隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1898.それまでの明日

2019年03月21日 | ハードボイルド
それまでの明日
読 了 日 2019/03/03
著  者 原尞
出 版 社 早川書房
形  態 単行本
ページ数 409
発 行 日 2018/03/15
ISBN 978-4-15-209748-4

 

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は若い頃から何かを待つとか、金を貯めるとかを、最も不得意としていたから、サラリーマンを定年退職するときには、銀行預金(もちろん僕個人のもの)の残高は、4桁の数字だった。
それは今現在でも全くのところ同様の状態で、店で発行されるポイントカードの類も、少し溜まって、商品や景品と交換できるくらいになると、気になって何か交換しなければならない、というような強迫観念に似たことを感じる。
さて何を言いたいのかというと、いつの間にかたまったヨドバシカメラのゴールドポイントで、本書を交換した、ということなのだ。以前は近くのヤマダ電機でも、同様にポイントで本を交換することが何度かあったが、ヨドバシカメラでも本の取り扱いが始まって、何度か利用しているはずだ。
忘れっぽい僕は、そうしたポイント制度のようなものが、突然廃止になることを恐れているから、いや、以前そういうことがあって、相応のポイントを無効にしたことがあったからなのだが・・・・。

 

 

そこで今回も本書が交換できることを忘れないうちに実行したというわけだ。
原尞氏の著作はすでに全部読んでいて、長いこと新作の発表を待っていたから、本書の発行記事をどこかで見てから、こういう機会を待っていた。そう都合よくポイントがたまることはめったにないから、機会を逃さないうちにと交換したのだ。
貧乏人の考えることはちょっとミミッチく、涙ぐましい。
しかしそんなことで、読みたい本を手に入れられるのだから、極たまーに新刊を読めるのも、ささやかな幸せの一つだ。私立探偵沢崎シリーズ、と呼ばれるこのシリーズは、我が国にハードボイルドを定着させた、などという評価もあるくらいで、なんと前作から14年もの歳月隔てて発表されたのだ。

 

 

者にもいろいろ事情はあるのだろうが、僕の好きな作家の中では、特に寡作家だ。
しばらくぶりの新作では、僕の知っている(と思っていた)主人公の雰囲気を、取り戻すまでほんの少し、時間を要したが、次第にその世界に入り込んでいった。
こうしたハードボイルド作品に登場する主人公、いわゆる私立探偵の定番は、ストイックな性格を前面に出して、依頼人の持ち込む事象に対して、コツコツと足を使って答えるという姿だ。僕はストーリーの展開を負いながら、こうした探偵の姿のどこに魅力を感じるのか、そんなことを考える。
だが、一つや二つで説明できるようなことではなく、そのセリフや身のこなし、いろいろと相手によって変わる対応の仕方など、やはり全体的な人物像に惹かれるのだろうと、よくわからない結論に至る。現実の世界では、私立探偵が難しい事件を解決することは、難しいことだろうから、我々はせめてストーリーの中での、彼らの活躍にせめてもの、満足感を得るしかない。
というようなことはさておき、本作では最後にちょっとしたサプライズが用意されていて、「なるほど!」と驚かされる。

 

 

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