水産北海道ブログ

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水産試験場の函館開設90年記念報告会 新築移転の貴重な映像、スケソウなど主要資源の動向

2019-02-13 15:52:58 | ニュース

 

                大勢の出席者が集まった                              山本函館水試場長

 北海道水産試験場函館支場として出発した道総研函館水試の開設90年を記念した報告会が2月9日午後から函館市中央図書館で開かれ、書庫から見つかった84年前の貴重な映像を上映し、100名を超える出席者が地域漁業の柱となるスケソウ、スルメイカ、ナマコ、養殖コンブの現状と課題を紹介する研究者の報告を聞いた。

 開会に当たり、山本和人函館水試場長が「昭和3年(1928)の開設以来約380名の職員が業務に携わり、国、道など関係機関、函館市をはじめとする市町村、漁協、漁業者、水産加工業者ら地域の皆さんの協力のもと今日に至っている。近年の海洋環境の変化により、道南においてもブリが増加する一方、スケソウ、イカ、ホタテ、コンブが減産している。90年の歩みを振り返るとともに、5年後、10年後を展望する将来方向や地域振興につながるような試験研究を取り進めていきたい」と挨拶した。

 このあと、昭和10年(1935)に移転新築した水試の竣工を祝う貴重な記録映像が上映された。弁天町1番地(函館どつく敷地内)の新築庁舎の建設費用は、北海道屈指の豪商・相馬哲平氏の寄付10万円(現在の約20億円)による。竣工式と同氏の胸像除幕式の様子が収録さている。

 このあと「日本海のスケソウダラはなぜ減ったのか?」(渡野邉雅道主任主査)、「道南地域のスルメイカの現状と課題」(有馬大地研究職員)、「最近のナマコ〜黒いダイヤと呼ばれて」(酒井勇一主任主査)、「道南養殖コンブの生産増大を目指して」(前田高志研究職員)といった主要資源の動向と変化、今後の見通しが報告された。

 現在の道総研函館水試は、函館市弁天町の国際水産・海洋総合研究センター内にあり、試験調査船『金星丸』を擁し、ホタテやコンブなどの養殖や道南地域の資源管理に関する試験研究を進めている。中央図書館1階の展示ホールでは、これまでの函館水試の歩みがわかる展示物や今回の報告内容を示したパネルなどが展示され、多くの参加者が見学した。