傷痕 SHADOW MAN |
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読 了 日 | 2012/07/27 |
著 者 | コーディ・マクファディン |
訳 者 | 長島水際 |
出 版 社 | ソニー・マガジンズ |
形 態 | 文庫2巻組 |
ページ数 | 317/396 |
発 行 日 | 2006/11/20 |
ISBN | 4-7897-3008-5/3009-3 |
を読もうかと思っていたら、興味を引く情報が思わぬところから入ってきた。
先日しばらくぶりに木更津市立図書館で、早川書房のミステリマガジンを借りてきた。たまたま図書館に立ち寄って、ミステリマガジンの2011年12月号を見ていたら、森晶麿氏と彩坂美月氏の写真が出ていたので、興味がわいて借り出したのだ。
その時雑誌の裏表紙に本書の著者、コーディ・マクファディン氏の「遺棄」という本の公告が載っており、目を引いた。
「遺棄」というのはFBI女性捜査官のシリーズ4作目らしく、既刊の3作も紹介されており、本書がその第1作で著者の処女作であることも後でわかった。
そこでAmazonで検索したところ、発行日がすでに数年を経ていることから、古書は最低の価格設定となっていたので、近いうちの買おうかと思っていた。そんな折、読み終った単行本が少したまったので、BOOKOFFで処分しようと思い出かけてみたら、そこで105円の棚に本書上下巻があったので、買ってきた。たまにはAmzonよりも安く手に入ることもあるので、探してみるものだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/0a/edfb0357c783afa89bfcb6b72464bd71.jpg)
このシリーズは、ファンの間ではかなり評判らしく、売れ行きも好調らしい。そんなことからも相変わらず、僕の情報収集力は何ともお粗末だと感じる。と言っても、それほど多くの本を読めるわけでもないから、こんなところでちょうどいいのかもしれないのだが・・・・。
しかし、僕はこのような女性主人公の活躍する小説が好きなせいか、そうしたストーリーの本が良く目につく。もっともこの読書記録を始めたきっかけからして、女性検屍官ケイ・スカーペッタに惚れ込んでしまったことだから、似たような本が目に入ってくるのだろう。それでもよく次々とヒロインが誕生するものだ。
いや、実はこの本を読んでいる途中で、もう次に読む本が決まってしまったのだ。本書の巻末に 載っている広告で、ジリアン・ホフマンという元検事局に検事補として勤務していた女性作家が書いた処女作「報復」が紹介されていたのである。
早速、本書を買ったBOOKOFFへ行ってみると、同様に105円の棚に「報復」も並んでいた。何というラッキー。ごくたまにしかないが、こういうこともある。これは、僕の情報入手が遅いことがもたらしたメリットかもしれない。つまり、本書も、次に読もうとしている本も数年前に発刊されていたから、価格も安く、時をおかずして、手に入るという好条件がそろっていたのだろう。そう、物事はいい方に考えよう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/0a/edfb0357c783afa89bfcb6b72464bd71.jpg)
かの言い方を借りれば、本書はコテコテのサイコサスペンスだ。FBIロサンゼルス支局国立暴力犯罪分析センター(NCAVC)の主任、スモーキー・バレットは半年前に追い詰めた殺人犯に、夫と愛娘を殺され、自身もレイプされた上に、ナイフで傷つけられるという過去を持っており、休職中の現在はFBI専属の精神科医のセラピーに通っていた。
そんな中、スモーキーの部下で、同じ女性捜査官のキャリー・ソーンから、ハイスクール時代からの親友、アニー・キングが殺害されたという連絡が入った。アニーはレイプされ無数のナイフによる切り傷を受けたうえ、内臓が切り出されて、いた。彼女には幼い娘ボニーがいた。幸いボニーには暴行が加えられていなかったが、発見されるまでの3日間、彼女は母親の遺体に向い合せに縛られていたのである。
なおかつ、犯人からはスモーキーへの挑戦状ともとれるメールが送られていた。絶対に捕まえられないという自信満々の文面の通り、犯行現場に犯人を特定するような痕跡は皆無だった。
そして次の犠牲者が…。
実に陰惨な事件に巻き込まれた幼い子供の心的障害が、将来にわたってどんな影響をもたらすのか、といったことが気になりながら読み進める。主人公を取り巻く個性的なキャラクターたちの描写が、時には究極の優しさを示すことにより、惨劇の衝撃を受け止める緩衝剤の役割を示す。そうしたことが残酷な事件描写にも関わらず、後味を悪くしていないのが救いだ。
体力を使って読み終ったというような思いを抱く半面、またもや僕はこの主人公が好きになったこと実感している。
身長148cmという小柄な体で、重い過去を引きずりながら、個性的な部下たちにリーダーシップを発揮する姿に感動する。そうした姿は、趣は多少異なるが、誉田哲也氏の姫川玲子シリーズと重なるような気がして、少し間をあけてシリーズを読み続けたいという思っている。
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