水産北海道ブログ

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クロマグロ漁獲枠の訴訟めぐり口頭弁論がスタート 沿岸漁業に配慮した公正で公平な水産行政求める

2018-12-09 18:50:31 | ニュース

 太平洋クロマグロの小型魚規制をめぐり、漁獲枠を残して操業自粛に追い込まれた留萌管内の沿岸漁業者9人が「漁業の権利を奪われた」と国、道を相手取り損害賠償を起こした訴訟で、7日午後、札幌地裁でこの口頭弁論が行われ、水産庁と道の代理人はいずれも「請求棄却」の答弁書を提出し、裁判で争う申し立てを行った。この訴訟は10月5日札幌地裁に提訴され、今回初の口頭弁論が開かれた。次回は2月8日に予定されている。

 原告側は、原告代表の高松幸彦氏の長男・亮輔氏(33歳)が意見書を陳述し「国の公平性と実効性を欠いたマグロ資源の管理のあり方、道の指導・監督の不徹底のため発生した損害に対する回復」「マグロ資源の保護と持続的利用の観点から、沿岸漁業者の生活と利益に配慮した公正で公平な水産行政の実施」を訴えた。

 国、道は具体的な請求に対する認否、主張を書面で明らかにするとしたが、国はクロマグロTAC制度を実施する以前だったことから、規原告の指摘する「法的規制措置」の時期、法的な根拠について釈明を求めた。

 口頭弁論後に開かれた記者会見で、伊東秀子弁護士は「この訴訟の原告は当初からお金で問題を解決しようと思っているのではなく、資源に優しい沿岸の零細な漁業に、企業型の沖合漁業より厳しい規制をかける国のあり方を問題にしたい」と説明。原告代表の高松氏は「先人から受け継いできた沿岸のマグロ漁を今後も受け継いでほしいが、それが今回の措置(小型魚のゼロ配分)で閉ざされるのが納得できない。生計がかかっている漁業に対する思いが踏みにじられた」と述べた。亮輔氏も「不公平がないよう行政に再々申し立てきたが、反映されず、最悪の結果として漁獲枠が残る状態で操業を中止された。伝統漁業を後世につなげるため公正かつ公平な判断を求めたい」と強調した。


70年ぶり改正漁業法が可決・成立 漁業権や海区など制度の大幅な見直し

2018-12-09 18:48:19 | ニュース

 漁業権の優先順位や特定区画漁業権を廃止し、海区漁業調整委員会を任命制に変える改正漁業法が8日の参議院本会議で可決・成立した。ほぼ新法に近い抜本的な改正で、TAC法との統合など関連法の変更も47にのぼった。

 優先順位に変わる「漁場の適切かつ有効な利用」の判断基準、養殖の企業参入を想定した漁場利用の調整など、2年後の施行に向けた政省令の制定、具体的な運用が今後の焦点となる。実態面で沿岸漁業および漁協のあり方に大きな影響がないとする水産庁見解の実効性も問われる。

 漁業法の改正案は、11月29日に衆議院で可決された後、参議院で11月30日から審議入りし、本会議で吉川貴盛農林水産大臣が趣旨説明した。農林水産委員会(堂故茂委員長)では12月3日から審議を行い、同6日に岸宏全漁連会長、赤間廣志宮城県海区漁業調整委員(公選)、濱本俊策香川県海区漁業調整委員会会長を参考人として呼び、意見を聞き質疑を交わした。

 全漁連の岸会長は「今後の政省令の検討に当たり、JFグループと十分協議して漁業者が理解し実践できるものとし、法律の内容や政省令を含む運用の考え方を現場レベルまで丁寧に説明してほしい」と注文をつけた。

 また、赤間氏は「今回の改正が漁業の民主化などを記した現行法の第一条をばっさり削除したことに憤りと疑問を感じる」と述べた。濱本氏は「衆議院での付帯決議は重要なので、ぜひ法案に入れ、海区漁業調整委員の公選制を含め再考してほしい」と求めた。