。

 

 

しかし、面倒な作業を伴う会計の業務移動が円滑に、できることを大いに喜ぶべきだろう。
僕の福祉部長という役は、半ば名前だけと言っていいものだから、引き受けはしたが身体の調子があまりよくないことは言ってあるから、それほど気に病むこともないだろう。
それよりも心配なのは、あと1か月もない支部会までに、当日配布する会報が出来てないことだ。前回第7号までは何とか間に合わせて作ってきたのだが、6か所のケアホームの記事が1巡したので、今回はその穴埋めをどうしようかと悩んでいるのだ。
3月12日には参加者に配るわけだから、前日までには印刷製本が済んでないといけない。考えると頭の痛いことだが、まあ、何とかなるだろうと、楽天的に考えることにしよう。

 

 

し前に京都を舞台としたシリーズを続けて読んだときは、京都はいいところだと思い、今度は鎌倉を舞台にしたストーリーだが、同様に鎌倉が実に魅力あふれる筆致で描写されるから、いいところだと思わせる。 そう言ったって僕の場合は思うだけで、行くわけでもなくあえて行きたいとも思わない。いや誰かが連れて行ってくれるというなら話は別だが、そんな奇特な人は僕の周りにはいない。
若い頃から旅行というものにあこがれとか、特別な思いがなかったから、会社の旅行にもできれば横着を決め込んで、参加しないことも数あった。今になって考えれば会社の経費で行けるのだから、年に2回もあった社内旅行にも、積極的に参加すればよかった、と今頃思っても遅いが。
しかし僕の場合は、一時期商品部で販促を担当しており、新店ができる都度その周辺の生活状況を見て回るという、仕事柄の出張はたびたびあったから、そのついでにミニ観光と言ったようなことはしたのだ。

今や東証一部上場の大企業となったかつての職場は、結構居心地のいいところだったと、今は亡きその当時のトップの度量の広さなどを顧みても仕方がない。ずいぶん前から、テレビで観光旅行の番組が増えて、今でも続いているようだが、うちのカミさんなどはそうした番組が好きで観ていたが、僕はあまり興味がなくそうした傾向に乗っかったともいえる、旅番組の延長のようなミステリードラマもずいぶん放送された。
当時はもう少し歳をとったら、のんびりとカミさんと二人でそうした旅もできるのではないか、そんなことを考えていたが、なかなか思うようにはいかないのが世の常で、歳をとるにしたがってやることなすことが億劫になってきた。
何のために生きているのだろうか?というようなことを考えるところまでは行かないが、それに似たような気分に陥ることもままあるのだ。と、またまた訳の分からない話になった。

僕は下手な文章であまり本の筋書きについては書かないから、ここに書く文章は次第にどうでもいいことに終始するようになってくる。本職(文章を書くことの)の解説者でさえ、ミステリーの解説は難しいという人もあるくらいで、だからということを言い訳にしたくはないが、過去の記事を読み返してみても、何らおかしみのない文章の羅列で、そんなことに可笑しさを感じる。
ニュースのサイトを垣間見ていたら(niftyから送られてくるメールマガジンのトピック)、東京都の百条委員会の設置に関することがあって、いろいろきな臭い話も出ている。少し前に僕はオリンピック組織委員会とは、どういうメンバー構成なのか疑問に思っていることをここに書いた。
例のゴルフ競技場の問題だ。いまだに解決の道が見えない状態のゴルフ競技場はどうなるのだろう?別に心配しているわけではなく、霞が関カンツリークラブに決定したプロセスを知りたいと思っているのだ。そこに何らかの不正や思惑が絡んでいるとは思えないが、千葉県にもゴルフ場はたくさんありますよ!などと僕が思ってもしょうがない。
ニュースばかりではない、NHKテレビの国会中継を見ていたら、民進党の委員の質疑で防衛大臣の答弁が何度も遅れて、浜田靖一議長のたびたびの呼びかけにも応じられない場面があった。国会の質疑はその場でいきなり発するものではなく、あらかじめおおよその内容は知らしめてあるはずなのだが、その都度官僚の助言を仰ぐようでは、用をなさないではないか!我が国の閣僚はいつからこんなにもとろくなったのだろうか? まあ、いろいろあって面白いといえば言えないこともないが・・・・。

 

収録作
# タイトル
第1話 拝啓 忘れえぬ人
第2話 あの日の君へ
第3話 輝ける星

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1709.鎌倉香房メモリーズ2

2017年02月14日 | 青春ミステリー
鎌倉香房メモリーズ2
読 了 日 2017/02/14
著  者 阿部暁子
出 版 社 集英社
形  態 文庫
ページ数 299
発 行 日 2015/08/25
ISBN 978-4-08-680033-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

によって僕がこのシリーズの第1巻を読んだのが、昨年3月とはいいながら、内容をすっかり忘れていて、そのうち思い出すだろうと、途中まで読み進めるも一向に記憶が甦ることはない。
タイトルにある鎌倉の香房とは、花月香房と言って主の咲楽三春(さくらみはる)とその孫である高校生の咲楽香乃(かの)、そして大学生アルバイトの岸田雪弥が立ち働いている、お香の店だ。
一般にはあまり馴染みのない(馴染みのないのは僕だけかもしれないが)香房とは文字通りお香に関する品物を販売したり、お香を作ったりすることを生業とする店だそうだ。茶道や華道と同様にお香にも、香道と言われる芸の道があり、いろいろと流派もあるらしい。
天然の香木を使いその匂いを嗅ぐことを聞くといい聞香(もんこう)、また聞き分ける(嗅ぎ分ける)ことを組香(くみこう)と、香道の世界では言う。
このシリーズでは、メインキャラクターの一人である咲楽香乃は、人から発せられる感情の香を聞き分けることで、その人の喜怒哀楽と言った心の内を推測できるという特異体質を持つ高校生だ。またそこで働くアルバイトの岸田雪弥は、鋭い観察眼と推理力で謎を解き明かす。そうした設定をもとにストーリーは展開していく。

 

 

香乃と雪弥は幼馴染で気心は知れていると思っていたが、実は幼馴染と言っても小学生から中学生に至る一時期の空白期間があるのだ。再会以降は彼が花月工房のアルバイトとして、いつもそばにいるのだが、香乃は彼の匂いだけは聞くことが出来ないのだ。その辺にこのシリーズミステリーのキーポイントが隠されているのかも知れない。
今のところシリーズは4巻まで出ていて、僕は木更津市立図書館でその4巻までをまとめて借りているから、この後も続けて読むつもりでいる。いつも思うことだが、僕がこうした面白いシリーズを知るのは遅くて、続編が何巻も出た後だから、その遅いことが幸いして続けて読むことが出来る。
表紙のイラストから受けるライトな感覚とは異なり、結構重い話にもなる展開だが。全体的には癒されるストーリーだ。ついでのことに、僕はこの表紙イラストに魅力を感じて、作者を見ると“げみ”とある。珍しい名前だと思い、Netを調べると彼の(男女の区別はつかないのだが、仮に男性だとして))ファンというか、イラスト関連のサイトがあって、その道ではかなりの有名人らしい。

 

 

晴らしいお天気の下、お昼前にカミさんと近くのスーパー・マックスバリュに買い物に行ってきた。このスーパーをはじめイオングループの店では、火曜日が特売日で近所の主婦たちは、この日を狙って来店するから、レジ前は行列を作っている。
僕は買い物客の行列を見ると、いつも30年近く前に2度ほどセミナーで行ったアメリカのスーパーのことを思い出す。カートも買い物かごも日本のものより一回りほど大きくて、金曜日の午後になると特売品もあるが、1週間分の買い物をカートいっぱいに積み込んだ行列が長く続くのだ。
彼らは週末の金曜日が給料日だから、店もそこを狙ってバーゲンセールをするから、広い駐車場もいっぱいになるほどだ。セミナーの主催者であるコンサルタントは、日本でもまもなくこうした状態が訪れるはずだという。今振り返ると、当時アメリカ西部―主にサンフランシスコやロサンゼルス―のスーパーやドラッグストア、あるいはホームセンターなどで見た光景が、わが国でも日常の風景となっていることに、感慨深いものを覚える。

今年82歳になる白髪頭のカミさんは、カートを押してメモを見ながら、そっちこっちの品物をかごに入れて、大ヨス1週間分の買い物を済ます。
その昔、“アメリカがくしゃみをすると、日本は風邪をひく”などと言われたことがあった。今や経済動向もインターネットを通じて、瞬時に世界中に広がる時代だ。貧しくも比較的余裕があった時代を懐かしむのは、今が幸せだということだろうか。

 

収録作
# タイトル
第1話 星の川を渡って
第2話 あなたとずっと
第3話 祈りのケーキ
第4話 亡き人に捧げる香り

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1708.さよならハートブレイク・レストラン

2017年02月12日 | ユーモア
さよならハートブレイク・レストラン
読 了 日 2017/02/12
著  者 松尾由美
出 版 社 光文社
形  態 文庫
ページ数 293
発 行 日 2016/05/20
ISBN 978-4-334-77285-7

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

ままな低気圧の通過が、西日本や北陸、北海道等に大雪を降らせて、大いなる迷惑をかけていることなど、自然は知る由もなく昨日も今日も、猛威を見せている。見方によれば、日本ははっきりとした四季の巡りを見せる、奇跡の国だという。しかし、狭い日本ではあっても自然の驚異を毎年味わって、苦労する処もあるのだ。
西日本や北日本の降雪地帯の、特に今回は鳥取県の降雪量が半端ではない。一日も早く、いや一時間でも早く冬型の気圧配置が解消することを願う。
僕のつたない記憶の底には、子供の頃千葉県でも大雪に見舞われたことがあって、その頃僕は外房の大原という町に住んでいたが、学校で雪合戦をしたのは昭和26~27年だったか?それでも子供だったから、それほどの寒さは感じなかったのか、いやもう忘れているのかもしれない。
貧乏で物のない時代だったから、僕は小学6年生の時まで、雨だろうが雪だろうが下駄で通学していたことを思い出した。雨や雪の時は足袋に水が浸み込んで、その冷たさはなぜか覚えているのに。

豊かな時代だとはいえ、大雪への苦労はまた別ものだろう。半世紀以上前の昔のことを思い出しながら、今日も陽が差して暖かくなった部屋で、これを書きながらひそかに幸せを感じている喜寿の年寄りだ。この頃はこうした訳の分からないことばかり書くようになって、生きている限り続けようと思うブログだが、これではあまり意味がないような気もする。

 

 

好きなシリーズ作品の一つ。あまりはやらないファミリーレストランに表れる、おばあさんの幽霊が名推理を見せる連作短編集だが、タイトルのさよならという文字で、シリーズもこれで終わりだということを示している。とても寂しいが、主人公の一人であるフリーライターの寺坂真以が、結婚で引っ越してしまうことで、終わりのようだ。歌の文句にもあるように、会うは別れの始まりなどという。面白いシリーズもいつかは終わりが来るのだ。
それでも3冊目で終わりとは早い気もするが、最初の短編は2003年6月に「小説宝石」に掲載された、「ケーキと指輪の問題」だから、2016年2月の「嘘つきと真実の問題」まで13年もの月日を費やしているから早いというのは当たらないか。
そう思うと数は少ないが、著者としても愛着があるのではないか、と、そんなことを思わせる。いろいろと著者の思惑まで推測するほど作品を読んでいるわけではないが、僕はもう一つの、やはり短いシリーズである、「安楽椅子探偵アーチー」も読んでおり、こちらは安楽椅子そのものと、それを買った少年の交流を描いたミステリーで、ともに心惹かれる内容だと僕は思っている。

 

 

のシリーズは、ライターの寺坂真以が、仕事場として訪れるファミリーレストランを舞台として、周囲に巻き起こる謎を、ハルさんというお婆さんの幽霊が解き明かすというストーリーなのだが、そのハルさんを見ることが出来るのは、レストランの店長をはじめとする店の従業員と、寺坂真以だけだ。
だから、普通の人には見えないおばあさんの推理を人に聞かせるわけにはいかないので、真以が名探偵ということになることがしばしばある。ということから所轄の刑事として赴任した、女性ながら口の悪い小椋刑事も、真以に摩訶不思議ななぞにぶつかって、真以にその謎ときを依頼するほどだ。
この小椋刑事の前任者は、南野と言って寺坂真以とほんわかとした雰囲気になったこともあったが、残念ながら本庁に移動となって、淡い恋も立ち消えとなった。寺坂真以がどんな相手と結婚するのか、物語の主人公ながら、シリーズが終了するにあたり、幸せを願って送り出すことにしよう。

 

初出(Web光文社文庫)
# タイトル 発行月・号
1 果物のある部屋の問題 2015年9月
2 予約の取りやすい店の問題 2015年10月から1月
3 油絵と宇宙人の問題 2015年12月
4 嘘つきと真実の問題 2016年1月~2月
5 ボストンバッグと切符の問題 書下ろし

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1707.なみだ学習塾をよろしく!

2017年02月10日 | ユーモア
なみだ学習塾をよろしく!
読 了 日 2017/02/10
著  者 鯨統一郎
出 版 社 祥伝社
形  態 文庫
ページ数 394
発 行 日 2010/03/20
ISBN 978-4-396-33561-8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

空と煌めく太陽光にしばらくぶりの天候回復と思ったが、そんなに長く雨模様が続いたわけではないことに気付いた。寒く冷たい雨は1日でも長く感じて、長いこと雨が続いたなどという気がしたのだ。西日本、日本海側、北日本や北海道などなど、雪は相変わらず続いているようで、一日二日の雨降りなどに愚痴を言っては罰が当たる?
今では“罰が当たる”などという言い方は死語となったか、あまり聞かないが、子供の頃は親や近所の大人からよく言われたものだ。
部屋にさす陽が暖かく、こうした日が続けば寒い冬も過ごしやすく、暖房費も助かるのだが、思うに任せないのが自然の力だ。あまりかかわりのないことだが、暖かな部屋でふと「エネルギー不滅の法則」などということが頭をよぎる。
子供の頭ではなかなか理解できないことだった、いや今でもそうした物理学の基礎は分かってはいなくて、はるか上空のオゾン層のことさえよくは分からない。わからない話はやめよう。

 

 

前回の「片翼の折鶴」を予定より早く読み終わったから、木更津市立図書館で本書と「鎌倉香房ミステリー3」、そして「さよならハートブレイク・レストラン」の3冊を借りてきた。実は図書館に行ったのは「国を救った数学少女」(ヨナス・ヨナソン著 西村書店刊)が目当てだったのだ、生憎貸し出し中だったので、代わりの本ということで文庫を3冊借り出したのだ。
2-3日前にネットで確認したときには貸出可だったのだが、どうやらこの2日ほどの間に先客があったようだ。僕はこういうことにたびたび出会うから、あらかじめ予約しておけばいいのに、ついつい忘れてしまう。
本来の楽天的な性格と、大丈夫だろうという思い込みが、しばしばアンハッピーを招くのだ。
木更津市立図書館では、“ヤングアダルト”というコーナーがあって、本書のような文庫が収められているが、どのような分類化がいまいちわからない。いずれにしても今回借り出した3冊はいずれもヤングアダルトのコーナーにあったものだ。なにか僕のような年寄りを寄せ付けないような感じのコーナーだが、もちろんそんなことはなく、結構年配の人たちも見ているから、僕も遠慮なく借りてきた。

 

 

者の作品には一時期、はまったというほどではないが、割と探して読み続けたことがあった。2003年から2-3年ほどだったから、もう10数年も前になるのか。こうして気づかぬままに月日は流れていく。
今シーズンは南岸低気圧の通過が多いような気がするが、それでも雪が降らないだけよかったと思えばいいのだろう、降雪地帯、豪雪地方のことを考えて、温暖な地域に暮らす幸せを有難いと思おう。
著者・鯨統一郎氏の作品には、博覧強記と言っていいほどの人物が登場することもあって、僕のような浅学の徒はそうした人物に、憧れと尊敬の念を持つ。と同時に、物語を読んでいるうちは、あたかもそうした人物と同等の知識を持っているかのような錯覚を持ってしまうところも、面白く読める所以だ。
思うに著者自身が多分に登場人物に反映されているのではないか。初めて読んだ「邪馬台国はどこですか」で、歴史的事実を全く違う方面からの検証で、思いもよらぬ結論を導き出すところなどで、そんなことを感じるのだ。

この、波田煌子(なみだきらこ)シリーズは、2011年に本書同様、祥伝社から新書で発売された「なみだ研究所へようこそ!」を出発点として、「なみだ特捜班におまかせ!」と続いてよんできて、本書が3冊目となる。
今までは波田煌子の涙とともに、謎の解明がされるのだが、今回は彼女の謎解きの後に涙を流すのが学習塾の塾長となっている。一見ナンセンス風だが僕は他の作品と同じく、著者の博覧強記の下に編み出された本格推理だと認識している。時には馬鹿馬鹿しいと感じるような、謎解きもあるにはあるが、なんとなく気になる作品で、僕は好きだ。この後しばらくシリーズは途切れているが、何とか続きを書いてもらえないかと期待しているのだ。

 

収録作
# タイトル
第一限 路線図と涙
第二限 相似形と涙
第三限 清少納言と涙
第四限 疑問詞と涙
第五限 月の満ち欠けと涙
第六限 確立と涙
第七限 基本的人権と涙

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1706.片翼の折鶴

2017年02月08日 | メディカル
片翼の折鶴
読 了 日 2017/02/08
著  者 浅ノ宮遼
出 版 社 東京創元社
形  態 単行本
ページ数 225
発 行 日 2016/11/30
ISBN 978-4-488-01792-7

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

京オリンピックのゴルフ競技会場の問題で、まだ結論が出ないということが、毎日のようにテレビで報道されるが、そもそもIOCとはどのようなメンバーで構成されているのだろう?そんな疑問が浮かんでくるのは、ゴルフクラブの理事長の言では、クラブの会則は当初からIOC側に説明済みだというではないか。
クラブ側にすれば、そうした上で決定したことを今になって、会則の見直しを迫ることなど見当違いだということだろう。確かに今時女性差別のような会則は、時代にそぐわないということもあるのだが、クラブは80年の歴史を誇る名門コースと言われるほどだ。運営上何の問題もなくやってこれたのだから、しかも女性であっても通常にプレイすることは、支障がないという。
再び、理事長の言葉を借りれば、「(オリンピックの会場とすることは)こちらから頼んだわけではない。」ゴルフクラブ側にすれば、やっかいな問題を与えられたということだろう。さて、どういう結論が出るのだろう!部外者ながら、ちょっと気になるニュースではある。

 

 

東京創元社から定期的に送られてくるメールマガジンでは、新刊や復刻版などの案内があって、僕は熱心な読者だと自認していたが、最近はこれと言って目を引く作品が少なく、以前のような熱心さが欠けてきている。
いや、本当は読めば面白い作品はたくさんあるのかも知れないが、僕の方に面白い作品を探すという気持ちが薄れてきているのかもしれない。
いや、面白い作品を熱心に探すというのは、それほど簡単なことではなく、多方面にアンテナを張り巡らして、入ってくる情報を整理して、などという努力が必要なのだ。しかし、僕の身体はそうした努力をすることを拒んでいる。
暮れから正月にかけて、無難に読める同じ作家の作品が多かったから、新たな作品を探す必要もなかったのだ。それでもこの作品を含め2冊ほど新しい作家の作品を読んで、“新たなミステリーの動き”などと大げさなことではなくても、新しい息吹を感じている。

 

 

のうちの1冊が本書で、カバー折り返しに記された内容説明には、医科大学、さらには連作短編集などの文字を見て、僕の好きなメディカル・ミステリーで、読む前からおもしろそうだという期待感が高まる。
医学とミステリーは従来読んできた多くのミステリーで、その相性の良さを僕は感じて知っているからだ。この読書記録の最初の方では、アメリカの医学ミステリーの開拓者とでもいえる、ロビン・クック氏の作品を多く読んだし、近年では「このミステリーがすごい!」大賞受賞者で、多くの著書を発表している海道尊氏をはじめ、現役の医師がその多くの経験と持てる知識を活かした、医療ミステリー、サスペンスを発表している。
ワクワクしながら本書を読み終わって、出版会はまたまた医学ミステリーの宝石を掘り当てた、とそんな感覚を持った。同時に、僕の知らない傑作医療ミステリーはまだまだ、たくさんあって出会いを待っているのかもしれないと感じたのだ。

著者の浅ノ宮遼氏も覆面作家ということで、その詳細は分からないが、現役の医師だから医療現場や大学での講座など、リアルな模様が描写される。本書は下表に記されるように、短編集でそれぞれに医学、医療に関した経験や知識が横溢して、ストーリーはスリル、サスペンスを漂わせながら進んで、僕を魅了した。
著者のページで分かるように、この中の「消えた脳病変」という短編が、東京創元社発行のミステリー誌「ミステリーズ!」が公募した新人賞の受賞作だ。この短編集で誕生した名探偵・ドクター西丸豊の活躍が今後も続けられることを大いに期待している。

 

収録作
# タイトル
1 血の行方
2 幻覚パズル
3 消えた脳病変
4 開眼
5 片翼の折鶴

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1705.珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように

2017年02月06日 | 青春ミステリー
珈琲店タレーランの事件簿5
この鴛鴦茶がおいしくなりますように
読了日 2017/02/06
著 者 岡崎琢磨
出版社 宝島社
形 態 文庫
ページ数 308
発行日 2016/11/22
ISBN 978-4-8002-6342-1

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

間を忘れて、ウェイストマネージメント フェニックスオープンの最終日前半を録画で見ていて、ブログへのアップが遅くなってしまった。朝のテレビで、松山選手が優勝したとのニュースを見て、昼間から観ていたのだが、何しろ第3ラウンドから続けて見ていたから、時間がかかった。
残念ながら、最終日の後半でプレイオフの末優勝した場面は、録画してないから見ることは出来なかったのだが、2番ホールのイーグルなど見せ場はたくさんあって、見ごたえのある試合だった。
普段は見ることのできない、ゴルフネットワークというスカパーHDのチャンネルが、昨日は日曜日で無料放送だったから録画できたのはラッキーだった。できればお終いまで無料だとよかったのだが、世の中そう甘くはない。
このところアメリカ大統領と、裁判所の茶番劇のようなおかしなニュースばかりで、フラストレーションがたまるばかりだったから、松山英樹選手のツアー連覇のニュースは、胸のつかえを押し流すかのような、素晴らしさに感動。

 

 

先日、前回のブログの記事を投稿する際、サブタイトルが長すぎて表のタイトル部分が広がりすぎて、表紙写真の右側にスペースが空いてしまうので、改行してサブタイトルの文字を小さくしようとしたが、しばらくCSSも触ってなかったから、スタイルシートの文法を忘れていた。
何度か書き直しながらやってみたが、うまくいかない。こんな時に歳をとったことを嘆くのだ。こうして少しずつ知識が薄れていくばかりでなく、身体的にもあちらこちらが壊れていくような思いを抱く。
専門家によれば、知識は薄れて行くことはなく、記憶を探るスイッチが衰えるのだというが、僕にとっては同じことで、近頃とみにそうした場面に遭遇する。漫然と日を暮らすことに慣れてしまったのだろう。また少しパソコンでプログラミングの学習をしてみようなどとも思うが、怠惰が身についた今では、なかなかそうしたことにたどり着けないでいる。なんだか寂しくなる。

参考書を見るか過去の同様の記事を参考にすれば、すぐに解決するのだが、その内に思い出すだろうと失敗を重ねても、ダメなものはだめで結局参考書を紐解くことになった。
見れば「アー、そうだったか!」とすぐにわかるのだが、歳をとってもまだ大丈夫、などというばかげた自尊心が邪魔をする。他のところでもそうしたくだらない意地を張っていることがないだろうか?と少し反省した次第。

 

 

シリーズの人気の高さがわかるような、図書館の貸し出し状況だ。昨年11月に刊行されたシリーズ第5巻は、近隣の図書館どこもが予約でいっぱいだったが、ようやく近頃その順番が僕にも回ってきて、市原市立図書館からの通知があって、1月10日に借りに行ってきた。
わずかな文庫本の価格にも関わらず節約を余儀なくされる、そんな僕の財政状況は危機的なものだが、読みたいという欲求は市原まで車を走らせるという努力をさせる。
このシリーズ作品も僕のお気に入りの一つだ。著者の岡崎琢磨氏は2011年度のこのミス大賞に応募した「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」が最終選考に残り、惜しくも受賞は逃したが、宝島社の隠し玉として投稿作が文庫で発刊された。
作品は大方の読者の支持を得て、昨年11月に第5作が発行されるという、順調な滑り出しを見せている。
このシリーズ作品の主人公は珈琲店タレーランで、バリスタを務める若い女性・切馬美星(きりまみほし)だ。

彼女は常連客や周囲の人物に関する謎を、手動のミルでカリコリと豆を挽きながら推理をめぐらす。「その謎よく挽けました」というのが、彼女が謎を解いたというセリフだ。
しばらくぶりで読むこのシリーズの前作を読んだのはいつだったろうと、データを遡ると2015年11月だった。シリーズ作品は続けて読めればそうした方が、ストーリーの流れや人物たちの環境の変化などもよくわかり、より面白く読めるのだろうが、僕のように時として1年以上も間が空くと、新しい巻の人物のキャラクターや、関連人物の動向などと言った諸々が、頭に入らない。
最新刊では、一つの謎を最後まで追い続けるという形だ。下記にその流れを示すような目次部分を記してある。
このシリーズだけでなく、いくつかカフェや喫茶店を舞台とした、いわゆるライトミステリーと呼ばれる作品を読んできたが、僕はその昔喫茶店巡りをしたころを思い起こして、物語に出てくるような店に入ってみたいと思うばかりだ。

プロローグ
第一章 少女のショートカットはなぜ魅力的だったのか?
第二章 猿が辻にて濡れる袖
第三章 ワールド・コーヒー・ツアーズ・エンド
第四章 コーヒードール・レゾンデートル
第五章 大長編は幕切れの地へ
第六章 あらしの夜に浮かぶ舟
エピローグ この鴛鴦茶がおいしくなりますように
特別付録 このアップルパイはおいしくないね

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1704.京都寺町三条のホームズ5 シャーロキアンの宴と春の嵐

2017年02月04日 | 本格
京都寺町三条のホームズ5
シャーロキアンの宴と春の嵐
読 了 日 2017/02/04
著  者 望月麻衣
出 版 社 双葉社
形  態 文庫
ページ数 331
発 行 日 2016/08/07
ISBN 978-4-575-51917-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

話題となっているオリンピックのゴルフ競技場、僕は疑問に思うのだが、女性差別とされる規則など初めからわかっていたことではないか、ということなのだ。なぜ今頃になってそんなことが問題になるのだろう?
また、単純な僕はなぜそんなところで行わなければならないのか?さっさと別の場所にすればいいではないか、と思ってしまう。全く理解に苦しむところだ。
まあ、こうした東京都以外の場所で行われる競技場については、いろいろと事情もあるのだろうが、そうした場所でのコストの問題もそうだ。各県で費用は当初の予定通りオリンピック組織委員会が負担すべきだと言っている。ということは、予定ではオリンピック組織委員会が費用を賄うということになっていたらしい。それがなぜ、今更になって各県にその一部を負担などということになったのだろう。
オリンピックの開催地の決定に、お祭り騒ぎだったことに冷ややかな目を注いでいた人々もいただろうが、そうした人たちはこうした問題をどう見ているだろう?そんなことをつらつらと思う今日この頃だ。

 

 

そうしたことはさておいて、袖ケ浦市立図書館でまとめて借りてきたシリーズも、最後の5巻目となった。この時点でさらに6巻目が発売されたことを、Amazonのメールマガジンで知った僕は、できるだけ日をおかずに読みたいと思い、市原市立図書館のウェブサイトに予約を入れておいた。
他の図書館と異なり市原市立図書館は、市外の利用者でも予約を受け付けてくれるので、今までも何度か予約をして、新刊を早く読めたことがあり、僕にとってありがたい存在だ。
今まで読んだシリーズの発行サイクルを見ると、おおよそ6か月から8か月の間隔をあけて、施策が発表されている。ところが第6巻はこの5巻目の8月からわずか4ケ月後の、昨年12月15日に発行されたという。
正に怒涛の如くの執筆の速さというか、読者にとってはまことにありがたいことだが、どこからそのようなバイタリティがあふれてくるのか?望月麻衣氏という京都在住としかわからない作者に、驚くばかりだ。

 

 

い男女がコンビとなるライトミステリーが、各社から発売されてどれ元は言わないが、そこそこの売れ唯を示しているようだ。僕もそれらしき作品をいくつか楽しんで、ストーリーの半分くらいを占めていると思われる、コンビの恋模様も読者をひきつけていることは、今も昔も変わらない現象だ。
古くはE.S.ガードナー氏のペリイ・メイスンと秘書のデラ・ストリートの関係とか、国内で僕が好きだったのは、島田一男氏の刑事弁護士・南郷次郎と秘書の金丸京子の間柄だ。コンビのつかず離れずの関係が作品が続いていくにもかかわらず、進展しないところに多少のフラストレーションを感じないでもないが、そこがまたよかったのだろう。
ところが、本作品ではついに真城葵が、封印していた自分の気持ちを解き放ち、ホームズに思いを打ち明けることになる。ホームズこと家頭清貴も同様で二人は、恋人関係を築くのだ。ホームズのライバルともいえる円生の挑戦にも応えて、ホームズの推理はライバルの策略を暴けるか?

 

収録作
# タイトル
第1章 桜色の恋文
第2章 シャーロキアンの宴
第3章 紫の雲路
第4章 茜色の空に

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


1703.京都寺町三条のホームズ4 ミステリアスなお茶会

2017年02月02日 | 青春ミステリー
京都寺町三条のホームズ4
ミステリアスなお茶会
読 了 日 2017/02/02
著  者 望月麻衣
出 版 社 双葉社
形  態 文庫
ページ数 308
発 行 日 2016/04/17
ISBN 978-4-575-51882-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

が家の庭の片隅にある物置の中から、カシオのワードプロセッサー・G-770ZXを出して、アプリケーションディスク(フロッピーディスク)を挿入して、画面の表示通り実行キーを押すも、一瞬フロッピードライブのパイロットが点灯するだけで、起動しない。
もう何年も物置に眠っていたので、フロッピードライブが作動しなくなったらしい。昔このワープロ専用機にもずいぶんお世話になった。一時期PC-8801(NEC製の初期のパソコン)のワープロソフト・ユーカラのドット数が荒いことから、文書はワープロ専用機を利用していた。
このカシオのマシンはワープロだけでなく、表処理ソフトというBASICに準拠したアプリが搭載されていたから、簡単なプログラムを組んで、結構便利に使っていた。今のExcelをVBAで使うような感じだった。
そんな昔のことをちょっと思い出して、いたずらしてみようと思ったのだが、残念ながらマシンが起動しないのでは仕方がない。しかしスクラップにするのも惜しい気がするが、もう修理するところもないだろうな。

 

 

起き抜けは寒かったが、いまは晴れ渡り日差しのぬくもりがいくらか感じられるようになってきた。
そうした中物置から引っ張り出したのだが、やはり機械ものはもう少し丁寧な扱いを必要とするようだ。今更反省しても仕方がないが、狭い部屋にはいろいろと物を置いてはおけないから、どうしてもボロ物置の世話になる。

さて、図書館にはふつう僕らが読みたいと思う小説なら、大体揃っていると思ったら、そうでもないことが最近になって分かった。単なる僕の認識不足というか、知識不足が誤った考え方に向かわせているのだろう。
特に文庫本は価格が安いということから、誰でもが買って読めるという観点からだろうか、カテゴリーによっては置いてない図書館も多い。それについても僕は逆に文庫本ならどこの図書館にももれなく揃っているだろうと思っていたのだ。
今読んでいるこのシリーズも、木更津市立図書館にはなく、袖ケ浦市立図書館か市原市立図書館にしか置いてない。幸い近くの袖ヶ浦市で借りられたのでよかったのだが、これからも前もってどこにあるかを確認してからでないと、無駄足を踏むことになるから気をつけよう。
といったようなことで早くもシリーズは4冊目となった。

 

 

年を迎えて賑わいを見せる京都の町。読む時期が現実と少し重なっているようなのが、リアルタイムのような感じをさせて、物語を一層楽しめる。
今回の大きな事件は第3章でホームズこと家頭清貴とアルバイトの真城葵が招かれた相笠くりすの朗読会が舞台だ。バレンタインデーの夜に吉田山荘で開催された、“相笠くりす”なる人気ミステリー作家の朗読会で、ホームズと真城葵は相笠くりすの妹から、事件の依頼を受けるのだ。
ホームズの確かな観察力や洞察力はますます冴えて、アシスタント(ともいえる)の真城葵も時として、有効な意見を述べるようになった。
真城葵と言えば第1章の中で、ビスクドールを苦手とする記述があり、そこのところは僕も全く同様に、あのクラシカルな西洋の少女人形に、怖さを感じることがあるのだ。多分、過去に見た映画やドラマの影響ではないかと思うが、今にも笑ったりあるいは涙を流したりするような感覚を持ってしまうことがある。

 

収録作
# タイトル
序章  
第一章 ビスクドールの涙
第二章 バレンタインの夜会
第三章 後継者の条件

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村