水産北海道ブログ

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12月1日改正漁業法 関連政省令、技術的な助言、資源管理ロードマップ…何が変わるのか?

2020-11-15 14:45:00 | 今月のフォーカス

 2年前の12月、臨時国会であっという間に決まった漁業法改正は、水産庁による「水産政策の改革」の根幹を成す。ついに施行まで秒読み状態となったが、一体何が変わるのか、この間の議論の割にはいま一つ現場の理解が深まったとは言えない印象が強い。

 現場が70年ぶりの法制度の根本改革の全体像を理解するには、時間がかかることは致し方ないだろう。海洋環境の変化、資源構造の変化、新型コロナ感染拡大といった切羽詰まった問題がどんどん漁業を襲い、とても立ち止まって未来の成長産業化とか新たな資源管理システムなどを考える余裕はない。新型コロナで全国の学校が休校し、社会経済活動がストップしたのだから、この議論も「水入り」をして、コロナが収まった時点で、じっくりとやった方がいいのでは?

 極端なグローバル化と格差社会を放置したことが、このたびの新型コロナ問題を深刻化させ、冬に向かって北海道のみならず、全国、全世界をウイルスが襲っている。インバウンドも外国人技能実習生も吹っ飛び、営業自粛や時短を求められている飲食店はもはや限界(外食需要は戻らない)で、生鮮水産物を扱う流通場面では企業の倒産も広がっていく可能性が出ている。

 さて水産業の成長化とか、新しい資源管理システムとか、バランスのとれた就業構造とか漁業所得の向上とか、そういった課題を考える余裕は現状では悪いけれど、役人とか研究者しかないと思われる。MSY(最大持続生産量)レベル達成に向け資源の管理目標を設定し、漁獲シナリオ(TAC)を考えることは大事でしょう。フツーの場合は。今は非常時ではないですか?「将来の資源のために、いま生活している漁業者を殺すような施策は受け入れられない」というのが当たり前の論理で、10年後に実現できる方法の確率を示して選択を迫るようなやり方は止めた方がいいでしょう。世界で5千万人が感染するような新型コロナのパンデミックに直面している現在、10年後の資源状況なんか誰が切実に受け止めるのですか?

 すべて架空のコンピュータゲームから目を覚まし、水産庁や水産研究・教育機構の人たちは、地道な漁業調整とか200海里内の操業確保とか、基礎データの収集とかに汗を流した方が身のため、世のためです。

 お題に戻れば、制度は運用してみないと本当の効果はわからないでしょう。このたびのようなむちゃくちゃな改革だとなおさらわからない。しかし、法制度の理念はこれほど筋の通った改革はないと言える。要するに空き家になっている漁場を開けさせ、企業的な漁業に効率的に使ってもらう。沖合・沿岸の漁船漁業はTACを消化でき、個別割当も十分対応できる大型階層を中心に任せる。漁業権管理にこだわる零細な「漁業権管理組合」はこの際、合併統合して退場してもらうというストーリーは容易に想像できる。


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