お台場アイランドベイビー | ||
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読 了 日 | 2014/02/16 | |
著 者 | 伊予原新 | |
出 版 社 | 角川書店 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 462 | |
発 行 日 | 2010/09/24 | |
I S B N | 978-4-04-874112-5 |
に25―26日といすみ市大原へ行くことになって、ブログの更新が予定を遅れた。大原行きは先方で思わぬアクシデントに見舞われ(それも遅れの理由の一つだ)たが、その話はまた後で別の形で書くことにして、今日は去る(2月)23日(日曜日)に、僕が監事を務める社会福祉法人薄光会で行われた評議員会、理事会についての話題を少し書いて見ようと思う。 例年この時期の会合では、当期の第二次補正予算案、次年度の事業計画案が主たる議題である。
平成15年に2代目の理事長である鈴木栄氏が亡くなって、長く続いたカリスマ的なワンマン体制が終了、それまでの理事が次々と辞任して、新に山氏を理事長とした理事会が刷新されるという事態を迎えた。
何処かの国を思わせるような大改革ではあったが、近年その山氏が加齢による体調不良を理由に理事長を辞任し、新たに理事長に就任したのは、奇しくも同姓の山崎氏(と埼の違いはあるが)だった。元は千葉県庁に勤務するお役人だったのだが、その立派な体型とともに積極的な姿勢が、理事会並びに職員達ををリードして4代目理事長の地位を確保している。
薄光会は元々が障害児(者)を子に持つ親たちが、子供の将来を案じて、重度の知的障害者を支援する入所施設を作ることを目的として組織されたものだ。そのため理事長を始めとする役員は全て入所者及び通園する施設利用者の親たちで占められてきた。
後年、施設運営に積極的かつ功績の認められる、施設長の中からも理事となるものが出て、理事会は最高決定機関としての立場を確立してきた。
ところが、年を経て当然のことながら、リーダーとして施設職員を指導・牽引してきた施設長の中からも、60歳定年を迎える者がでてきた。リーダーの世代交代である。施設利用者の保護者―主として親―たちの中には既にこの世を去った人たちも少なくない。何年も前から、保護者の世代交代は始まっていたから、最前線で利用者の支援に当たる職員にも、それ(世代交代)はやってくることはわかっていたはずだが、長年慣れ親しんだ施設長の交代は一抹の寂しさを感じる。
方新に若手の施設長が誕生することには、もろ手を挙げて歓迎したい。
今回は2名の施設長の退任に伴い、3名の施設長が誕生することになった。これは2名のうちの一人が二つの事業所を兼任していたためだ。組織運営においては、可能な限り兼任を廃することが望ましいのだが、人員不足はコスト削減との兼ね合いで、必要な部署に必要な人員を配置することは、厳しい運営状況の中で難しい課題だ。
主として千葉県南部の要所に事業所を配置して、地域密着型の福祉サービスを展開させると言うのが、法人の目的の一つでもある。そのためには、今後も各事業所に積極的に人材を迎えて、施設利用者により良い支援や介護といった福祉サービスを展開していくことが重要となる。
さて、定年となった元の施設長は、一人は事業所において主幹職としてとどまることになったが、片や本部の専従員としての職務につくことになる。従来法人本部は有って無きがごとくの状態を続けてきたのだが、ここに至っていよいよその形を明確に捉えることができそうだ。僕は法人の監事として常々本部の重要性を説いてきたが、諸般の事情は本部体制の確立を阻んできたことも有り、ようやくその本部を形作る端緒をつかむことのできる要素が生まれたことは、なんにしても喜ばしいことだ。
今年11月で後期高齢者の仲間入りを果たす僕も、法人の先行きに一筋の光明を見出した思いで、今回の会合に満足して帰ってきた次第だ。
例によってこの初めての作者の新しい作品「ルカの方舟」を何処かで紹介されたのを見て、メモしておいたのだが、作者の経歴を調べたら、本書「お台場アイランドベイビー」で、2009年第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞していることを知り(僕は文学賞のページを作っていたのだが、忘れていたのだ)、先にこちらを読むことにした。
若い頃は高木彬光氏とともに横溝正史氏のファンでもあったから、たくさんの作品を読み漁り、横溝正史賞が制定された当時は、角川映画のマルチメディア作戦が大当たりだったことも重なって、ドラマや映画の映像化作品も次々と見たものだった。
第1回の受賞作「この子の七つのお祝いに」(斎藤澪著)も、映画の方を先に見てから読んだのではなかったかと、記憶しているが近頃はその記憶も曖昧になっている。しかし、いかにもその賞の主旨に相応しいような感覚をもたらす、受賞作に僕は感激して、その後も受賞作に注目するのだが、あるときから受賞作の傾向に疑問を感じるようになった。
じ文学賞ではあっても、時代の流れとともに選考委員も変わっていくから(近年その交代期間は短くなっているようだ)、それに伴う受賞作の傾向も変化していくことは、避けられないことだろう。
できれば僕のような読者にとっては、その賞の傾向が本選びの指針となるような独自の路線をとってくれることがありがたい。しかしこう文学賞が増えてくると、なかなかそうも行かないのだろう。
近未来、といってもそれほど遠い未来ではなく、今起こってもおかしくないような東京の、バーチャルリアリティ(仮想現実)と言った舞台が描かれる。
此の作品は2010年の受賞作品だから、東日本大震災がまだ起こる前だが、まるでその震災を先取りするような大震災を東京に発生させており、特に埋立地のお台場の高層ビル群は壊滅状態となり、しかも彼の地への橋という橋は破壊されて、お台場は孤島状態となる。
そんな舞台の中でカリスマ的な都知事が目指した、都市復興計画とは? 巨大な陰謀が見え隠れする状況の中、元刑事の巽丑寅は、一人の奇妙な少年と出会う。
無さそうで有りそうな、そんな感覚をもたらす冒険物語だ。
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