隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0055.隅の老人の事件簿

2000年06月29日 | 短編集
隅の老人の事件簿
THE CASEBOOK OF THE OLD MAN IN THE CORNER
読了日 2000/6/29
著 者 バロネス・オルツィ
Baroness Orczy
訳 者 深町眞理子
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 338
発行日 1998/10/09
ISBN 4-488-17701-8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

界的に有名な安楽椅子探偵譚。作者バロネス・オルツィ女史は「紅はこべ」で名を知られた作家。東京創元社からシャーロック・ホームズのライバルたちという名目で出版された中の1冊で、その中には、同様に安楽椅子探偵譚が幾つかあるが、1901年に描かれた本書が安楽椅子探偵の走りだといわれている。
しかし、その道の研究者によれば、そもそも安楽椅子探偵の起源は推理小説の元祖とも言えるエドガー・アラン・ポーの短編「マリー・ロジェの謎」だという。いろいろなミステリー研究家の独自の見解もあり、どれが正しいと僕も断言できるわけではないが、そういう風な考え方から言うと、その流れを汲む「シャーロック・ホームズの冒険」他の短編集の中にもストーリー全部ではないものの、その一部が安楽椅子探偵タイプのエピソードになっているものが数多く見られる。
しかし、物語のすべてが、喫茶店の片隅で、女性記者を相手に、持ち込まれた謎を絶えず紐をいじりながら解明するという、この隅の老人の事件簿がその走りといっていいのではないかと僕は思っている。

安楽椅子探偵譚の好きな僕は、この探偵からハンドルネームを拝借している。

 

収録作
# タイトル 原題
1 フェンチャーチ街の謎 The Fenchurch Street Mystery
2 地下鉄の怪事件 The Mysterious Death
of the Underground Railway
3 ミス・エリオット事件 The Case of Miss Elliott
4 ダートムア・テラスの悲劇 Tragedy in Dartmoor Terrace
5 ペブマーシュ殺し The Murder of Miss Pebmarsh
6 リッスン・グローヴの謎 The Lisson Grove Mystery
7 トレマーン事件 The Tremarn Case
8 商船〈アルテミス〉号の危難 The Fate of the “Artemis”
9 コリーニ伯爵の失踪 The Disappearance
of Count Collini
10 エイシャムの惨劇 The Aysham Mystery
11 《バーンズデール荘園》の悲劇 The Tragedy
of barnsdale Manor
12 リージェント・パークの殺人 The Regent’s Park Murder
13 隅の老人最後の事件 The Mysterious Death
in Percy Street



0054.遺伝子封殺

2000年06月26日 | ハードボイルド
遺伝子封殺
JUDGMENT DAY
読了日 2000/06/26
著 者 パトリック・ラインケン
Patrick Reinken
訳 者 天野淑子
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 552
発行日 2000/3/30
ISBN 4-15-040943-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

薬会社で画期的なエイズ・ワクチンの研究開発に携わっていた男が、本社ビルから飛び降りて死んだ。折しも会社はワクチンを人体に投与する臨床実験の認可申請中であった。
男の死が認可に影響を及ぼすことを懸念した法律事務所は、若手弁護士バチェットに調査を命じる。
新薬開発を巡る陰謀を感知したバチェットにも危機が襲いかかる。

似たようなタイトルに吸い寄せられるようにして読んだが、医学的な要素を含むサスペンスは次々現れる感じだ。最も僕が好んでさがすから目に付くのか。
先日の「遺伝子操作」とは発行された時期の隔たりがあるから、二匹目の泥鰌をねらった訳ではないのだろうが、オリジナルとはかけ離れたタイトルに惹かれて買い求めた。
確かに、遺伝子が全く無関係ではないものの、こちらはオリジナルのタイトルの示す通り、新薬開発を巡る裁判の方がメインテーマだろう。
著者も医学関係者ではなく、ストーリーの主役を勤めるバチェットと同じく弁護士だ。

新薬開発に絡むストーリーでは、わが国でも古くは、黒岩重吾氏の『廃墟の唇』がある。連続ドラマ化されて、毎週テレビの前に釘付けとなった昔を思い出す。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0053.遺伝子操作

2000年06月18日 | メディカル
遺伝子操作
VARIANT
読了日 2000/06/18
著 者 アラン・エンゲル
Alan Engel
訳 者 堀内静子
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 334
発行日 1991/5/15
ISBN 4-15-040618-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

たも現われた現役医師の作家、内科医で医学博士(M.D) である。
パリに現れたロシア人の少年は医師たちを驚かせた。少年は驚異的な筋力と知力を備え、しかも急速に老化する遺伝病に冒されていて、わずか8歳なのに老人の顔をしていたからだ。どうしてこんな少年が生まれ、なぜ死をもたらす奇病に冒されたのか?

この奇病は、実際にあるのだそうだが、遺伝子操作による陰謀をたくらむ者が居るという恐ろしさが良く描かれている。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0052.義眼殺人事件

2000年06月13日 | リーガル
義眼殺人事件
THE CASE OF THE COUNTERFEIT EYE
読了日 2000/6/13
著 者 E・S・ガードナー
Erle Stanley Gardner
訳 者 砧一郎
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 334
発行日 1978/06/30
ISBN 4-15-070214-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

リー・メイスンシリーズ、極く初期の作品。
シリーズの魅力は何といっても迫力ある法廷場面だが、もう一つ冒頭のユニークな事件の依頼がある。
この作品も、義眼のセットを持参した依頼者は、充血した(様に作られている)義眼がすりかえられて犯罪に利用される可能性があるというのだ。メイスンは防止策として探偵のポール・ドレイクに半ダースほどの義眼を手に入れるよう命じるが、間に合わず、事件が発生した・・・・。

 

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

にもちょっと書いたが、ペリー・メイスンシリーズは1957年~66年にかけてTVドラマ化され、271篇のエピソードが放送された。制作には原作者のガードナーも監修に立ち会ったらしい。その後、1985年にメイスンとデラ・ストリートは同じメンバーでレイモンド・バーが亡くなるまで26作品が2時間ドラマとしてリメークされた。
すべてオリジナル脚本だったが、僕は、リメーク作品の方が原作同様好きだった。「義眼殺人事件」を最初に読んだのは、50年近くも昔のことで、殆ど筋書きは忘れていたが、終生の敵役となる検事・ハミルトン・バーガーとの対決が懐かしい。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0051.復讐の女神

2000年06月10日 | 本格
復讐の女神
NEMESIS
読了日 2000/6/10
著 者 アガサ・クリスティ
Agatha Christie
訳 者 乾信一郎
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 348
発行日 1996/09/15
ISBN 4-15-070052-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

ス・マープルシリーズの1冊。
本書のちょっと変わっているところは、「カリブ海の秘密」という作品の続編という形になっているところだ。といっても内容は全く別で、前作で知り合った大富豪のジェイソン・ラフィール氏が死亡し、その遺言とも言える、依頼の手紙により、ミス・マープルは遺跡めぐりのバスの旅に出るというストーリー。
基本的にミス・マープルシリーズは、安楽椅子探偵の形を取っており、こうした行く先々での事象で謎解きをするのは珍しい。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

ラフィール氏からの手紙には、細かなことは一切かかれておらず、何をどうすればいいのかという謎も、マープルの判断に任されているところが、面白い。
この作品ももちろんドラマ化されていて、12作品中、僕の好きな作品の上位に位置する。原作と、ドラマでは、多少異なる部分もあるが、原作を読んでもクリスティ作品の映像向きであることを再認識する。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0050.ボディ・バンク

2000年06月06日 | メディカル
ボディ・バンク
EXTREME MEASURES
読了日 2000/06/02
著 者 マイケル・パーマー
Michael Palmer
訳 者 林克己
出版社 ベネッセコーポレーション
形 態 文庫
ページ数 575
発行日 1997/6/30
ISBN 4-8288-5810-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

学的に明らかに死亡と判断された患者。解剖されたその胸部から、おびただしい血とともに現れたのは、まだ拍動している心臓だった。
「患者は死んでいなかったのだ。」
ボストン・ホワイト記念病院で起こる数々の奇怪な事件。エリート医師エリックは、解明に乗り 出す!

原題の「EXTREME MEASURES(非常手段)」から「致死量」と和訳が付いて、ジーン・ハックマン氏等の出演による映画化で、同名の「ボディ・バンク」となった由。
ショッキングな幕あきで始まるストーリーの映画化だから、話題を呼んだのだろうと思ったが( まだ僕は見ていない)、それほどでもなかったようだ。
本書のような医学関連のミステリーには、難しい専門用語が頻繁に出てくるせいか、訳出する翻訳家も限られるのだろう。本書は、ロビン・クック氏の一連の翻訳を手掛けている、おなじみの林克己氏が当たっている。

広く浅くという読書を心掛けてはいるのだが、どうも書店に入ると先ず、こうした医学関連のミ ステリーを探して歩くのが、このところの習慣となっている。
持ち前の性格だから仕方がないが・・・。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0049.悪魔の遺伝子

2000年06月02日 | メディカル
悪魔の遺伝子
Threshold
読了日 2000/06/02
著 者 ベン・メズリック
Ben Mezrich
訳 者 川副智子
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 508
発行日 1989/3/31
ISBN 4-15-040909-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

しぶりに再会した昔の恋人ロビンの話を聞き、医学生のジェレミーは愕然とした。
最近死亡した国防長官は彼女の父親で、死因に不審な点があるので検屍記録を調べて欲しいというのだ。調査の結果、伝説の科学者が開設した最先端の遺伝子研究所が浮かび上がる。

こうした医療サスペンスを思わせるタイトルを探しては、読んでいるがタイトルと内容が一致しないものも中にはあって、好きな本を探すのは簡単ではない。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村