何と言っても夏から秋は北海道漁業の盛漁期。期待は秋サケに集まる。
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道総研さけます・内水面水試は、6月30日に開催された道連合海区漁業調整委員会で、今年の秋サケの来遊について前年実績より6%増の3,901.5千尾と予測し、今年も昨年に引き続き4千万尾を切る水準にとどまる見解を明らかにした。
昨年多かった4年魚が5年魚となるため、今年も多く回帰するが、昨年少なかった3年魚は4年魚となる今年も少ないと予想される。オホーツク東部などが大幅に伸びる一方、大幅に来遊が減る地区も多く、来遊のバラツキ、格差が大きいシーズンとなりそうだ。
道連合海区漁業調整委員会は6月30日午後2時から札幌市第2水産ビル4階会議室で開催され、安藤善則会長が「昨年の秋サケは台風、低気圧で盛漁期に大きな被害を受けた。今年の秋サケ来遊に期待が大きい」、小野寺勝広水産林務部長が「本道の秋サケ漁獲は、昨年3,300万尾、570億円と6年連続で4千万尾を下回り、金額は3年連続で500億円を上回った。えりも以西の一部で資源回復の兆しが見られるが、一方でいぜんとして低迷する地区が見られ、資源の安定が課題となっている」と挨拶した。
さっそくさけます・内水面水試さけます管理グループの藤原真研究主幹が28年度の秋サケ来遊予測を発表した。シブリング法を基本に予測したもので、昨年3年魚の来遊が少なかった地区では、今年も4年魚の回帰が少ないと予想し、オホーツク西部85.7%、根室南部80.6%、えりも以東東部89.2%、日本海北部77.5%、同南部83.1%といった地区が前年を下回る。逆にオホーツク東部125.9%、根室北部112.2%、えりも以東西部110.9%、えりも以西道南130.1%、日本海中部111.4%は前年を上回る。
① 昨年の秋サケ来遊の特徴
平成27年の全道への秋サケ来遊数(沿岸での漁獲数と河川での捕獲数の合計)は3,682万尾にとどまり、前年より5%増加したものの、26年に引き続き4千万尾を下回る来遊数となった。
年齢別にみると、主群である4年魚(23年生まれ)が2,462万尾(来遊数全体の66・9%)と最近では21年に次いで数多く来遊した。一方、 5年魚は915万尾と13年以降では最も少ない来遊となりました。また、3年魚は169万尾と26年の264万尾を下回ったものの、 26年は最近としては数多く来遊した年であり、これを除くと27年は平均的な来遊数となった。4年魚の来遊が多かったものの、 5年魚が少なかったことが響き、 来遊数全体としては前年の微増にとどまった。
時期別にみると、前期の来遊数は1,922万尾(前年対比106.3%)、 中期の来遊数は1,495万尾(前年対比104.1%)、 後期の来遊数は265万尾(前年対比100.4%)といずれも前年をやや上回る来遊数となっている。
海区別にみると、日本海を除きえりも以西、 オホーツク、根室、えりも以東のいずれも5年魚の回帰数が前年を下回ったが、主群である4年魚は各海区ともに前年より多く回帰したため, えりも以東を除く海区では, 全体として前年よりも来遊数の増加がみられた。なお、 3年魚はえりも以東で前年より若干増えたものの、 その他の海域では前年を下回った。
②今年の来遊予測
予測手法としは昨年までと同様、シブリング法という手法を用いて実施。シブリング法では、3年魚が多い年の翌年は4年魚が多くなると予測され、4年魚が多い年の翌年は5年魚が多くなると予想される。逆に昨年の4年魚が少なかった地区では今年の5年魚は期待できない。
今年の全道への来遊数は3,901万5千尾と推定され、4千万尾を下回る。27年は 全道的に4年魚が多く回帰したことから、 今年の5年魚が昨年より多い一方で、 27年の3年魚の回帰数が前年より少なかったため、 今年の4年魚は昨年より少ない。
③河川捕獲見通し
地区別・時期別にみると,捕獲計画数の親魚を確保できる見込みの地区が多くなっているが,不足すると予想される地区がいくつかある。不足が予想されるのは,オホーツク中部の中期、 根室北部と南部の中・後期、えりも以東東部の中・後期、日本海南部の前・中期となっている。えりも以東, 日本海では海区全体で種卵は確保できる見込みとなっているが,根室海区については海区全体でも不足が予想される。今年も海区全体で計画数の親魚が確保できるよう十分な対策が求められる。