隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1981.未必のマクベス

2020年05月31日 | 国際サスペンス

 

未必のマクベス
読了日 2020/05/21
著 者 早瀬耕
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 613
発行日 2017/09/25
ISBN 978-4-15-031294-7

 

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白そうな本はないかと、ヤフオクの出品を見ていて目についた。2017年の発行だから、特に新しい本でもないのに、多くの出品が見られるのは、それだけ読んだ人がいるということなのだろうか?
そんなことを思いながら、一番安い価格でしかも即決という出品を選んで買った。送料含みで308円は他と比べて破格だ。どうやら僕にとっては本書を手に入れるにグッドタイミングだったようだ。
たまにはそんなことがあってもいいだろう。解説の北上次郎氏は、「恥ずかしながらまだマクベスを読んだことがない」と言っているが、僕もご同様だ。あまりにも有名なシェークスピアの四大悲劇の一つと言われているが、僕だけでなくそれらの作品を未読の人は、案外多いのではないか?
だが、どこかで簡単な解説などを読んで、読んだ気になっている人もいるだろう。本書の中でもあらすじが分かるようになっているから、少しも困ることはないのだが、この後、図書館で読んでみようかとも思っているところだ。

 

 

物語の舞台が終始、香港や澳門(マカオ)になっており、町の環境や風景が細やかに描写されるが、そうした所に取材に行ったのだろうか?
最近、作者の書物による取材か、現地取材か分からないが、あたかもその土地に精通しているかのごとき描写もあって、どうなんだろうという思いも沸く。そんなことはどうでもいいか。
要はそんな街の景色がストーリーにリアルさや、スリリングな状況を与えていればいいことだ。
ずっと前にどこかで書いたことがあるが、昔子供のころ観た東映のギャング映画で、危険な組織から抜け出すことのできない恐怖が、子供心に怖さを染み込ませたことをちょっと思い出した。本書のストーリーにも、ほんの少しだが似たような怖さがあるが、主人公の淡々とした対応に、それほどの怖さはなく彼の中学生の頃の初恋が、どういう結論を導くのかというような期待感に替わる。
何故か僕の全く知らない場所が舞台ながら、郷愁のような感覚を持つのは、昔見た映画の影響か?

 

 

葉県公安委員会から自動車運転免許の更新案内が届いた。僕の誕生日は11月2日だから、少し早いが後期高齢者は先に認知機能検査があるから、早めの通知なのだろう。自動車教習所で講義・実写指導があるため、教習所への予約が必要だ。 前回は期日が迫ってから予約したため、木更津市の教習所はいっぱいで、仕方なく袖ヶ浦の教習所に予約した経緯があったから、今年は早めにと思いすぐに教習所に電話したが、コロナウィルスの影響で教習所は閉鎖されているらしく、つながらない。
6月1日以降になるようだ。しかしそのような案内くらい出来るようにしておいて欲しいものだ、と、そんな思いを持ったが、仕方がない。歳をとるにしたがって、眼の調子が少しずつ悪くなって、メガネの度が進んでいるのだが、経済事情は我が家でも同様に厳しいのだ。
しかし、免許も同様に我が家にとって、いや、僕自身にとっても欠かすことのできないものだ。
何とか更新日までにはメガネを新しくしよう。最重要課題として予算を当てよう。

 

 

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1980.酔いどれ小籐次留書 子育て侍

2020年05月29日 | 時代ミステリー

 

 

酔いどれ小籐次留書 子育て侍
読 了 日 2020/05/17
著  者 佐伯泰英
出 版 社 幻冬舎
形  態 文庫
ページ数 317
発 行 日 2007/02/10
ISBN 4-344-40905-7

 

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リーズ2作目の『意地に候』からひと月と十日で、第7作目の本書に至る。
間に新刊を含むミステリーをいろいろと挟んで5作を読み終えたのだが、連作短編のような感じで進むストーリーは、江戸の下町で研屋を生業として、長屋に暮らす小籐次の日常を余すことなく伝える。と同時にいまだに終わらない御鑓拝借の後遺症が続いて、心休まる暇もない。
だが、江戸の人々の暖かな接触が小籐次と読者である僕を癒してくれる。
タイトルの『子育て侍』というのは、生活のためやむなく刺客となった、子連れの須藤平八郎を打ち取ったために、その子を育てることになった小籐次の事だ。律儀に果し合いの相手の求めに応じる小籐次に、周囲の者たちは呆れながらも、手を差し伸べて何かと世話を焼くのだった。
だが、赤子の駿太郎の出生には、小籐次の知らない秘密があった。子を巡る新たな騒動が小籐次と周囲の者たちを、またまた騒動に巻き込むのだ。いつ知れるともない騒動だが、そんな合間の小籐次の研屋の仕事や、野菜を売り歩くうづの心づくしが、彩やかな一風を吹かせる。

 

 

新型コロナウィルスの感染拡大が少しずつ収まっている中、25日月曜日に政府は緊急事態宣言の全面解除を発表した。従来継続していた1都1道3県について、5月31日を待たずの解除宣言だ。
だが、首都圏の境界をまたぐ移動は自粛の要請が続く。
宣言が解除されたとはいえ、コロナウィルスがなくなったというわけではないから、3密を防ぐことやマスク着用は継続する必要がある。厄介なことが継続するが、感染拡大を防ぐには、やはり個々の自粛、心掛けが大きくものをいう。
我が家ではカミさんが食料品の買い出しに、近くのスーパーを買いまわるので、お供の僕は感染が心配だが、木更津市の感染状況はもう半月ほど変化がなく、治まっている状態なので、大丈夫だとは思っている。
しかし用心に越したことはない、何しろカミさんはいろいろと持病を抱えているから、コロナに罹ったら高齢(84歳)ということも重なって、重症になることは間違いない。にも拘らず彼女は平気の平左で、臆することなく店に入るのだ。
少しは心配するこっちの身にもなれ、と言いたいところだ。

 

 

ちに待った緊急事態宣言の解除だが、街の声は良かったという声と、まだ解除は早いのでは、という声が半々だ。たった一月の自粛生活が、慣れっこになってしまって、従来のコロナ以前の生活に戻れないと感じている人も多いようだ。
環境の動物である人間だから、政府が提唱する新しい生活スタイルが、身についてしまっているのか。それはそれで結構なことだ。僕などは、自粛生活といってもメール便配達の仕事をしていることから、以前と変わらぬ毎日を送っていたため、自粛生活が普段と変わらなかった。
そんなこんなで、宣言解除になったことがどう変わったのか実感として湧かないのだ。ということは幸せなことなのか? だが、グローバルな観点からすれば、まだ感染拡大のさ中にある国もあるのだ。世界的な終息に至るまでは、時間がかかり、油断はできない。

昨日、2か月ぶりで床屋に行った。僕は近くのイオンモールにあるカット専門店が行きつけの店で、大体1か月半か2か月くらいに1回の割で通っている。いつもは空いており行けばすぐにできるのだが、昨日はコロナウィルス対策で、店内で待つのは2-3名で、後は外で並んで待っていた。
おかげで1時間以上待たされて、昼食後すぐに行ったのだが、帰宅したのは2時半だった。いろいろと面倒を引き起こすコロナウィルスめ!

 

 

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1979.誘拐捜査

2020年05月27日 | 警察小説

 

誘拐捜査
読了日 2020/05/14
著 者 緒方怜
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 381
発行日 2019/10/20
ISBN 978-4-334-77915-3

 

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月(4月)、知念実希人氏の『誘拐遊戯』を読んだ際、誘拐事件について少し書いたあと、本書のタイトルを目にして読みたくなった。
一つには、次から次へと出てくる誘拐事件が、どのように描かれているのかという興味があってのことだ。
それと、この著者・緒川怜氏の作品は、初めて読んだ『冤罪死刑』が期待通りの面白さで、続けてデビュー作の『霧のソレア』を読んだこともあって、注目の作家だった。
本作は、誘拐事件を扱ってはいるが、少し趣の異なった切り口を示しており、興味深く読み進めた。
少女誘拐事件の犯からのメールで、過去の誘拐事件は冤罪の可能性が示唆された。だが、事件はすでに解決済み、犯人は逮捕され、死刑が確定して収監されていた。

緒方氏の作品では、死刑制度の在り方や、冤罪事件への関心の深さが浮き彫りにされている。
ミステリーとしての面白さはもちろんのことだが、そうした問題提起が巧みに取り入れられて、浅学な僕にもいろいろと考えさせる。

 

 

ほぼ一日おきに読み終わった本を、ブログに投稿してきたおかげで、もうあとわずかでリアルタイムでの、読後のデータが投稿できるところまできた。
ただ今の所読書の速度がゆっくりとなっているから、リアルタイムでの投稿となると、3日や4日に一度となるから、いや、ことによると5課や6日になることもあるだろう。それでも読み貯めてきた本があったから、ようやく目標の2千冊に近づいた。 初期の純粋に楽しむための読書を、しようと心掛けてはきたものの、途中何度も義務化に傾いて、何のための読書か?という思いを持つこともあり、その都度自らに当初の想いを言い聞かせること度々だった。
本書で、1,979冊だから11月2日の81歳を迎える前に、2千冊はどうやら達成できそうだ。そんな小さな目標ではあるが、人生何か一つ目標を持てば、毎日の生活にも張り合いが生まれる。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う、緊急事態宣言の解除も行われて、これから新しい生活スタイルになるとはいえ、日常が取り戻されることになる。僕も何とか頑張ろう。

 

 

の時間を読書タイムにしているが、僕は時々休憩を入れて、テレビをつける。ウィークデイは22時(午後10時)から、BSフジの「クイズ脳ベルSHOW」を覗く。この番組の面白さは、普段見慣れない芸能人やスポーツ選手など、割合年配、あるいは高齢の方が回答者として登場することに、興味がそそられるのだ。
MCの岡田圭右氏の司会振りや、アシスタントの川野良子(フジテレビアナウンサー)氏との掛け合いも面白く、時間を忘れて見続けてしまう。
行ってみれば他愛のない内容なのだが、これはMCと回答者のやり取りや、過去の出来事などというクイズの問題の、面白さに惹きつけられるのだろう。だから、僕は終わりまで見続けることを良しとせず、いつも残念ながら途中でまた読書に戻るようにしている。
僕はごく最近この番組を見るようになったのだが、もうかなり前から放送されていたようだ。夜10時からと割合遅い時間ながらも、人気のある番組のようだ。やはり年配の視聴者も多いのだろう。

 

 

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1978.行動心理学捜査官 楯岡絵麻 インサイド・フェイス

2020年05月25日 | 警察小説

 

インサイド・フェイス
行動心理捜査官 楯岡絵麻
読了日 2020/05/07
著 者 佐藤青南
出版社 宝島社
形 態 文庫
ページ数 358
発行日 2012/11/20
ISBN 978-4-8002-0328-1

 

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動心理学などという、ちょっと難しそうな学問という気もするが、栗山千明氏の板についたような名演が、評判を呼んだようだ。いろいろ専門用語が飛び出すから、テレビでは楯岡絵麻捜査官の取調室では、容疑者に対する尋問や話しかけの際に、専門用語の字幕が表示される。
テレビ東京で、2018年10月から12月にかけて放送されたドラマ「サイレント・ヴォイス行動心理捜査官・楯岡絵麻」の続編、シーズン2が同局で、4月末から始まった。
以前にも同様の事を書いたが、僕は夜の時間を読書に割いているから、ドラマをリアルタイムで見ることはほとんどない。そのため録画機で撮りためておいて、昼間観ることにしている。DVDやBDに録っておくこともしていたが、枚数が多くなってめったに観ることがないままになっているものも多く、今では無駄な投資をやめている。
若い頃は、この若い頃というのも年齢だけでなく、精神的にも若いことを指すのだが、まだまだたっぷりと時間があると勘違いしていたころのことだ。僕が録画ということに嵌りだしたのは、刑事コロンボに嵌ったからだ。

 

 

NHKで放送されていた頃は世間の評判にも、耳目を傾けず見向きもしなかったのに、ある時カミさんの「面白いよ」の一言に、テレビを一緒に見ることになって、その面白さ、本格的なミステリー構成の面白さに、一遍で嵌ってしまったのだった。
いっぱしのミステリー通を自認していた僕だったが、多少天邪鬼だったことから、テレビドラマのミステリーを全く重要視してなかった。今考えれば全くばかげたことと分かるのだが、当時はまだまだ若(バカ)かったのだ。
そうした若さで多くの失敗を重ねてきた僕は、今では思い起こす都度一人で赤面する始末。
しかし、それでもそんな過去があるからこそ、今の僕が存在するのだと考えれば、まんざらでもないとプラスに思いが変わる。だからまた、同じ過ちを繰り返すのか!!

今日現在で、ドラマは7回を終了している。第1回から毎回ドラマに付随しているコマーシャル部分を取り除くと、本編はおおよそ45分になり、1時間ドラマは正味45分ということが分かる。スポンサー企業には申し訳ないが、僕はドラマを観る際には、いつもそのようにして純粋にドラマ部分を見るようにしている。
録画してみることのメリットはもう一つあって、それは随時トイレタイムが取れることだ。

 

 

ードディスクに録画したものは、一時停止が出来るから、いつでも自由に好きなだけ休憩を入れられる。リアルタイムで見ていると、コマーシャルタイムしか休憩が取れないから、時にはトイレが我慢できずに、コマーシャルタイムを超過してしまうこともある。
まあ、いろいろあって楽しみ方は人それぞれだが、僕のようにドラマを見ながらでも、やたらに休憩を入れる人間にとっては、録画が最適だ。

一昨日と昨日は二日続けて早く寝たから、どうやら疲れが取れたようだ。
やはり歳をとるということは、いろいろと身体的な不都合が出てくるみたいで、従来なかった疲れの持越しが、二日酔いのごとく現れることに、少し気を付けないといけない。二日酔いならぬ二日疲れも同様に、あまり気分の良いものではない。気を付けて疲れを残さないようにしよう。

 

初出(「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK)
# タイトル 発行年月
第一話 目は口以上にモノをいう Vol.6 2014年8月
第二話 狂おしいほどEYEしてる Vol.7 2014年11月
第三話 ペテン師のポリホニー Vol.8 2015年2月
第四話 火のないところに煙を立てろ 書き下ろし

 

 

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1977.酔いどれ小籐次留書 騒乱前夜

2020年05月23日 | 時代ミステリー

 

 

酔いどれ小籐次留書 騒乱前夜
読 了 日 2020/05/05
著  者 佐伯泰英
出 版 社 幻冬舎
形  態 文庫
ページ数 334
発 行 日 2006/08/05
ISBN 4-344-40826-8

 

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の『屋上のテロリスト』に12日間、2週間近くもかかって1冊を読んだのは、初めてではないか。テレビを見たりDVDを見たりが、忙しくてというほどでもないが、決してつまらない内容ではないのに、数ページ読んでは一休み、といったことが続いたためだ。
こんなことをしていたら、折角2日に1回ブログへ投稿して、11月2日前に何とか2千冊を読もうとしていることが、またダメになる。なんだかんだ言いながら、僕の読書も大変だということにしないためにも、まじめに本を読みましょう。

今回の酔いどれ小籐次の活躍の場は、水戸だ。そして、謎めいた動きを見せる間宮林蔵が登場する。シリーズもいよいよ第6弾に突入だ。
久慈屋に奉公に上がったお花が、ならず者に絡まれているのを助けた小籐次だったが、実はしおらしいお花の実態は、とんだ食わせ物だったという騒動が今回の幕開きだ。

 

 

昨日ブログに出すつもりだった本書の記事だが、ちょっと疲れが出て22時(午後10時)前に寝てしまい、何もかも放っておいてブログの事も思い出さなかった。多分、仕事疲れではないか、そんな感じがしている。もうしばらくそんな事は無かったのに、思い返せば心当たりはあるから、あまり根を詰めて何かをやるということが、このところなかったなと、反省やら後悔やら。

午前中のどんよりとした天候が、午後遅くなってから日が差して、ようやくはっきりしない天気に終わりが来たか。新型コロナウィルスの騒ぎの中、検察長の賭けマージャン疑惑の末辞職とは、なんとも言葉が出ない。
長年の功績が認められていた人物が、どうして?ということしか思いつかない。
業績の積み重ねで、信頼を売ることはやさしいことではない。だが、その信頼を失うことは簡単だ。
本人は誰よりもそんなことは承知しているはずなのに、ちょっとした心の緩みか?
もちろんそんな言い訳が通じるはずもないが、そんな事で、一生を棒に振るとは情けない。

 

 

さな身体で、正義を貫くために自分のできうる限りを貫く、酔いどれ小籐次の人気が高いのは、一本芯が通っているからだろう。彼だって一人の人間だから、過ちもあるだろうが、自分に対しても他人に対しても、誠実さがあふれている。
僕が現役の頃、教わった中で、名言と思われる言葉に、将来訪れるであろう本当の競争時代に、生き残れるには、「誠実な継続的努力が必要だ」がある。
何事に対しても、通じる言葉ではないかと、もう30年以上前に聞いた言葉が、いまだに心の中に生きている。
僕は酔いどれ小籐次にその言葉が当てはまるのではないかと感じているのだ。
このシリーズの魅力の大半は、彼が市井の中での暮らしに、充足感を持ちながら、対応していることに、「足るを知る」とはこのようなことだ、と思っている。
なんだか説教臭くなってしまった。

 

 

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1976.屋上のテロリスト

2020年05月20日 | サスペンス

 

屋上のテロリスト
読了日 2020/05/03
著 者 知念実希人
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 366
発行日 2017/04/20
ISBN 978-4-344-77465-3

 

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月21日から5月3日まで、なんと12日もかかってようやく読み終えた。1冊の本を2週間近くもかかって読んだのは、今までにないことだが、数ページ読んでは一休みと言ったことを繰り返せばこうなる、ということを改めて確認しても、何の役にも立たない。
読書に集中できないのは最近の僕の特性だ。あまり芳しくないことだから、特性というのは可笑しいか。僕の読書時間は夜が多いから、最近は、従来あまり見なかったテレビを見るようになって、つい漫然と見流すことが多くなり―そうしたテレビの見方が一番僕の嫌いなことだったので、見ないことにしていたのだが―クイズ番組などを見るともなしに見ていると、アッという間に時間は過ぎる。
そんな合間を縫って本を開くものだから、同じところを何度も読んだりすることがあって、一向に進まなかったこともあるのだ。好きな作家の作品をそんな風に読むのは、作者に対しても失礼だと思いながらも、2週間近くもそんなことを続けていた。
残り時間のあまり多くない僕としては、全くの時間の無駄遣いだ。
ということで、著者の作品は前回の『天久鷹央の事件カルテ 魔弾の射手』に次いで24冊目となった。

 

 

何というか本書の内容は、現実世界とは少しばかり異なる様相を呈していた。 第2次世界大戦に敗れた日本は、ポツダム宣言を受託せず、東西に分断された。そして、東西は一触即発の危機をはらんでいる。西日本の、「大統領は(西日本は大統領制を敷いている)開戦の可能性に言及」と、新聞は報道している。
東日本連邦皇国が領有権を主張して、西日本の佐渡島に陸軍を侵攻させているからだ。
そんな中、西東京市、滝山高校の酒井彰人が、屋上から飛び降り自殺を図ろうとした丁度その時、「飛び降りるの?」と、声をかけてきた少女が。
そんな状況から物語は始まる。彼女―佐々木沙希と名乗る―は彰人に「アルバイトをしないか?」と誘いをかけてきた。佐々木沙希は西日本を代表する大企業・四葉グループの会長だという。

 

 

日は息子の入所している福祉施設から、正確には施設利用者(主として知的障碍者)の、保護者の団体である天羽支部から、昨年度の決算報告並びに、今年度の予算案だった。
新型コロナウィルスの感染は、時と所をかまわずに拡大させる。そして、福祉施設や、その利用者にも影響を及ぼすのだ。毎年3月、5月に開催される天羽支部会が中止となっての、書類審査と決済になった次第だ。
不幸中の幸いというか、施設の内、グループホームの主たる所在地は富津市で、感染者ゼロの区域だ。

我が息子が利用しているグループホームの、管理責任者には何度か電話で、様子伺いをしたが、何事もなく利用者は元気で過ごしているとのことだった。利用者たちが健康的な生活を送っていることが、保護者としては何よりの安心。このまま収束に向かってほしい、というのが切なる願いだ。

 

 

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1975.medium 霊媒探偵 城塚翡翠

2020年05月18日 | サスペンス

 

 

medium 霊媒探偵 城塚翡翠
読了日 2020/04/20
著 者 相沢莎呼
出版社 講談社
形 態 単行本
ページ数 380
発行日 2019/09/10
ISBN 978-4-06-517094-6

 

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邪鬼な傾向のある僕は、従来なら決して手にすることのない本だ。
が、最近はそうしたことがなくなったのだろうか?それとも僕の性格を以てしても、読みたくなる魅力的な本なのだろうか?
それはともかくとして、随分と世間の評価は高い。その評判通りに優れたミステリー作品だから、僕に「読め!」と言っているのだろうか?
いろいろと考えさせられる本だが、ヤフオクで適当な価格で落札できたことも幸いだった。
とにかく手にしたからには思い切り楽しむことにしよう。
一般的なミステリー形式―もしそういった形式があるとすればの話―で事件が起きて、状況や証拠から警察の協力して、難事件を解決してきた、推理作家の香月史郎。彼が大学の後輩から紹介されたのは、霊媒師といわれる城塚翡翠という女性だった。
香月はその後輩の倉持結花(ゆいか)と二人で会った城塚翡翠は、少女とも見える若くて、薄くらい部屋のせいか、神秘的な感じのする女性だった。だが、彼女は倉持ばかりか香月の職業まで当てた。

香月はその城塚翡翠の霊視に協力を得て、ますます事件解決に情熱を燃やすのだ。
が、問題は全く証拠を残さない連続殺人鬼だった。城塚翡翠の霊視は証拠にならないため、解決に至るには何とか証拠を固める必要があった。だが、殺人鬼の魔の手は城塚翡翠へと近づいていた。
多くの書店員が驚きと称賛の声を寄せている本書に、僕も同様の読後感を持った。

 

 

数日前に木更津市役所から、「特別定額給付金申請書在中」という封書が届いた。例の一律10万円という給付金だ。マイナンバーカードを持っている人は、オンラインで申請が出来るということだが暗証番号を忘れたなどという問い合わせが、殺到して役所と市民との間で大騒ぎというニュースが、テレビで報じられていた。我が家はマイナンバーカードを申請してなかったから、届いた申請書を記入して、「本人確認書類(運転免許証のコピー)」と「振込口座(通帳のコピー)」を貼付して、今日ポストに投函した。
我が家にとっては、3人分の給付金は、ありがたいが、困窮している世帯にとって、どれほどの助けになるのだろうと、ちょっぴり疑問に感じることも。
2月に中国での新型コロナウィルスの発生ニュースを聞いた時には、世界的な脅威に陥るとは思ってもいなかった。
市役所の説明書には、輸送申請に対しては5月29日から、オンライン申請は5月19日から、それぞれ順次振り込みとの記載がある。木更津市ではどの程度のオンライン申請があったのだろうか?
あまり芳しくなかったマイナンバーカードだが、それでもカードを申請した人は、それなりに居るのだろう。 いずれにしても、楽しみに待つとしよう。

 

 

曜日(16日)のニュースで、アメリカのGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)、JCペニーが連邦破産法(日本の民事再生法にあたる)を申請したという報道があった。
僕は驚きとともに深い感慨にふけった。ニュースではアメリカの老舗百貨店という解説があったが、日本の百貨店とは少し品ぞろえの点などで異なるが、総合的な品ぞろえと大規模なショッピングモールを経営する企業だ。
僕はサラリーマン現役の頃、このJCペニーやシアーズ・ローバック(現在はシアーズホールディングとなっているようだ)といったGMSを始め、Kマート、トレジュアリー等のDS(ディスカウントストア)、ウルワース、クレスといったVS(ヴァラエティストア)、またビルダースエンポリアム、ハンディマンなどHI(ホームインプルーブメント)、これらチェーンストアの経営を学んだ。
昭和50年から55年ころの話だ。昭和もだんだん遠くなって寂しくなる今日この頃だ。

 

 

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1974.行動心理捜査官 楯岡絵麻 サイレント・ヴォイス

2020年05月16日 | 警察小説

 

 

サイレント・ヴォイス
行動心理捜査官 楯岡絵麻
読了日 2020/04/17
著 者 佐藤青南
出版社 宝島社
形 態 文庫
ページ数 358
発行日 2012/11/20
ISBN 978-4-8002-0328-1

 

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年前の2015年9月に読んだ『ブラック・コール』が、このシリーズ作品の第2弾で、本書はその第1弾。
順序が逆になった。「朝は朝星、夜は夜星、昼は梅干し食べながら、アア酸っぱいは成功の基・・・」というのは、昔一世を風靡した落語家・柳亭痴楽師匠の名調子だ。僕の失敗から脈絡のないことを思い出した。
余分な話だが、僕はこの師匠の落語が好きだった。何より七・五調で調子が良くて、中でも好きだったのは痴楽綴り方教室、恋の山手線だった。後者は山手線の駅名をもじって1周するのだが、初めてそれを聞いた時には、笑い転げながらもそのセンスに驚いたものだ。
そんなことを思い出しながら、もう一度あの名調子が聞けないものかと、ユーチューブを検索したら、なんといろいろとあるではないか。綴り方教室や恋の山手線を聞きながら、我慢できずに笑い転げた。
僕は時々このユーチューブに救われている、というか利用している。特に昔の歌のちょっとした歌詞で、タイトルが思い出せない時など、検索した後ユーチューブでその歌唱を聞いたりしている。ユーチューバーたちの多くの登録により、便利にしており、先だってもサントリーの金麦というビールのコマーシャルに、テレビでよく見た檀れい氏の明るい笑顔が見たくて探したら、何種類か出てきて改めて、彼女の陽気な笑顔と場に即した演技を見ることが出来た。

 

 

檀れい氏が出たついでにもう一つ二つ。僕は今言ったように彼女のこのコマーシャルの演技が好きで、地の彼女もこうした気質を持ち合わせているのではないかと思っている。そんなことから以前、彼女が主演した『福家警部補の挨拶』が、2014年1月から3月にかけて、フジテレビ系列で放送されたのを見て、その特徴や良さが全く見られなかったので、がっかりした。
このドラマは同じタイトルの大倉崇裕氏のミステリーを連続ドラマ化したもので、稲垣吾郎氏が共演した。
同じタイトルのドラマはそれよりずっと前の2009年1月に、NHKで永作博美氏の主演によるドラマが放送された。
永作博美氏の演技は原作の良さを現しており、競演の草刈正雄氏をたじたじとさせる程の、達者な演技だった。
そうしたドラマを受けてのCXのドラマ化だと思ったが、こちらのドラマはむしろ共演の稲垣吾郎氏を主演にしたというような感じだったのだ。

 

 

家警部補のコスチュームだけが奇抜なだけで、人物が全く描かれていないという印象だった。ところが檀れい氏の良さが生かされていないミステリードラマは、残念ながらもう一つあった。
それは、森博嗣氏の瀬在丸紅子を主人公とした同じCXの『瀬在丸紅子の事件簿』だ。2015年2月に放送された。
ドラマはそれぞれ名の通った監督や脚本家によるものだろうから、むやみに貶してよいものではないが、とにかく僕は主演の女優さんを全く活かしてない脚本や演出には腹が立つほどだ。
もう古い話だから、このくらいにしておこうか。

シリーズ2としてこの“行動心理捜査官 楯岡絵麻”シリーズが、再びドラマ化されるのは、前作の評価が高かったからだろう。主演の楯岡絵麻にふんした栗山千明氏も、彼女自身にまとった雰囲気が役柄にぴったりと治まって、原作の味わいを現している。

佐藤青南氏の原作は今年3月に発刊された、『ツイン・ソウル』まで8巻が刊行されている。連作短編集の形をとっているが、楯岡絵麻というその名前から、通称“エンマ様”と呼ばれる彼女は、行動心理学を応用した巧みな聞き取りや尋問で、容疑者を自白に追い込む手法は、同僚の刑事でさえ騙されるほどだ。
またまた、全作読んでみたいシリーズが、僕の読書に新たに加わった。

 

 

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1973.人面瘡探偵

2020年05月14日 | サスペンス

  

人面瘡探偵
読了日 2020/04/15
著 者 中山七里
出版社 小学館
形 態 単行本
ページ数 301
発行日 2019/11/20
ISBN 978-4-09-386555-5

 

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和初期の探偵小説を思わせるような、ちょっと不気味な感じのするタイトルだ。中山七里氏の作品は本書で44冊目となった。それでもまだ、未読の新刊が数冊残っている。
全く驚くばかりの執筆振り。この調子だと生涯何百冊、いや著作は千冊にも達するのではないか!そんな思いを抱かせる健筆だ。
しかも著者の作品は終末で、それまでの流れを一変させるような、いわゆるどんでん返しといわれる、仕掛けが施されているのだ。そこから世間では彼を“どんでん返しの帝王”などと呼んでいる。
そうしたストーリーの流れはデビュー作から続いている。多彩なテーマで物語を紡いでいるのに、必ず終盤でアッと驚くような展開を示すには、前もってマジックの種を用意しておくから、ストーリーの流れに沿って伏線が張り巡らされている。が、残念だが、そういうことはずっと後になってからでないと分からない。
そして、「アッ!そうだったのか。」と、驚くやら、悔しがるやら、ということになる。
だが、僕が著者の作品に惹かれるのは、もちろんそんな事ばかりではない。何よりストーリーの面白さ、登場人物のキャラクターの魅力、また、シリーズ作品の展開等々、惹かれる要素は多々ある。

 

 

話は違うが、最初、昭和初期の探偵小説みたいなタイトルだと書いたが、歳をとった今だから、昔のことを懐かしく感じるのかもしれない。怪談めいた怖い話というのが、当時の探偵小説に多かった。
もちろんそういう話ばかりではないのだが、一般的にそんな解釈がされていたような気がする。横溝正史氏も新青年の頃は、そうしたものを目指していたのかも。そんなところから、僕の想いに至ったのかとも感じている。
もっとも横溝氏の場合は、早い時期にアガサ・クリスティや、ヴァン・ダイン等々の作品から、本格推理を目指して、金田一耕助という名探偵を生み出したことは、ミステリファンの周知の事実だ。
随筆などで明かしているように、横溝氏は自身の作風から、世の大勢からは受け入れられないもの、一部の探偵小説ファンのみが読むものというような認識をしていたらしい。
今は一人歩きの感も免れないような、横溝正史ミステリ大賞も僕などが思っていたのとは、全く異なる方向へと向かっているみたいだ。
話が横の細道に入ってしまった。

 

 

て物語は、相続鑑定士の三津木六兵が、信州随一の山林王・本城蔵之助の死に伴う、遺産相続に関しての依頼に応えて、現地を訪れるところから始まる。
昭和の匂いや風俗が色濃く残った山間の地、家政婦だという鈴原久瑠実の案内で着いた本城家は、そんな山深くの場所だった。そして、見たところあまり芳しくない経済状態が窺われた。
ところで、三津木六兵の右肩には人の顔とも見える傷がある。その人面瘡は、恐ろしく頭が良くて、回転も速いのだが、その反面口が悪く六兵はいつもやり込められている。だが、六兵はしばしば彼の助けを借りて、危急を脱してもいるから、難しい問題はどうしても彼の助けを借りることになるのだ。

相続が絡めば欲得が先行するのが世間一般の通例だが、二束三文と思われた山林が宝の山だと分かった途端、長男、次男と続けて不審死を遂げてしまう。
そんな中で三津木六兵の相続鑑定はどんな結論に至るのか?

 


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1972.刑事に向かない女

2020年05月12日 | 警察小説

 

 

刑事に向かない女 違反捜査
読了日 2020/04/13
著 者 山邑圭
出版社 KADOKAWA
形 態 文庫
ページ数 300
発行日 2019/10/25
ISBN 978-4-04-108644-5

 

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mazonのサイトでおすすめ品の中にあって目についた1冊。タイトルが気になったのは、似たようなタイトルを読んでいることから、余計に目に入ったのだろう。
それほど読みたいと思ったわけではないが、たまたまヤフオクに、行動心理学捜査官 楯岡絵麻シリーズの『インサイド・フェイス』と、バンドルで安く出品されていたので、落札した。
落札したといえば、聞こえはいいが僕の場合は、出品価格そのままかあるいはほんの少し高めの価格でしか落札しない。終了時刻ギリギリに価格をアップするなどということは、めったにしないから、惜しくも逃すということは結構多い。だが、運よく落札できることだけを願って、入札する。
本書は2冊のバンドル出品が、両方読んでみたいと思った本だから、行幸だった。
まだまだ僕が知らないことは本の業界にも多くて、ファンの間ではこの著者も有名な方らしい。最近は好きだった漫画や劇画から遠ざかっているから、その方面の知識が全くなくて、この作者も本書で初めて知った次第。
それでも僕が目にして、こうして読むことが出来るのは嬉しいことだ。

 

 

僕が似たようなタイトルだと感じたのは、一つはP・D・ジェイムス女史の『女には向かない職業』、もう一つは桜庭一樹氏の『少女には向かない職業』、確か僕両方とも呼んでいるはずだが、内容は忘れた。
古いデータを顧みると、先に読んだ『少女には・・・』の方は、まだ中学生の少女を主人公としたストーリーだが、少し毒を含んだ少女たちの闘いの物語である、と僕は書いてある。が、それだけではどうにも思い出せない。
もう一つの方の『女には向かない・・・』の方は、パートナーガ自殺して遺言により、譲られた探偵事務所を引き継ぐというスタートで始まる物語だ。どちらかといえば、後の方が本書の傾向といえるだろう。
本編の主人公は、警察官だから自ずと僕の読んだ2編とは異なるが、それでも向かないといわれながら、職務に励む姿は、実際には向いているということの反意語で、実際には刑事に向いている女という意味なのだ、ということが全体を通じてあらわれている。

 

 

年、物語における女刑事の活躍はすさまじく―というほどでもないか?―と僕には思えるほど、多くの作家が手掛けている。今でも3Fの時代を引きずっているのだろうか?
でも、僕はそうした現象が好ましく思えて、せっせと読んでいる。男性作家の描く女性主人公も、魅力的なキャラクターが多くて、この物語の主人公である椎名真帆も、気に入った女性キャラクターの仲間入りか。

それにしても、またもや僕は過ちを犯したらしい。というほど深刻なことではないが、本書はシリーズの第2作だった。そうした間違いは珍しいことではないが、お気に入りのキャラクターがどのようにして現在に至ったか?そんな経緯が分かったほうが、物語は数倍面白く読める。
そう思いながらシリーズ作品を、順番に読むことを心掛けている最中の間違いは、ちょっといただけない。
近々第1巻を読みたいが、図書館の臨時休業は5月末まで続くようだ。どうしよう?

別に思い悩むことではない、読む本は山積みになっている。

 

 

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1971.暁天の星 鬼籍通覧

2020年05月10日 | メディカル

 

 

暁天の星 鬼籍通覧
読了日 2020/04/11
著 者 椹野道流
出版社 講談社
形 態 文庫
ページ数 381
発行日 2019/09/13
ISBN 978-4-06-517081-6

 

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月11日にブログへの投稿のために原稿を書いているときに、この著者の詳細をデータベースに加えるべく、ネットを閲覧して女性であることを確認して、「ああ、やっぱり・・・」と自分を納得させる。
別に本を読んで性別を予測したわけではないが、主人公(字は異なるが、作者と同じ伏野ミチル)の言動がなんとなく著者の経歴に由来するのではないかと、思ったのだ。ネットによれば、“非常勤講師として某大学の監察医だった”という記述があり、先述のような具合となったのだ。
別に作品を読むうえで作者の性別は何のかかわりもないのだが、従来女性作家のすぐれた作品を多く読んできたことから、出来ればこれからも女性作家の面白く読める作品を、大いに期待しているのだ。

法医学ミステリの金字塔! そんな帯の惹句にふさわしく?ストーリーは冒頭から死体の解剖シーンが飛び出す。目次を見れば、一章、二章といった具合に、普通頭につく第がここではついていない。五章まであり各省の間に、“飯食う人々”という間奏が入る構成だ。

 

 

大阪府T市のO医科大学基礎研究棟の五階に、都築壮一教授のもと、助手が伏野ミチルという女性、技師長の清田と技術員の森陽一郎、そして秘書の住岡峯子というメンバーの法医学教室がある。そこに大学院生として今度入ってきたのが伊月崇だった。
本来なら助教授とか講師とかがいるのだが、「うちは人がおらんのや・・・」だから、どちらもおらん。と云うのが都築教授の伊月への説明だった。
そうした幕開きでストーリーがスタートする。しかし、伊月は駅前でティッシュを配ってそうな、貧乏くさくてとろそうな姉ちゃん(伏野ミチルの事だ)が、医者であることや、彼女が「心の安定は財布の安定からよ・・・」というようなことに、唯々驚くばかりだ。
そして、伊月にとって初舞台ともいえる待望?の解剖が入る。その場で、伊月は立ち合いの警官の中に、見知った顔があるのに気づくが、彼の方が伊月を見て小学校の同級生だというのを聞いて、伊月も思い出すのだった。 そんな教室の風景からは想像出来ないような、伏野のてきぱきとした解剖が始まる。

 

 

日はうっすらとした雲に覆われた空から、小雨もパラついてあまり気温も上がらなく、うすら寒いような感じだが、いや、それは感じだけで実際は寒いわけではない。
昨日の日曜日には、外出自粛が少し緩んで、人出が増えたところもあったようだ。そんな中、僕は金曜日の仕事の後始末である、配達先の名簿をExcelの表にする。丁目、番、号と連番を入力すると、集合住宅名や、氏名が表示されるという、表引き関数(検索関数)を使った表だ。
昨年の半ばごろまでは、手書きで表を作って、配達先を書いてから仕事に取り掛かっていたから、その準備にかなりの時間がかかっていた。もっと早くから、パソコンを使っていれば、時間の節約ができたのだが、いかんせん面倒だという意識が先に立って、なかなか手を付けられなかったのだ。
今時手書きは流行らない、手紙ではないのだから、折角あるパソコンを多いに利用して、仕事の能率を高めよう、そうした思いが実を結びつつある。

 

 

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1970.盗まれたフェルメール

2020年05月08日 | 絵画

 

 

盗まれたフェルメール
読了日 2020/04/09
著 者 朽木ゆり子
出版社 新潮社
形 態 単行本
ページ数 254
発行日 2000/03/30
ISBN 978-4-10-600585-9

 

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ランダの画家、ヨハネス・フェルメール。その名を聞くだけで心が躍るのは何故だろう?僕はそれほど絵画に詳しいわけではないが、子供のころから絵を描くことが好きで、決して上手なわけでもないが、そうしたことから名画の鑑賞も好きなことの一つだ。
最近はめったに見なくなったが、NHK Eテレの日曜美術館にはずいぶんとお世話にもなった。
その割には忘れっぽいことが災いするのか、フェルメールの名を知るのはごく最近の事だ。何年か前に我が国でもフェルメール作品の展示会が東京上野の森美術館と、大阪市立美術館で開催されて、一大ブームを引き起こした。それに伴って新しいファンも急増した(らしい)。
僕もそういった中の一人だ。
残念だが僕はどちらにも行ってないが、会場はたくさんのギャラリーで埋め尽くされたようだ。
それはさておき、本書は1990年、アメリカはボストンのイザベラ・スチュアート・ガードナー美術館で盗難の被害にあって、今もってその行方が知れないフェルメールの『合奏』という絵画についてと、そのほか絵画に関する論文と言って良いだろう。

 

 

イザベラ・スチュアート・ガードナーとは、19世紀半ばにボストン上流階級の実業家と結婚して、アメリカでも有数の美術品蒐集家となった夫人で、その蒐集品を展示するのがガードナー美術館だ。1990年の盗難事件はフェルメールだけでなく、レンブラントの「ガラリアの海の嵐」と「黒装束の婦人と紳士」の他、全部で13点が被害にあったのだった。その13点の内『合奏』が展示されていた額縁は、今も中身のない空の状態の額のみが、展示室に飾られているという。

世界的な名画ばかりでなく、それほど有名でない絵も盗賊たちの標的になって、政治的な理由や金銭を目的とするものなど、現在でも絵画の盗難事件は頻発しているらしい。
政治的な理由とは、政治犯もしくはテロ行為等で、収監されている同志の釈放を、盗んだ絵画の返還とを交換するということなのだ。そうした例は過去に何例もある。論文ともいえる本書は、一方そうした絵画の盗難事件の歴史と詳細も語られて、絵画を中心とした芸術をも語っているのだ。

 

 

たまたま僕はオランダの画家・ヨハネス・フェルメールのファンということで、本書を手に入れたのだが、その壮大なドラマを見たような気にさせる本書の内容に圧倒される。
今まで読んできたフェルメールに関する小説とは、一線を画すかのような、グローバルな盗難に関する考察は、読書の楽しみと簡単に言いにくいような読後感を持ったのだ。中でも生涯30数点しか残さなかった、オランダの画家・フェルメールの作品は、1970年代からでさえ、5回も盗難にあっているそうだ。
もちろんその他の著名な画家の作品に至っては、ピカソが385点、シャガールが249点など、いまだ行方不明の作品が数多い。絵画の盗難は有名無名の作品を合わせれば、その数は膨大なものなる。本書に記された絵画の経歴がその盗難事故によっても、全く別の側面を現して行く。
フェルメールファンの僕は、この後もまだまだ数えきれないほどの、関連書籍の中から読みたい本が出てくると思う。が、そうした本を読むにつけても、本書の内容を参考にしたり、盗難について、改めて本書を開いたりすることが多くなるだろう。

先月(4月)末から続いた長い休みが昨日で終わり、今日からまた仕事が始まる。緊急事態宣言は延長されたが、僕の仕事はかかわりなく通常通り行うことが出来るのが嬉しい。
メール便配達の仕事は、人と接することはまずないから、自粛要請からは外れている。朝から晴れ上がって少し寒さを感じたが、日中は20℃前後まで上がり、この時期らしいすっきりとした陽気になり、仕事も捗る。

 

 

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1969.酔いどれ小籐次留書 孫六兼元

2020年05月06日 | 時代ミステリー

 

 

酔いどれ小籐次留書 孫六兼元
読 了 日 2020/03/29
著  者 佐伯泰英
出 版 社 幻冬舎
形  態 文庫
ページ数 317
発 行 日 2006/02/10
ISBN 4-344-40751-2

 

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いどれ小籐次シリーズ第五弾。出版社・幻冬舎のウェブサイトやWikipediaによれば、シリーズ作品は十九巻まで刊行されているようだ。更に新・酔いどれ小籐次シリーズとして、文春文庫から、2019年8月までに、十五巻が発売されている。
文春文庫の方は頭に「新」という文字がかぶされているから、幻冬舎の文庫と重なっていることはないと思うから、正に大河ドラマの様相だ。
出来れば続けて全部読みたい、という気はあるが、いつもの例に従えば、他にも僕が読みたくなるミステリーは山の如くにある。なかなか思い通りに事は運ばない。などというの僕の身勝手で、読もうと思えばできるのだ。
前にも書いたが、ほとんどのものは木更津市立図書館に蔵書があり、コロナ禍が終息すれば借りて読むことが出来るから、問題は僕が他からの誘惑に勝てるかどうかが問題なのだ。

 

 

前に、このシリーズがドラマ化されて、NHKで放送されたものを、録画したとばかり思っていたら、それは僕の記憶違いだったことを書いた。仕方がなくレンタル店で、DVDを借りて見よう、ということで、近くのTSUTAYAに行って、酔いどれ小籐次シリーズのDVDを探したら、在庫はなく取り寄せということだった。
今同店では旧作のDVDは、一枚100円で貸し出しているが、取り寄せ商品はレンタル料が高くなるのか?問い合わせてみようと思ったが、緊急事態宣言で休業となってしまった。

僕は見たいと思う欲求が抑えきれず、DMMのレンタルで「酔いどれ小籐次2」と「酔いどれ小籐次3」をレンタルした。
1枚につきNHK放送時の3回分が収録されており、2は2,3,4話、3は5,67羽が入っている。見ていたら、1枚目の3話の終盤でブロックノイズが入り、ストップしてしまう現象が生じた。3の方はトラブルもなく3話を見ることが出来た。DMMに電話すると、現在代わりのものが手配できないので、1枚分のレンタル料は返金するということだった。
ドラマは『御鑓拝借』で観た竹中直人氏が、本を読んで頭に描いてイメージしていたのと、そっくりそのままの扮装や動きで、期待通りだったが、ドラマは原作とは多少異なる進行で、その辺に多少違和感があるものの、大いに満足した次第。

 

 

書のタイトル「孫六兼元」とは、刀の銘で、初代関の孫六が鍛えし名刀。芝神明から盗まれた宝剣雨斬丸を、小籐次が取り返したお礼にと、大宮師から贈られたものだった。長い年月芝神明の刀箪笥に仕舞われていた兼元を、小籐次は研ぐことになるのだが・・・・。
その名刀がもとでまたもやひと騒動を招く。

緊急事態宣言の1か月程度の延長が決定したということで、休業を要請される企業は、より厳しい状況が続く。相応の支援はあるだろうが、支援だけで企業活動を継続できる保証は何もない。
個人にしても一律支援の10万円がどれほどの役に立つだろうか?なんにしても一日も早い新型コロナウィルスの感染力拡大が終息しないことには、始まらないのだ。治療薬やワクチンの開発は、各国で懸命な努力が積み重ねられているが、これといった確実なものは何一つないのが現状だ。
と、まあ、僕も一人前の事を書いているが、貢献できることは何もない。「Stay Home(ステイ、ホーム=お家に居ましょう)」といういささか消極的ではあるが、感染拡大防止の基本的な対策?だ。

 

 

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1968.騒がしい楽園

2020年05月04日 | サスペンス

  

騒がしい楽園
読了日 2020/03/27
著 者 中山七里
出版社 朝日新聞出版
形 態 単行本
ページ数 242
発行日 2020/01/30
ISBN 978-4-02-251662-6

 

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月24日図書館からのメールに気付き開くと、「予約の資料が用意できました」という、本書の順番が回ってきた知らせだった。あいにく当日は火曜の休館日だったので翌25日に行って借りてきた。
コロナウィルスの感染予防のため図書館は通常営業は31日まで臨時休館だが、予約などの貸し出しは行っていた。全く厄介なコロナウィルスだ。
という3月の書き出しだが、まだその頃は緊急事態宣言もなく、今よりは少しマシだった。
図書館のみならず、臨時休業のところも多くなって、強制力はないにもかかわらず、営業の自粛が粛々と守られている現状は、感染力の拡大を守ろうとする、市民の力だ。
カバーのイラストから想像できるように、幼稚園か保育園に関わる内容か、と思いながら読み進めると、まさにその通りだった。
子供を預かってある程度の教育を施す、という点では保育園も学校と同様だ。そこで働く神尾舞子という女性が本編の主人公。

 

 

こうしたストーリーで、よくあるパターンの一つに、モンスターペアレンツというのがあって、僕の嫌いなシチュエーションなのだが、そうした一面はあるにはあるが、ここではそれとは少し異なる問題が。
保育園への嫌がらせは池に毒物を混入して、魚やザリガニを死滅させたのが始まりで、飼っていたアヒルの首が落とされる、蛇の死骸が投げ込まれる、そして猫の死骸と続く。舞子の同僚、池波先生は「魚から爬虫類(蛇)鳥、そして哺乳類、最後には霊長類と続くのではないか!?」と不気味な予測をするが、事態はその通りになる。
作者の中山七里氏は、どんでん返しの帝王と言われており、どの作品でも終盤に至り、状況を一変させる結末が提示されて、ミステリーの醍醐味が味わえる作品を提供する。
もちろんこの作品も例外ではなく、保育園への嫌がらせという小さな事件から、大きな事件へと発展させていく過程が見事だ。

 

 

時期保育園の建設が高齢者から、雑音問題として建設に反対する運動が、待機児童を抱える保護者を悩ませる問題となっていた。この物語の中でもそうしたクレームを持ち込む、老年の自治会長が登場する。
待機児童問題や騒音問題と、社会の割とどこにでも存在する課題は、簡単に解決することではないから、時々新聞やテレビで報道されるのを、見聞きするにつけ、他人事とは思えなく悩ましくなるのは、障碍者を子に持つ僕の偏見だろうか?
こうした問題は、意見や立場の異なるもの同士には、なかなか同意点が見いだせない、ということで解決困難の様相を示すのだ。

一向に終息の端緒も見せないコロナ禍も、その道の専門家でさえこれといった解決策を示せない状況だ。我が国の主導?で、ワクチンや薬剤の開発が急速に高まっている。医療関係者たちの努力が報われる事態が、早く訪れることを願う。

 


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1967.密室蒐集家

2020年05月02日 | 本格
密室蒐集家
読了日 2020/03/24
著 者 大山誠一郎
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 286
発行日 2015/11/10
ISBN 978-4-16-790488-3

 

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つだったか、どこだったか忘れた。僕の記憶はいつでもこんな具合なのだが、多分雑誌の書評ではないかと思う。著者・大山誠一郎氏についてと、本書の紹介があって、興味を持たせる文章に読んでみたいと思った。 何年も前の事だ。
ミステリー好きにとって密室というのは、永遠のテーマだが、読者である僕の課題ではなく、あくまで作者の方の問題だ。
大昔はどちらかと言えば、機械的なトリックで密室を作ることが、歓迎された時代もあったが、作者や読者はそれに飽き足らず、錯覚によるものや心理的な要素が作る密室など、色々と工夫が凝らされてきた。
識者によれば、もう密室のトリックは出尽くしたのではないか、ということも言われているようだ。そんなことから僕も、若い頃のような密室にこだわる気持ちも薄れつつあった。
それでも気持ちのどこかには、やはり密室はミステリーの王様だという思いが残っていて、本書を手にして期待が徐々に高まる。

 

 

 

最初のストーリーは、読んでいた本を忘れて、校庭の木のそばで読んでいたことを思い出して、夜になって取りに行くという女子高生の話だ。校庭に忍び込んで、鮎田千鶴は本を拾ってカバンに入れて、立ち去ろうとしたとき、音楽室から明かりが漏れていることに気付いて、近づいて行ってそこで音楽教師が、何者かに殴り殺されるところを目撃する。
視角の関係で犯人の姿を見ることはできなかった。職員室にいた英語の教師と、現場に戻ると音楽室は鍵が掛かっている。音楽室の鍵は小使いの部屋だ。そこで二人は小使いの部屋に行って、鍵を持って小使いとともに3人で現場に引き返す。
鍵はかかったままだから、犯人はまだ部屋の中か?ところが中には殺された音楽教師だけだった。
という最初の密室だ。続いて、「少年と少女の室」、「死者はなぜ落ちる」、「理由ありの密室」、「佳也子の屋根に雪ふりつむ」と全部で5つの密室が語られる。

 

 

日は急に夏が来たかと思うような、穏やかだが暑い日だ。
暑さのピークと言った日だが、明日からも今日ほどではないにしても、晴れて温度の高い日が続くようだ。しかし、緊急事態宣言はあと1か月ほど延長するというのが、専門家会議の結果を踏まえて、政府の方針だ。
一律10万円の給付を含む補正予算が決定して、早くも実施に踏み切った自治体もあるが、それで事態が良くなることはなく、休業による事業の衰退に悩む人々の救済に、どれほどの支援が及ぶのか?
あまり明るいニュースは聞こえてこないのが現状だ。
4月24日のブログに、千葉県の新型コロナウィルスの感染者が、726人になったと書いたが、昨日(5月1日)現在、感染者数837人、死者33人となっている。1週間で100人余り増加していることは、決して少ない数ではない。
幸いと言って良いかどうか、木更津市は11人のまま増加はしてないが、油断はできない。今一度気を引き締めて、掛からないといつ爆発的感染(オーバーシュート)が発生するか分からない。

 

初出(単行本 2011年10月 原書房)
# タイトル 紙誌名
1 柳の園 1938 年 書き下ろし
2 少年と少女の室 1953年 「密室晩餐会」原書房2011年
3 死者はなぜ落ちる 1965年  書き下ろし
4 理由ありの密室 1985年 書き下ろし
5 佳也子の屋根に雪ふりつむ 2001年 「不可能犯罪コレクション 原書房」2009年

 

 

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