隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1708.さよならハートブレイク・レストラン

2017年02月12日 | ユーモア
さよならハートブレイク・レストラン
読 了 日 2017/02/12
著  者 松尾由美
出 版 社 光文社
形  態 文庫
ページ数 293
発 行 日 2016/05/20
ISBN 978-4-334-77285-7

 

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ままな低気圧の通過が、西日本や北陸、北海道等に大雪を降らせて、大いなる迷惑をかけていることなど、自然は知る由もなく昨日も今日も、猛威を見せている。見方によれば、日本ははっきりとした四季の巡りを見せる、奇跡の国だという。しかし、狭い日本ではあっても自然の驚異を毎年味わって、苦労する処もあるのだ。
西日本や北日本の降雪地帯の、特に今回は鳥取県の降雪量が半端ではない。一日も早く、いや一時間でも早く冬型の気圧配置が解消することを願う。
僕のつたない記憶の底には、子供の頃千葉県でも大雪に見舞われたことがあって、その頃僕は外房の大原という町に住んでいたが、学校で雪合戦をしたのは昭和26~27年だったか?それでも子供だったから、それほどの寒さは感じなかったのか、いやもう忘れているのかもしれない。
貧乏で物のない時代だったから、僕は小学6年生の時まで、雨だろうが雪だろうが下駄で通学していたことを思い出した。雨や雪の時は足袋に水が浸み込んで、その冷たさはなぜか覚えているのに。

豊かな時代だとはいえ、大雪への苦労はまた別ものだろう。半世紀以上前の昔のことを思い出しながら、今日も陽が差して暖かくなった部屋で、これを書きながらひそかに幸せを感じている喜寿の年寄りだ。この頃はこうした訳の分からないことばかり書くようになって、生きている限り続けようと思うブログだが、これではあまり意味がないような気もする。

 

 

好きなシリーズ作品の一つ。あまりはやらないファミリーレストランに表れる、おばあさんの幽霊が名推理を見せる連作短編集だが、タイトルのさよならという文字で、シリーズもこれで終わりだということを示している。とても寂しいが、主人公の一人であるフリーライターの寺坂真以が、結婚で引っ越してしまうことで、終わりのようだ。歌の文句にもあるように、会うは別れの始まりなどという。面白いシリーズもいつかは終わりが来るのだ。
それでも3冊目で終わりとは早い気もするが、最初の短編は2003年6月に「小説宝石」に掲載された、「ケーキと指輪の問題」だから、2016年2月の「嘘つきと真実の問題」まで13年もの月日を費やしているから早いというのは当たらないか。
そう思うと数は少ないが、著者としても愛着があるのではないか、と、そんなことを思わせる。いろいろと著者の思惑まで推測するほど作品を読んでいるわけではないが、僕はもう一つの、やはり短いシリーズである、「安楽椅子探偵アーチー」も読んでおり、こちらは安楽椅子そのものと、それを買った少年の交流を描いたミステリーで、ともに心惹かれる内容だと僕は思っている。

 

 

のシリーズは、ライターの寺坂真以が、仕事場として訪れるファミリーレストランを舞台として、周囲に巻き起こる謎を、ハルさんというお婆さんの幽霊が解き明かすというストーリーなのだが、そのハルさんを見ることが出来るのは、レストランの店長をはじめとする店の従業員と、寺坂真以だけだ。
だから、普通の人には見えないおばあさんの推理を人に聞かせるわけにはいかないので、真以が名探偵ということになることがしばしばある。ということから所轄の刑事として赴任した、女性ながら口の悪い小椋刑事も、真以に摩訶不思議ななぞにぶつかって、真以にその謎ときを依頼するほどだ。
この小椋刑事の前任者は、南野と言って寺坂真以とほんわかとした雰囲気になったこともあったが、残念ながら本庁に移動となって、淡い恋も立ち消えとなった。寺坂真以がどんな相手と結婚するのか、物語の主人公ながら、シリーズが終了するにあたり、幸せを願って送り出すことにしよう。

 

初出(Web光文社文庫)
# タイトル 発行月・号
1 果物のある部屋の問題 2015年9月
2 予約の取りやすい店の問題 2015年10月から1月
3 油絵と宇宙人の問題 2015年12月
4 嘘つきと真実の問題 2016年1月~2月
5 ボストンバッグと切符の問題 書下ろし

 

 

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