魔性 |
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読 了 日 |
2008/03/24 |
著 者 |
渡辺容子 |
出 版 社 |
双葉社 |
形 態 |
単行本 |
ページ数 |
509 |
発 行 日 |
2006/11/20 |
I S B N |
4-575-23567-9 |
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いもので3月ももう終りに近づいてきた。前にもちょっと書いたが、1月の末頃からワードのオートシェイプ(マイクロソフトのアプリケーションソフトに付随する簡単な作図機能)での絵画作成にはまって、読書の方がおろそかになっている。
今月はこの2冊でどうやら終りそうである。昨年1月に、モーグ(マイクロソフトのアプリ「ワード」、「エクセル」、「パワポ」、「アクセス」等々のQ&Aなどが掲載されているホームページ)で開催されたオートシェイプでの絵画募集に応募された作品を見て、その素晴らしさに驚き、自分でも挑戦してみようと思いながら1年が過ぎてしまった。
しかも今年応募しようと考えていながら、作るのに夢中で気づいたら締切りが過ぎてしまっていた。残念ながら応募は来年のこととなった。
さて、インターネットで著者の新作が出ているのを知ってネットのオークションを探したがまだ高かったので、図書館で予約。およそ1週間くらいで図書館から連絡が入り借りることが出来た。6年前に江戸川乱歩賞受賞作の「左手に告げるなかれ」を読んで以来、気になる作家の一人となって、他の作品も読んだのだが、なにしろこの作者は寡作で、ミステリー作品は4作しかないから随分と次作を待っていた。例によって本作の主人公も女性である。
鈴木珠世・北海道出身、勤めていた会社を人間関係から辞めて、現在はヒッキーまがいの生活をしながら贔屓のサッカーチームのサポーターをしている29歳の独身。気が弱く引っ込み思案の性格から友達も出来ず、世を儚んで自殺をしようと思っていたときに、生きる勇気を与えてくれた高校生の少女・ありさと出会う。
ありさに引き込まれてサッカーチームを応援するようになって生きる希望を見出したのも束の間、そのありさが殺されるという事件が発生する。
前半の主人公の気の弱さにいささか辟易するところもあるが、何故、誰にでも優しく明るい性格のありさが殺されねばならないのかという不条理感が主人公を事件解明へと奔らせる。雑誌への連載作品だったせいか収束部分に慌ただしい感じがして、説明不足もあり、単行本にする際に加筆修正が出来なかったのか残念である。
初出誌 「小説推理」2005.2月号~2006.8月号