報復 RETRIBUTION |
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読了日 | 2012/08/03 |
著 者 | ジリアン・ホフマン | |
訳 者 | 吉田利子 | |
出版社 | ソニー・マガジンズ | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 612 | |
発行日 | 2004/11/20 | |
ISBN | 4-7897-2416-6 |
ストセラー作品が即僕にとっての面白い作品とは限らないのだが、(僕は評判につられるということはめったにないのだが、それでも気になって読んだものの、さほどでなくがっかり、ということが幾度かあった)、それでも探せばいろいろ出てくるので驚く。
ただ、そのベストセラー云々も、キャッチコピーとしか思えないような場合もあり、あまりあてにはできないが・・・・。
前回読んだソニー・マガジンズ刊行の「傷痕(きずあと)」の巻末に本書の公告が載っていて、女性作家による女性主人公のストーリーということで、どうも作者自身の経歴が反映されているような内容を思わせて、読んでみたいという気になった。 作者自身の経歴と言っても、検事補だったということだけしかわからないが、わが国では現職の検事が横溝正史賞を受賞して、作家デビューした例もあるから、そうしたことも僕が関心を持った理由の一つだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/0a/edfb0357c783afa89bfcb6b72464bd71.jpg)
毎にもちょっと書いたような気がするが、最近になってこうした自立した女性を主人公とするストーリーで、、過去に耐えがたい傷を心身ともに負っていることが定番のようになっている。そんな感じを抱くのは僕だけだろうか?そうした傾向が内外を問わず見られるのが面白い。
PTSDに対する悩みや、影響される女性の心理状態などが、特に女性読者の共感を呼んでいるのかもしれない。 しかし、今回のストーリーは主人公が真夜中に自分の部屋で、侵入者による暴行を受けるところからのスタートで、そこに至る短いプロローグの描写が怖い。
司法試験に臨む女子大生のクローイ・ラーソンが、ボーイフレンドで弁護士のマイケルとデートから帰って、眠りについたとき、それはやってきた。気づいた時には両手両足をベッドに固定されたうえ、猿轡をかまされていた。そうした状態で凌辱され、なおかつナイフで傷つけられたのだ。ショックのあまり司法試験にはもちろん失敗して、失意のどん底に落とされる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/0a/edfb0357c783afa89bfcb6b72464bd71.jpg)
年の歳月が過ぎ、クローイはC.J.タウンゼントと改名、マイアミでの司法試験に合格して、マイアミ・デード郡地方検察局の検事補となって活躍、その名をとどろかせてはいたが・・・・。
彼女のPTSD(トラウマによる精神的な障害)は、まだ精神科医のセラピーを必要としていた。そうした状況の中で、若い女性を惨殺して心臓を抜き取るという、凶悪犯罪が連続していた。憎むべき犯人はキューピッドと呼ばれ恐れられていた。そんな中で、まだ見習いの新人警察官によって、高速道路上で職務質問のため止められた車のトランクからキューピッドによる犯行とみなされる、若い女性の死体が発見された。運転していた男は即時逮捕され、C.J.タウンゼントによって第1級殺人の容疑で起訴された。
ところが、C.Jは予備審問の場で、容疑者ウイリアム・バンとリングが、12年前自分をレイプして傷つけた男だとわかったのだ。
ホラー小説、サスペンス、警察小説、本格推理などといくつもの要素が入り混じった長編小説は、ぞくぞくさせる怖さがあるが、公判の進行とともに、過去が明らかにされるのではないかという、C.Jの不安な心理が次第に増幅していく描写に胸を痛める。
読後、他の作品と似通ったところがあって、こういうこともありなのか?という疑問を持った。どこがどの作品と似ているかというのは、ネタばらしにつながるので書けないが、最近読んだばかりで記憶に新しいので、ちょっと驚いた。
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