隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1613.迎撃せよ

2016年03月25日 | 戦争
迎撃せよ
読了日 2016/03/25
著 者 福田和代
出版社 角川書店
形 態 文庫
ページ数 403
発行日 2013/11/25
ISBN 978-4-04-101091-4

 

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昨日(3/23)ケアホームあけぼの荘に入所している息子を介護施設「太陽(ひ)のしずく」に迎えに行き、彼を連れて千葉市に行ってきた。カミさんの具合が悪くなってから、かれこれ5年ほどになるか、息子の帰宅がままならなくなり、その埋め合わせに年に数回彼を連れだして、短い一日を一緒に過ごすことにしている。
数年前までは千葉市の動物公園の遊園地が、彼のお気に入りの場所だったが、遊園地部分が閉鎖になって動物公園へ行くこともなくなった。観覧車やメリーゴーランドほかの乗り物に片っ端から、時間を惜しむように次々と乗って楽しんだものだが、僕は歳とともに彼に付き合って、それらの乗り物に乗ることが辛くなってきていた。
観覧車などのゆったりとした動きのものはいいのだが、ジェットコースターと言った動きの激しいものは、疲れるのだ。そんなことから、近頃はせいぜい観覧車のある遊園地や、千葉市の都市モノレールで1周することくらいで、我慢してもらうことにしている。

 

 

今回も千葉県庁近くの駐車場に車を止めて、県庁前からモノレールに乗る。高いところから見る景色はゆったりとしたジェットコースターのようで、彼の好きな乗り物の一つである。千葉駅で乗り換えて千城台行きで、 終点千城台まで行く。 千城台は今僕たちが住んでいる木更津市真舟と同様、山間部を切り開いて住宅地とした場所で、県営、市営の公団住宅が多く立ち並んだ住宅地だったが、モノレールが開通してからは様相が一変して、都会の街並みとなった。
もう30年以上前になるが、わが家族は千城台西に7年ほど住んでいたので、懐かしさを覚えるところだが、我々が住んでいたころとは前述のごとく、街の風景は様変わりしており、息子の記憶も蘇らない様子だ。
モノレール駅に隣接しているショッピングモールで、簡単な昼食をとりコーヒーを飲んでから、帰りはバスを待って乗り込む。今年6月の誕生日で彼は49歳となる。そんな彼は話はできないが日常生活に不便をきたすことはさほどなく、少しの手助けで食事や衣類の着脱他の動作は一通りできる。
しかし、言葉が話せないことや不自然な手ぶりなどが、障碍者と言う印象を垣間見せる。時々発する意味不明の言葉(奇声)?も周囲の人たちを驚かせる。だが、30年も前と違って今はこうした障害を持つ者に、一般の認識も高くなり、彼の奇声やおかしな手ぶりも、さほど人の気を惹かなくなっている。
あと何年くらい彼と一緒に出掛けたりできるだろう?切ない思いが沸く。介護施設「太陽(ひ)のしずく」に午後4時に帰着する。

 

 

者を知ったのは3年ほど前に放送された、「怪物」というテレビドラマによってだ。ドラマは残念ながら僕の好みではなかったから、一応原作の文庫を買うことは買ったが、未読(積ン読)のままだ。
だが、後にBOOKOFFで見かけた「TOKYOBLACKOUT」という著者の作品を買って読んだ。パニックドラマを想像してのことだった。若い頃の一時期パニック映画に夢中になったことがあって、そんなことが興味を持った一因でもあった。だが、作品の内容はそうした一面も持ってはいたが、この国の電力供給に関する危うさや、危機管理の脆弱さをテーマにした社会派ドラマともいうべきもので、読み応えのある作品だった。
そんなことから著者の他の作品も読んでみようかと言う気が起きた。それでも積極的な意欲を掻き立てられるほどでもなかった。本書を読んでみようと思ったのは、少し前に夏見正隆氏のスクランブルシリーズの1作を読んでいて、航空サスペンスの面白さに出会ったことにも起因している。

 

 

多分僕の中では若い頃のパニック映画に傾倒していたことが、こうしたストーリーに惹かれる要因かとも思うが、よく考えてみると江戸川乱歩賞受賞作、鳴海章氏の「ナイトダンサー」の影響かもしれない。
初めて乱歩賞にこうした作品が選ばれたことへの驚きと、サスペンスとスピード感にあふれたストーリー展開が、エンタテインメント小説としての快感を味わったことが、記憶のどこかにあったのだろうか。
反戦思想と言った大げさなことでもないが、僕の戦争嫌いな性格の反面自衛隊を舞台としたストーリーの、活動的なストーリーに惹かれるのは、矛盾しているような気もするが、娯楽としての読書の中のことだから、と自分自身に納得させている。
本書は自衛隊の新型弾道ミサイル4機を搭載した戦闘機・F-2が何者かに奪われ、ミサイル1機が富士山麓の樹海に打ち込まれるという非常事態が勃発するという、前代未聞のスタートを切る。

そんなとてつもない出発点から、F-2を操縦できるのは自衛隊員しか考えられない、と言う状況の中女性隊員を交えた自衛隊員と、テログループの戦いが始まる。テログループの真の目的は?更に、元自衛隊員がテログループを組織したのか?数々の疑問が浮かぶ中で、テロリストたちが指定した時限が刻々と迫る。
あまり現実的ではないと思うのは、従来の平和な日本を今後も続くという漠然とした、否、確信のようなものがあるからだろう。だが、こうしたことは起こるかもしれないと、これからは考える必要があるのかも?

 


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