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道太平洋沿岸漁業被害対策会議で情報共有 道総研・木村水産研究本部長が「赤潮収束」報告

2021-12-03 13:34:40 | ニュース

 庁内と各振興局の情報共有を図る道の太平洋沿岸漁業被害対策会議の2回目の会合が11月30日、道庁3階テレビ会議室で開催され、これまでの動き、現在実施中の取り組み、今後の対応、地域からの情報提供が行われ、木村稔道総研水産研究本部長が「道東の赤潮は急速に収束に向かっている」と水温低下による赤潮原因プランクトンの消滅を報告した。

 佐藤卓也水産林務部長の司会で進められた会議は、土屋俊亮福副知事が「国が赤潮緊急支援に補正予算で15億円を計上し、鈴木知事が道東の現地に出向き、意見や要望を聞くが、国の事業の有効活用を図りたい」と挨拶した。

 古村龍次水産局長が被害額やプランクトンの検出数の推移、漁業被害対策、国の「北海道赤潮対策緊急支援事業」などを説明した。古村水産局長は「国の事業のうち環境・生態系保全緊急対策は国が地元の要望を聞いて要綱要領をつくる。水産多面的機能発揮対策に準ずるが、今後詰めの作業が行われる」とした。道の予算で実施する漁場緊急実態調査は、日高〜根室管内の被害発生16漁協ごとに沿岸、沖合で実施する。今後は水深100mまでの潜水が可能な水中カメラを使う調査・採泥を環境コンサルタント会社に委託する。

また、木村本部長は「根室から日高太平洋では高濃度クロロフィルα領域が消失し、根室海峡では高クロロフィルαだが、赤潮の可能性は低い」と報告。海水温が低下し、表層のプランクトンが下層に下がり、光合成など増殖する条件が悪くなり、増殖するスペードが遅くなるといった要因をあげた。国の補正予算で進められる漁場環境改善緊急対策は、道総研が赤潮発生メカニズムを解明し、水産生物に対する毒性の影響などを調査する。木村本部長は「検出された4つのプランクトンの種類を明らかにし、培養して水産物への影響、へい死に至るメカニズムを解明する」と述べた。

 日高、十勝、釧路、根室の各振興局長が現地の様子を報告した。釧路では「補正予算で安堵の声も聞かれるが、稚ウニの購入、独自の調査経費負担に不安の声も出ている。中長期のモニタリング体制と現地説明会を通じて安心できるよう努める」(菅原裕之局長)とし、根室では「落石で生き残りウニを潜水で採捕したが、前年の2割程度にとどまっている。小型のウニは見当たらず、来年のコンブの生育状況を注視したい」(遠藤俊充局長)とした。

 最後に土屋副知事が「今後やるべきことは多い。庁内、振興局が緊密に連携し迅速かつ効果的な対策に取り組む」と強調した。

 

鈴木知事が道東の赤潮被害地域で意見交換会

 

 鈴木直道知事は1日、赤潮被害を受けた厚岸町、釧路市を訪れ、地元漁協組合長、関係市町の首長と意見交換を行い、釧路管内ウニ種苗生産センターや漁場を視察した。

 関係者からの要望を聞いたあと、鈴木知事は「国に複数年にわたる被害への支援を求め、中長期的な漁業経営の再建に向けしっかり取り組む」意向を示した。


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