隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0498.ヒミコの夏

2004年06月28日 | エコロジー

 

ヒミコの夏
読 了 日 2004/06/28
著  者 鯨統一郎
出 版 社 PHP
形  態 単行本
ページ数 287
発 行 日 2003/08/22
ISBN 4-569-62990-3

 

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冊目となる著者の作品は、シリアスなテーマの長編だ。
これまでに読んだ3冊の作品は、ユーモアを交えながら、ロジカルな展開を示す本格ミステリーだったが、今回はスタートからミステリアスな様相を見せて、先行きの展開を予想させない雲行きだ。

雑誌「週刊ワード」のライター・永田洋祐は取材先の田んぼにたたずむ少女を迷子だと思い保護するが、警察へ行くのを嫌う少女に不振な思いを持ち問いただすと、両親を警官に殺されたと言う。
彼女の断片的な話はよく理解できなかったが、永田は仕方なく少女を自宅へ連れ帰る。永田の取材は稲作の無農薬栽培についてだったが、編集長の久保寺から焦点をヒミコに絞れといわれる。ヒミコは米の銘柄で、最近コシヒカリに迫る勢いで消費者の人気が高まっている。急激にシェアを伸ばすヒミコに、久保寺は何か裏があるとにらんだのだ。
そして、少女の近辺を洗っていた永田は、彼女の父親はヒミコの開発者・江藤邦夫だと知る。


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0497.解体諸因

2004年06月23日 | 本格

解体諸因

解体諸因
読 了 日 2004/06/23
著  者 西澤保彦
出 版 社 講談社
形  態 新書
ページ数 357
発 行 日 1995/01/05
ISBN 4-06-181728-0

 

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者の作品を初めて読んだのは、昨年1月アンソロジー「不条理な殺人」に収録された「見知らぬ督促状の問題」という短編だった。
だが、著者の名前はその前宮部みゆき氏の文庫のどれかに書かれていた解説だ。そのときは著者が作家であることは知らなかったのだが、後々方々で名前を見ていくつかの作品を発表している作家だと知って、興味を持つにいたった。そして今年に入ってすぐに、タイトルに惹かれて、「完全無欠の名探偵」を読んだ。
というようなことをその「完全無欠の名探偵」のところで書いたが、その後著者のデビュー作が本書と言うことで、読もうと思い立ったと言うわけだ。

 

 

実はこの文章は読後すぐに書いたわけではなく、古いデータを整理しようと思い、今、2013年8月1日だが、この本いついての文章がなく空白だったことから改めて、その空白を埋めるために書いているのだ。
もちろん内容などきれいに忘れているから、もう一度ざっと目を通しておこうと思って、取ってあった本書を開けば、分厚い新書は上下2段組で570ページ弱もあって、ざっと目を通して内容を確認するなど不可能だとわかる。

著者のあとがきを見ると、世間の認識(首なし死体さえ転がしておけば、ミステリは簡単に書ける)を破って、首なし死体がごろごろ出てくるミステリを書けばどうだ、という意気込みで本書を書いたと言うことだ。
八つもの首切り事件が描かれる事件の、首切りの真相はいかに?
後にシリーズとなる名探偵・匠千暁の推理は解き明かせるか?

 

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0496.真相

2004年06月16日 | 短編集
真相
読 了 日 2004/06/16
著  者 横山秀夫
出 版 社 双葉社
形  態 単行本
ページ数 291
発 行 日 2003/06/05
ISBN 4-575-23461-3

 

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者には珍しい警察小説以外の短編集だ。だが、ストーリーに織り込まれた謎や、サスペンスは、評判の警察小説に劣らぬ迫力で迫ってくる。
篠田税務会計事務所の篠田佳男は、10年前に息子の佳彦を亡くした。殺害事件の被害者として。もう50近くになる篠田だったが、父の代からの、古い事務員にはまだ先生という感覚を持ってもらえなかったり、古くからの顧客には、若先生と呼ばれていた。
そんな折、警察から、息子を殺害した犯人を逮捕したという連絡が入る。このタイトルの「真相」には、いろんな意味合いが含まれている。
多くの顧客から信頼され、評判の良かった父から引き継いだ会計事務所を維持しながら、仕事一筋に励んできた篠田が、知らなかった「真相」とは?(表題作) 樫村は同級生の津川から、村長選への出馬を頼まれる。現職の大屋の引退を受けて村の発展のために開発推進派としての立候補を依頼されたのだ。
大家村長の前任が樫村の祖父だったことからの依頼だった。確実に勝てるとの津川の言葉を信じて、県庁勤めを辞め、妻子ともども故郷に帰って選挙戦に臨んだ。が、予想外の対立候補が立候補して、樫村はつがに対して疑心暗鬼となる・・・(18番ホール)他全5編を収録。

 

 

初出誌(小説新潮)
# タイトル 発行月・号
1 真相 01年12月号
2 18番ホール 02年4月号
3 不眠 02年6月号
4 花輪の海 02年11月号(「悪しき海」改題)
5 他人の家 02年8月号

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0495.滅びのモノクローム

2004年06月14日 | サスペンス
滅びのモノクローム
読 了 日 2004/06/14
著  者 三浦明博
出 版 社 講談社
形  態 単行本
ページ数 317
発 行 日 2002/08/05
ISBN 4-06-211458-5

 

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念ながら本書を読む前に、テレビドラマを先に見てしまった。といっても、大方の場合はドラマと原作の小説は、まあ、別物と思ってほぼ間違いはないのだが・・・。
あるところでは、スリーピング・マーダー的な要素を含んだストーリーで、政界の内幕なども描写されて、楽しめるエンタテインメントだ。

僕がこの中でちょっとばかり興味を引かれたのは、ストーリーそのものではなく、古く腐りかかった8mmの映画フィルムを修復再生するところだ。
僕も、昔いっとき息子の成長を8mm.映画に撮っておこうと、思い8mm.カメラをいじったことがあるのだ。しかし、それほど余裕のある生活でもなく、フィルム代や現像代も馬鹿にならないので、すぐに手放してしまった。
2―3年前だったか、その時撮ったわずかなフィルムをDVDに焼き直したのだが、保存状態が悪かったせいか、フィルムの劣化がひどく、きれいな画像は得られなかった。
また映画でも、「ミッドナイト・クロス」や「殺しのドレス」で、似たようなシチュエーションが現れるところがある。両方共にブライアン・デ・パルマ監督作品だが、そんな所が僕の好みとあって、好きな映画の一つとなっている。
本と関係のない話になってしまった・・・。

 

 

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0494.はなれわざ

2004年06月11日 | 本格
はなれわざ
TOUR OF FORCE
読了日 2004/06/11
著 者 クリスチア・ナブランド
Christianna Brand
訳 者 宇野利泰
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 511
発行日 2003/6/30
ISBN 4-15-073003-2

 

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もかなりのミーハーだから、このような帯に"恩田陸氏大絶賛!!"などと書かれると思わず読みたくなってしまう。
経済的な理由から、最近では文庫でさえ滅多に新刊本など買わないのだが、書店で見かけたものだからついつい買ってしまった。
著者のクリスチアナ・ブランド女史については余り知らなかったのだが、北村薫氏の書評か何かで彼女の作品に安楽椅子探偵譚があることを知り、いつか読んでみたいと思っていたくらいのことだった。そういったところで、書店でこの帯を見たものだから、つい手が出てしまったというわけである。本書は、僕が知らなかっただけで、愛好家にとっては著名な作品で、著者の代表作のようだ。

 

 

スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の名警部コックリルが休暇を過ごすために参加した、イタリア周遊ツアーで彼を追いかけるように事件が発生する。
コースのひとつ、景勝の孤島で一行の一人が殺される。地元警察とは別にコックリルは独自の捜査を始めようとするが、一癖ありそうな連中の揃った参加者の間で、警部の捜査は?・・・・・

 

 

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