隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1580.ゴッドウルフの行方

2015年12月17日 | ハードボイルド
ゴッドウルフの行方
THE GODWULF MANUSCRIPT
読了日 2015/12/01
著 者 ロバート・B・パーカー
Robert B.Parker
訳 者 菊池光
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 260
発行日 1986/09/15
ISBN 4-15-075652-X

 

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が著者と作品を知ったのはいつ頃だろう? 多分この読書記録を始める前ではなかったか。例によって僕の記憶は定かではない。その頃僕はまだ会社員の現役で、あまり小説は読んでいない時期だった気がする。
書店の店頭で平積みされた文庫の表紙が、ご覧のような辰巳四郎氏の見事なイラストで飾られているのを、たびたび見かけたから、人気シリーズだとは思っていた。
つい先頃ようやく読んでみようと思い立って、どうせなら人気シリーズの第1作から読みたいと思い、Amazonで調べて第1作の本書を買い求めた。と言っても続けてシリーズを読むかどうかは今のところは未だわからないが・・・・。
いくつかハードボイルドも読んできたが、本当はまだまだ読むべき作品はたくさんあり、例えばフィリップ・マーロウシリーズだってまだ1冊しか読んでないし、リュー・アーチャーも「動く標的」の他のも読みたい。さらには、キンジー・ミルホーン、V.I.ウォーショウスキーだってたくさん出ているから、本当に数えきれないほどの傑作名作があり、それらをいつ読めるかと考えれば悩ましい限りだ。

 

 

ある人によれば、処女作にはその作家のすべてが盛り込まれている、ということだ、ということもあって処女作である本書を読もうと思ったのだが、読み始めて間もなく、僕はこのシリーズが「スペンサー・シリーズ」と呼ばれていたことを思い出した。私立探偵の活躍する本場アメリカのハードボイルドの類型に従って、本書も一人称での語りである。
類型と言えば、主人公の私立探偵は、たいていの場合その地域の警察との折り合いが悪くて苦労する、というのが定番とされている。しかし本書では、多少そうした傾向はありながらも、顔なじみの殺人課のマーティン・クワーク警部補は、一部分でスペンサーの捜査能力を買っているのだ。だが、そんな素振りを見せないところが警察の威信を表しているのか。
大学の図書館から十四世紀の手書きの彩飾写本・ゴッドウルフが盗まれた。盗んだと思われる人物から「十万ドル出せば写本を返す」旨の電話が学長にかかってきたという。それを取り返してほしい、というのがスペンサーに対する依頼だった。

 

 

ペンサーは大学内で組織されている過激派SCACEの書記である、テリイという女学生に接触、情報提供を求める。だが、その深夜にテリイからの助けを求める電話で駆けつけると、彼女は射殺死体のそばに立ち尽くしていた。殺されたのは事件に関わりを持つと疑われた学生だった。スペンサーは彼女を救おうと大学内を調査しようとするが、大学の警備主任から大学に対する調査を厳しく断られる始末だ。
そして、有力なギャングの親玉から呼びつけられて、事件から手を引くように脅迫されるのだが・・・・。

奇妙な古書の窃盗事件から、殺人事件へと発展したその裏に何があるのか?予想外の展開を示す事件の成り行きだが、スペンサーの調査は徐々にその真相に迫る。スーパーヒーローではないものの、魅力的な私立探偵の姿はほかの事件も読みたくなる。

 

 

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