深夜プラス1 MIDNIGHT PLUS ONE |
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読了日 | yyyy/mm/dd | |
著 者 | ギャビン・ライアル Gavin Lyall |
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訳 者 | 菊池光 | |
出版社 | 早川書房 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 380 | |
発行日 | 1976/04/30 | |
ISBN | 4-15-071051-1 |
回で次に読む本を「報復」(ジリアン・ホフマン著)にすると書いたが、強烈なサイコサスペンスでスタミナを消耗した感じなので、カバー裏に記されたあらすじを見て、同様のサイコサスペンスだということなので、予定を変更して、一度他のジャンルの本を読むことにした。
歳は取りたくない、この読書記録を始めたころなら、いやもっと若かったころは読書でスタミナを消耗するなんて考えられなかったことだ。これからはますますそうした傾向が強くなるのかな。困ったことだ。
さて、本書の発行日は1976年(初版)となっているが、僕が読んだのは1998年発行の32版だった。まだサラリーマン現役の最後の頃で、当時勤めていた会社の近くにあった、千葉市中央区の中島書店のカバーがかかっているから、買ったのもその頃だろう。だが、著者がこの作品を発表したのは1965年とのことで、ずいぶん昔の作品だ。
そんな本を僕がどこで知ったのかは、例によって記憶があいまいで、多分書評家の誰かが雑誌か新聞で紹介していたのを読んだのか? そんなところだろう。書店のカバーがかかったままだったので、読むのを忘れていたのかもしれない。7月から翻訳ものを少しまとめて読んでおこうと思って読んでいるが、その間国内作品で気になる新作が次々と出ており、そっちの方にも目移りして、どうにか自分を抑えている状態だ。もう少し翻訳ものを読んだら、今度はそれらの新作にもあたってみたい、なんて思っている。
ところで、どのような経緯でこの本を買ったのかが気になり、週刊文春編の「傑作ミステリーベスト10」をめくってみたが、残念ながら1977年から2000年にかけてのミステリーを扱っているので、1965年作品の本書については載っていなかった。
次に「このミステリーを読め!海外編」(郷原宏著 三笠書房王様文庫 2000年刊)“海外ミステリー史上、最高の100冊”という副題のついた紹介本をを見ると、本書は冒険&スパイという分類で、93番目に紹介されている。
僕はこの本に、長いことハードボイルドの傑作という感じ抱いていた。だから冒険小説という分類に、あれ、そうだったのか、と僕の見当違いの思い込みをただす。
そんなことから、当時の記憶がほんの少し蘇ってきた。いろいろなところで、この本は傑作だという評価を得ていたことで、僕も一度は読んでおこうと思ったことも。
おざっぱに言ってしまえば、ビジネスエイジェントとなっている主人公の、ルイス・ケインが、旧知の弁護士から依頼された、事業家をブルターニュからリヒテンシュタインへと護送する話だ。
ルイス・ケインはレジスタンス時代、一緒に行動した友人の弁護士アンリ・メルランから、オーストリアの事業家マガンハルトという人物をフランス・ブルターニュから、スイス・リヒテンシュタインまで移送する件を依頼される。期日までに目的地に着かないと、莫大な損失を生じるということの他、詳しい事情は弁護士から聞き出せなかったが、1万2千フランという報酬を呈示される。
途中邪魔が入って打ち合いになる可能性もあり、もう一人ガンマンも同行するという。こうした言わばロード・ムービーを思わせるようなストーリーは、舞台となる国々の地理を知ることも、面白さを増す要因だと思い、世界地図をわきに読み始める。欧州の国々は地続きだが不法に国境を超えて、目的地に向かうことの難しさ、またそれを阻止しようとする勢力の出現など、簡単な道中ではないことが、このストーリーをスリリングなものにしている。
ルイス・ケインがレジスタンス時代に培った、友情やロマンスも盛り込まれて、単調になりがちな筋運びにサスペンスを漂わせる。
僕はストーリーのスタートを飾る、主人公が旧友との出会いの面白さに、一気に惹かれて物語に突入した。
年代から言えばもう古典と言っていいほどの作品だが、長く読み継がれる要因は、その収束場面にあるのかもしれない。他にもこれはせりふ劇かと思われるような、主人公の哲学的な思いが随所に表れて、それが難しい理屈ではなく、読み手に納得させるような成り行きを示すところも、物語の特徴だろう。
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