水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

スルメイカ資源管理方針の検討会 本道の定置網に初のTAC設定、大量入網に留保枠で対応

2021-12-22 15:21:26 | ニュース

 水産庁は12月20日、第2回資源管理方針検討会(スルメイカ全系統群)をWeb併用で開き、漁獲シナリオ、資源管理基本方針などを協議し、令和4年度漁期TACの設定に関して合意を得られなかったが、両論併記でパブコメを行い、最終的には2月の水政審資源分科会に諮問し答申を受ける。

なお、都道府県枠でもTAC消化の8割に含まれる漁業に数量明示を行ってTAC管理を行う方針を示し、北海道の定置網に5千㌧のTACを設定する。道や業界は「十分な留保枠」「柔軟な対応」を求めており、水産庁は留保枠を設定し、大量入網に備える。従来、当道府県の定置網のイカ漁獲は「若干量」、現行漁業法における「現行水準」として数量明示されてこなかった。道によると、道内定置網のイカ漁獲は直近では2019年も5千㌧を超えており、この18年間に1ヵ月で5千㌧を超えたのが11回、1万㌧超えも6回を数え、短期間に集中水揚げが想定される。道定置漁業協会の金森浩一専務は「この話は浜では全く知らないので、大混乱が起きる。ぜひ国が出向いて説明してほしい」と要望した。

 会議は、水産研究・教育機構がスルメイカ冬季・秋季発生系統群の資源評価の更新結果を報告。魚谷敏紀資源管理室長が漁獲シナリオの提案を行った。

 それによると、冬季・秋季ともに最もリスクの少ない漁獲シナリオを選び、TACの乱高下を防ぎ、安定した漁獲が期待できる3年間固定の方針を提案した。TAC数量には中国の漁獲(15万㌧)を考慮せず、TACの根拠となる冬季・秋季ABCの合計とし、わが国が最大のシェアを持っていた2007年の6割を乗じて7万9,200㌧を日本TACとした。うち15%を留保する。

 髙瀨美和子資源管理部審議官の進行で全体質疑を行ったが、異論が続出。「漁業者に納得してもらった上でTACを決めることが全くできていない」と毎年ステークホルダー会議をやって状況変化に対応した見直しを行うべきとの意見が大半を占めた。

 髙瀨審議官は「3年間TACを固定する案には、賛成、反対の意見があり、水産庁としては3年以内の見直しも提案したが納得を得られなかったので、引き続き検討したい。留保枠は最小限で設定し定置網に限定せず、その他の漁業も対象にすることで理解を得た」とまとめた。


東電がALPS処理水海洋放出の実施計画申請

2021-12-22 15:11:24 | 系統通信

 東京電力は福島第一原発事故に伴うALPS処理水を海洋放出する実施計画を12月21日、原子力規制委員会に提出した。東電によると、政府が4月に基本方針を踏まえ、ALPS処理水希釈放出設備と関連施設の基本設計などを申請した。原子力規制委員会の審査、認可を得られれば、2023年4月中旬頃の完成をめざす。計画では、ALPS処理水のトリチウム濃度を1500ベクレル/リットル未満に希釈した上で、放水トンネルを通じて沿岸から1㎞離れた場所から海洋に放出する。

 ALPS処理水海洋放出に対しては地元県漁連をはじめ、全漁連や道漁連も反対している。政府は補正予算で風評被害対策として全国を対象に300億円の基金を造成した。


道改正漁業法に基づく定置漁業権の検討懇談会 「定置漁業の免許すべき者」めぐり難しい判断も

2021-12-22 15:06:59 | ニュース

 道は20日午前10時から札幌市2・7で令和6年1月1日に切替を迎える次期定置漁業権に関し、改正漁業法のもと初の定置漁業権の切替で配慮すべき事項に専門家の意見を聞いた。

 道は、70年ぶりの漁業法改正を受け、秋サケ定置漁業権の免許の設定にあたり、資源や社会経済のほか、各地域の状況を考慮しつつ、漁業権の切替方針の策定や免許の基準等について検討を進めていく必要があることから、自治事務として適切な免許事務を行うため、有識者との懇談会を開いた。この結果をホームページで公開するとともに、この懇談に基づく方向性の取りまとめなどは行わない。

 川村広之水産林務部漁業管理課課長補佐が「今年の秋サケ漁獲は久々に400億円を上回ったが、増殖用の種卵確保が難しい地域もあり、定置網を取り巻く環境は大きく変化している。次期切替に当たり、新しい法制度に対応しつつ、定置網が引き続き地域産業における役割を果たしていけるよう適切に処理したい」と挨拶した。

 この懇談会には、濱田武士北海学園大教授、蛯名修留萌海区漁業調整委員会委員(北るもい漁協専務、Web参加)、小野寺勝広道さけ・ます増協専務、鳥毛康成道漁連販売第二部部長が出席し、事務局が改正漁業法の定置漁業権のポイント、道内定置漁業の生産状況、漁業権切替に関する検討(定置漁業権)などについて資料を示して説明した。

 特に定置漁業の免許すべき者について道は、国のガイドラインなどを参考に、振興条例の精神を踏まえ将来にわたり飛躍できる水産業をめざすため、国の関係法令等を踏まえつつ、「北海道水産業・漁村振興条例」とその枠組みに沿って具体的に評価選定(13項目+小項目)することを検討している。

 蛯名専務は「日本海は個人経営が多く、将来的に経営が可能か選択を迫られる。新規参入は地域の理解、調整を前提に考える必要がある」と強調し、濱田教授は「共倒れを防ぐため、行政がエリアごとの適正な経営体数、カ統数を試算し示すことも一つの方法だ。競願が出た場合、優先順位が廃止されたので、判断が難しいケースが出る」とし、小野寺専務は「判断項目の点数化、濃淡を付ける場合は、事前に十分検討し、時間をかけて周知することが前提になる」とし、鳥毛部長は「既存の漁業者を守るような項目が必要」と述べ、小野寺専務も「漁協や部会の取り組みに参加していることも評価した方がよい」とアドバイスした。


道漁村振興協会が赤潮対策で特別給付を実施 渡島〜根室管内の漁協による水質・プランクトン調査

2021-12-22 15:06:04 | ニュース

 公益財団法人道漁村振興協会は、12月14日午後、札幌市水産ビルで選考委員会(選考委員長・今隆評議員長)を開き、68件・368万円の申請を承認し、12月中の給付実施を決めたほか、年間給付計画(650万円)の申請実績が56.7%にとどまっているため、令和3年度第2次募集を実施する。また、太平洋沿岸で発生した赤潮対策関連として海水の水質・プランクトン調査を対象に特例給付の申請を募集する。全額を行政の補助対象となるものを除外し、漁協などの自己負担となるものに限定する。給付基準は海水等の水質検査料の50%、1検体7,500円以内。広域水質調査(複数漁協)50万円以内、1団体の水質調査6万円以内。対象期間は9月以降、2月28日まで。対象団体としては行政の指定する調査範囲から外れる渡島〜根室管内の太平洋沿岸漁協もしくは行政側の指定する条件から外れる調査の実施漁協を想定している。


2021年12月17日(金)発行/北海道漁協系統通信第6604号

2021-12-22 15:04:01 | 系統通信

令和4管理年度クロマグロTACの意見交換会
国がWCPFCの結果踏まえ増枠・振替の配分案示す
本道分は小型12.8㌧で据置、大型319.6㌧と1割増

太平洋クロマグロ資源管理の控訴審が判決
札幌高裁で「控訴棄却」、原告は上告の意向

道が追加補正予算、四定道議会で可決
太平洋の赤潮被害対策に約3億8千万円を計上

公明党道本部との政策懇談会
赤潮対策で複数年の支援、自主的資源管理の尊重求める

北海道秋サケ沿岸漁獲速報(12月10日現在)
1,669万尾・449億円、えりも以西で7千尾上乗せ

桧山地域ニシン資源増大対策の継続を要望
6年間の効果を踏まえ道補助の3年間延長を

12月20日、改正漁業法に基づく定置漁業権の検討に係る懇談会