依頼人は死んだ | ||
---|---|---|
読 了 日 | 2016/02/16 | |
著 者 | 若竹七海 | |
出 版 社 | 文藝春秋 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 338 | |
発 行 日 | 2003/06/10 | |
ISBN | 4-16-765667-1 |
月のように月末近くになると、月日の経つのが早く感じられ、1ケ月なんて瞬く間に過ぎてしまいそうだ。今月も残すところ今日を入れて3日となった。勤めていた時と違い月末になっても、金の心配をするでもないから、気楽なものだ。
だが、特に僕のような年寄りには、残された時間がどんどん少なくなっていくようで寂しい。
寂しいといえば僕は親友を早くに亡くし、二親もこの世にいないことから、心を許せる人が本当に少なくなっている。これから幾つまで生きられるかわからないが、長生きするほどに知人が少なくなっていくのだろう。
1996年に放送された、NHK大河ドラマ「秀吉」(1996年:竹中直人主演)で、終盤「みんなどこへ行ってしまったんだ!」と秀吉が嘆くシーンがあった。辞世の句も「露とおち 露と消えにし わが身かな 難波のことも 夢のまた夢」と、天下を納めた人物の句とも思えない、寂しさが表われている?ような気がする。
もちろん一庶民の僕の場合とは、比べるべくもないのだが、早く感じる月日の流れは、次第に「最後は一人」の状態が近づいていることを実感させる。
昨日(26日金曜日)は診察の予約日で、病院に行ってきた。相変わらず血圧の数値は不安定で、今回は心機図をとると言われていたが、どんなことをするのかと思ったら、身長・体重測定の後、両手両足の血圧を測り、動脈硬化の程度を観たり(CAVIと言うらしい)することだった。
両足と大動脈に動脈硬化の疑いがあるという検査結果に、塩分を少し控えた方がいいと言われる。それに動脈の硬さが、70代後半に相当すということで、薬の服用方法が一部変わり、種類が増えた。今まで自分の身体的な機能などに気を配ることはなかったが、いよいよ本格的に老人の域に達したかと、ほんの少しがっかりもするが、体力が衰えたこと以外に格段の不都合は感じられないから、普段の暮らしにそれほどの変化はないのだろう。ウォーキングでもしてみようか?
言ったようなことは本書の内容とは、一切関わりのないことだ。本書は下表が示すように9編からなる連作短編集。僕は時々こうして年月を隔てて、さまざまな紙誌に掲載された作品が、一つのテーマに沿って作品集として1冊にまとめられることに、作家と言う才能に感心する。
僕は若竹七海氏と言う著者の本はいくつか読んできたが、格別に好きな作家と言うわけではない。実を言うと、あまりよくわからないのだ。そんなことで本書はタイトルから、面白さを期待して手に入れたものだ(と思う)。
特に大きな期待をもって読み始めたわけでもないのに(なんてことを言ったら、作者に失礼か)、探偵事務所の仕事をアルバイト的にする女性調査員とでも言ったらいいか?女探偵の活躍は、見事なハードボイルドを形成している。
読み進めるにつれて、これは思わぬ拾い物だったと思うようになった。
主人公の葉村晶は、日本版のV.I.ウォーショウスキーあk、それともキンジー・ミルホーンか、とも思える女探偵で、その調査方法や生活態度がクールで、読み終わった後もっとシリーズ作品として、続けたらいいのにと思ったくらいだ。
# | タイトル | 紙誌名 | 発行月・号 |
---|---|---|---|
1 | 濃紺の悪魔 | 週刊小説 | 1998年9月4日号 |
2 | 詩人の死 | 小説TRIPPER | 1997年冬季号 |
3 | たぶん、暑かったから | オール讀物 | 1993年11月号 |
4 | 鉄格子の女 | ポンツーン | 1998年11月号 |
5 | アヴェ・マリア | 小説NON | 1995年2月号 |
6 | 依頼人は死んだ | 別冊文藝春秋 | 228号 |
7 | 女探偵の夏休み | 週刊小説 | 1999年8月20日号 |
8 | 私の調査に手加減はない | 小説NON | 1999年2月号 |
9 | 都合のいい地獄 | 書き下ろし |
にほんブログ村 |