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全漁連通常総会 新会長に坂本JF千葉県漁連会長 沿岸漁業「新たな資源管理」、ALPS処理水で特別決議

2022-07-03 11:42:03 | ニュース
全漁連の新会長・坂本雅信氏

 全漁連は、6月23日通常総会を開催し、沿岸漁業「新たな資源管理」の実践・強化、ALPS処理水海洋放出に対する特別決議を採択したほか、任期満了に伴う役員改選を行い、総会後の理事会で坂本雅信JF千葉県漁連会長(63)を選出した。3期9年務めた岸宏会長(JFしまね会長)、川崎一好副会長(道漁連会長)は退任し、阿部国雄道漁連会長が副会長に就任した。
また、沿岸漁業における「新たな資源管理」の実践・強化に向けた特別決議と、ALPS処理水海洋放出の方針に関する政府回答の確実な遵守を求める特別決議を採択した。要約は次のとおり。総会後、関係省庁に要請を行った。
○沿岸漁業における「新たな資源管理」の実践・強化に向けた特別決議
 海洋環境の激変による水産資源や漁場形成が大きく変動し、沿岸漁業の漁獲量が減少しており、未曾有の深刻な危機にさらされている。
 厳しい環境に対し、JFグループは新たな水産基本計画の下、これまで以上に自らの課題として資源管理を実践していく決意である。
 今後、コロナ禍を乗り越え、TACによる資源管理の実践にあたっては、漁業者の理解と協力を得た上で進めていくことが大前提である。
 TACの実施にあたって国はあらかじめ関係する漁業者に十分かつ丁寧な説明を行い、漁業調整委員会等の場で議論を尽くすなど、浜と十分な協議を重ね、理解が整ったものから進めるとともに、遊漁による資源への影響把握や漁業と一貫性のある資源管理措置を推進することを強く求める。合わせてTACを遵守するための特別な取り組みや、直面する経営困難な状況を乗り越えるための新たな支援策を含めた対策等の充実・強化を、国に強く求める。
○ALPS処理水海洋放出の方針に関する政府回答の確実な遵守を求める特別決議
 昨年4月、政府は東京電力福島第一原子力発電所事故に伴うALPS処理水海洋放出の方針を決定し、以降、海洋放出に向けた準備を進めている。
JFグループは、全国の漁業者・国民の理解を得られないALPS処理水の海洋放出に断固反対であることはいささかも変わるものではない。
本会は5項目の申し入れを行い、本年4月、国の基本的な姿勢として①国が風評影響に全責任を持つ、②漁業関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない、③全国の漁業者が将来にわたり安心して漁業が継続できるよう、超大型の基金を創設するの3点を含む回答が示された。
しかしながら、政府回答には、漁業者・国民への説明や風評被害への対応をはじめ実施すべき具体策は示されておらず、あらためて政府に対し、丁寧かつ真摯な説明と、実効性を持った具体策を示すことを求める。
特に、超大型基金の創設は、政府回答にあるとおり、風評被害対策とは別建てとし、全国の漁業者が将来にわたり子々孫々まで安心して漁業を継続するため、漁業経費の太宗を占める漁業用燃油等の調達支援などについて、ALPS処理水の処理を含めた廃炉が完了するまでの長期にわたり実施されるよう強く求める。

WTO閣僚宣言の漁業補助金協定に対する声明発表

なお、全漁連は6月17日、第12回WTO閣僚会議の閣僚宣言の漁業補助金の合意内容に対し、次のような声明を発表した。
「第12回WTO閣僚宣言にあたっての声明」
JFグループはわが国水産業が存続し、国民に対する水産食糧の安定供給の使命を全うするため、漁業補助金について禁止すべき補助金は真に過剰漁獲能力・過剰漁獲につながるものに限定し、適切な資源管理がなされている場合、漁業補助金は資源に影響を及ぼさないため禁止の対象とすべきではないとの立場で、強く訴えてきた。
今回の宣言に盛り込まれた、漁業補助金協定の合意内容をみると、漁業補助金はIUU漁業に対する補助金の禁止や、乱獲資源に関する漁業への補助金の禁止が規定されたものの、後者は資源管理回復措置さえあれば供与可能となっており、我々の訴えが担保され、交渉にあたっての政府の努力を多とする。
海水温の上昇など海洋環境の激変により、わが国沿岸漁業の漁獲量が減少している中、漁業者は来遊資源のフル活用をはじめ、あらゆる手段を講じて活路を見出しながら、新たな資源管理計画の下、これまで以上に自らの課題として資源管理を実践していく。


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