ありあまる殺人 The Case of Too Many Murders |
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読了日 | 2018/05/28 | |
著 者 | トマス・チャステイン Thomas Chastain |
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訳 者 | 田中融二 | |
出版社 | 早川書房 | |
形 態 | ポケミス1560 | |
ページ数 | 209 | |
発行日 | 1990/12/15 | |
ISBN | 4-15-001560-0 |
書の発行日が1990年だから、僕が買ったのはその1年後くらいだっただろう。いつかぺリイ・メイスン・シリーズの合間に読んでみようと思って買ったもので、この読書記録を始めるずっと前のことだ。
多分このころはあまり本を読んでなかった時代だ。まだ現役で、業務に関する本以外は読まなかったと思う。何しろ厳しい会社で、月に1冊は指定の本の中から選んで、その読後感や業務に取り入れられること、あるいは参考になった点などの、レポートの提出が義務付けられていた。
経費削減には厳しかったが、社員教育には惜しまず投資して、外部の経営コンサルタントのグループに所属して、次々と幹部職員をセミナーに参加させた。その恩恵にあずかって僕も二度アメリカ西部のセミナーに参加した。
そのコンサルタントグループのアメリカ西部セミナーも、もちろん帰国後レポートの提出がコンサルタント側と、会社の双方に義務付けられていた。二度目の時に出したレポートが、コンサルタントグループが発行している機関誌・経営情報に採用されて、その機関誌1冊と何某かの原稿料をもらった。
会社からはもう一人同僚が採用されて、二人のレポートは後に、社内報にも転載されるなど、初めてということもあり、しばらくは鼻が高かった。
その経営コンサルタントグループの総帥A氏はもう多分亡くなっているだろう。僕がセミナーに参加しているころは、所属しているコンサルタントに、優秀な人物が結構多くいて、まだ大手スーパーのダイエー、イトーヨーカドー、ジャスコ、西友等々、セミナーの都度今とは異なるチェーンストア群の経営者たちも参加していて、先述のアメリカセミナーの折には、たまたま一緒だったダイエーの中内功氏に、会場で話しかけたことも懐かしい。
バブルがはじけた後の、デパートや大手スーパーの再編成があり、勢力地図が大幅に書き換えられて、「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」と言った感じを持ったのは僕だけか?
もう自分には関わりの無いことだと思っても、いや、時代の流れの厳しさを思っても、何か一抹の寂しさを感じるのはなぜか?今頃昔のことを懐かしむのは、単なる年寄りのノスタルジックだろう。
いくら思っても事態は元に戻ることは無いから、先に進むしかないのだが、たまには物思いにふけるのも、僕にとっては心の内を癒すのに効果的なのだ。
週、月、水、金に配達の荷物が届けられて、翌日の火、木、土に配達する、と言うのが通常の僕のパターンなのだが、今朝、届いた荷が少し多めだったので、その半分くらいを午前中に済ませてしまおうと、カミさんを近くのスーパーに送ったその足で、配達に回った。
1時間くらいで終わるだろうと思ったのだが、分かり難い個所があったり、1件は昼休みで閉まっていて、生憎そこはポストがないため後回しにすることになったりして、存外時間がかかってカミさんを迎えに行ったのが12時半になった。
分かり難かった2か所は、ネットで地図を検索して昼食後に配達する。
会社から渡された動態地図は最新のものだから、そこに載ってないところはネットでも探すことは出来ないのだが、問題は配達物の住所・氏名と配達先の表札の違う場合なのだ。たいがいは番地があっていれば名前が違っても、ポストに投函してよいことになっているが、それでも念のためチャイムを押して、氏名の人物が在住するか確認する。
そう言ったところに、この仕事の難しさがあるわけだ。そして、別の言い方をすれば、楽しさを見出すこともできるのだ。
自画自賛の話が大分長くなった。本書はアメリカの推理作家・トマス・チャステイン氏が1985年に、NBCが「新・弁護士ペリイ・メイスン」として、ドラマ・ペリイ・メイスン・シリーズを復活させたことに刺激を受けて、ドラマのヒットがまだペリイ・メイスンが人々に受け入れられることを確認。そして、小説でもメイスンを復活させようと、試みたものだ。 巻末にそうした経緯や、ガードナー未亡人もこのストーリーを激賞したとある。
さらに、チャステイン氏は本書が書かれた翌年、1990年にはシリーズ第2弾、『The Case of The Burning Bequest』(燃え尽きた遺産とでも訳すのか?)を発表している。早川書房がその翻訳を出版しているかどうかは知らないが、できたらそちらも読んでみたいと思っているが、この辺で一旦ペリイ・メイスンの世界から退くことにしよう。
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