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道連合海区漁業調整委員会 秋サケ来遊1,793万尾、予測の114%、前年の104% 5年魚が上回り若齢化に歯止め、太平洋で魚体小型化

2021-12-03 13:35:38 | ニュース

 道連合海区漁業調整委員会が11月30日午後2時からホテルポールスター札幌で開かれ、道資源管理方針の一部改正を原案通り承認したほか、秋サケの沿岸漁獲・親魚捕獲・採卵状況(北海道・全国)を報告し、質疑を交わした。会議に先立ち、川崎一好委員、濱野勝男委員に対する農林水産大臣の表彰状が佐藤卓也道水産林務部長から手渡された。

 工藤幸博会長が「新型コロナウイルス感染症拡大、太平洋の赤潮被害などに対応し、1日も早い回復を期待したい。今年の秋サケ来遊は11月20日現在で1666万尾と昨年を若干上回った」と挨拶し、佐藤部長が「道東太平洋では低水温でも繁殖する赤潮が広範囲で発生し、80億円を超える甚大な被害をもたらした。道では被害状況の把握、赤潮を引き起こすプランクトンのモニタリング調査に取り組んでいる。先日明らかになった国の対策をしっかり活用し、発生原因の究明などの緊急的対策と、被害を受けた漁業者の経営を立て直す中長期の対策を合わせて進める。今後予定される国の説明会を通じて漁業者、漁協が有効に活用できるようにしたい」と挨拶した。

 道総研さけます・内水面水試の卜部浩一研究主幹によると、令和3年前中期の秋サケ来遊数(沿岸漁獲と河川捕獲の合計)は1793万尾で、予測値の113%、前年同期の104%となった。河川捕獲は177万尾で予測値の90%、前年同期の77%。年齢別来遊数は、5年魚は521万尾で予測を上回る131%、前年同期の273%となった。4年魚は1007万尾で予測値の103%、前年同期を下回る78%。3年魚は254万尾で、予測値の129%、前年同期の124%。

 全道の前中期の来遊数は前年最終来遊数を上回り、年齢組成は平成29年に類似している。年級別来遊数は平成11年以降、減少傾向にあり、平成28年級は26年級に続き回復が見られたが、4年魚で回帰した29年級の水準は24年級と同程度にとどまる。20年級以降、5年魚の割合が急速に減少し、その分、3年魚、4年魚の割合が増加し若齢化が進んでいる。今年5年魚で帰ってきた28年級は増加に転じ、若齢化に一定の歯止めがかかった。

 魚体重は、平成30年に著しく小さくなったが、令和元年には大幅に増加した。今年は5年魚の割合が高かったため、漁期の初め頃は昨年より大型で推移した。しかし、9月下旬以降は昨年とほぼ同じ重量で推移し、10月下旬には昨年を下回る魚体重に低下した。この傾向は地域によってバラツキが大きく、特に太平洋では小型化が顕著だった。

 また、水産資源研究所さけます部門の鈴木栄治資源増殖部長によると全国の沿岸来遊量は1858万尾で前年の101%となっているが、そのうち本州は25万尾で平成以降最も少ない。地域差が激しく、本州では種卵の不足が厳しい状況にある。

 報告を受け、岩田廣美委員から太平洋の来遊が大きく落ち込んだ理由、日本海と同様な太平洋対策の必要性、耳石調査結果の報告、赤潮が発生した太平洋で春の放流の適否、減少が激しい後期群の回復の見込みなどの質問が出た。研究機関では今後、太平洋の来遊減少の原因を分析し対策を検討する旨の回答があった。また、福原正純委員から道のふ化放流事業への支援が少ないとの指摘があり、村木俊文サケマス・内水面担当課長が「現在、飢餓耐性の強い稚魚をつくる取り組みを道費が行っている。増殖費の補てんは難しいが、より実効性の高い対策を選択したい」と答えた。



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