水産庁は12月20日、第2回資源管理方針検討会(スルメイカ全系統群)をWeb併用で開き、漁獲シナリオ、資源管理基本方針などを協議し、令和4年度漁期TACの設定に関して合意を得られなかったが、両論併記でパブコメを行い、最終的には2月の水政審資源分科会に諮問し答申を受ける。
なお、都道府県枠でもTAC消化の8割に含まれる漁業に数量明示を行ってTAC管理を行う方針を示し、北海道の定置網に5千㌧のTACを設定する。道や業界は「十分な留保枠」「柔軟な対応」を求めており、水産庁は留保枠を設定し、大量入網に備える。従来、当道府県の定置網のイカ漁獲は「若干量」、現行漁業法における「現行水準」として数量明示されてこなかった。道によると、道内定置網のイカ漁獲は直近では2019年も5千㌧を超えており、この18年間に1ヵ月で5千㌧を超えたのが11回、1万㌧超えも6回を数え、短期間に集中水揚げが想定される。道定置漁業協会の金森浩一専務は「この話は浜では全く知らないので、大混乱が起きる。ぜひ国が出向いて説明してほしい」と要望した。
会議は、水産研究・教育機構がスルメイカ冬季・秋季発生系統群の資源評価の更新結果を報告。魚谷敏紀資源管理室長が漁獲シナリオの提案を行った。
それによると、冬季・秋季ともに最もリスクの少ない漁獲シナリオを選び、TACの乱高下を防ぎ、安定した漁獲が期待できる3年間固定の方針を提案した。TAC数量には中国の漁獲(15万㌧)を考慮せず、TACの根拠となる冬季・秋季ABCの合計とし、わが国が最大のシェアを持っていた2007年の6割を乗じて7万9,200㌧を日本TACとした。うち15%を留保する。
髙瀨美和子資源管理部審議官の進行で全体質疑を行ったが、異論が続出。「漁業者に納得してもらった上でTACを決めることが全くできていない」と毎年ステークホルダー会議をやって状況変化に対応した見直しを行うべきとの意見が大半を占めた。
髙瀨審議官は「3年間TACを固定する案には、賛成、反対の意見があり、水産庁としては3年以内の見直しも提案したが納得を得られなかったので、引き続き検討したい。留保枠は最小限で設定し定置網に限定せず、その他の漁業も対象にすることで理解を得た」とまとめた。
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