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★『原発ホワイトアウト』は誰だ?

2013年09月16日 | 新聞/小説


この作者は、誰なのだろう──小説の形を借りた告発なのだ。
『原発ホワイトアウト』(若杉洌←ニスイ+列です)講談社、1680円=写真。
著者略歴は
「東京大学法学部卒、国家公務員1種試験合格、現在霞が関の省庁に勤務、現役キャリア官僚」
しか分からない。
でも、第1作ながら数紙に半5段新聞広告を打ち、書店でも派手なディスプレーをしているから、講談社が力を入れているのが分かる(タイムリーな題材もあるだろうけど)。

小説は、1998年2月21日の朝日新聞記事から始まる。
「70メートル送電塔突然倒れる 香川・坂出」
覚えている。鉄塔を支えるボルトが2塔で外されテロではないか、と騒がれた異様な事件。
それから15年後の今年2013年参院選投開票7月21日午後8時、ある電力会社幹部は、保守党圧勝を見て
「ようやく秩序が回復された」
とほくそ笑んだ。
保守党、政界、経産省、電力会社それぞれが動きだした。
だが、放射性物質ダダ漏れが続くムニャムニャでムニャムニャだった──(言えない)。
書き方やストーリー展開では、真保裕一さん的作風がチラリ見えるから、作者・若杉さんは30代後半ぐらいの官僚ではないだろうか。

「東京選挙区では、フクシマの事故後に脱原発運動で有名になった山下次郎という俳優が無所属の候補として当選圏内に食い込んで、民自党の現職と競り合っている、とも報じられていた。
(中略)
仮に無所属で蠅のようにうるさい奴が一人ぐらい当選したって大勢に影響はない。(後略)」
(本文から引用)

山下次郎(脱原発俳優、参議院議員)
岩崎道夫(保守党幹事長)
伊豆田清彦(新崎県知事)
山野一郎(保守党一匹狼議員)
「脱原発俳優・山下次郎」という括り方も乱暴というか凄いが、
だいたい「あの人」と類推できるのだ、登場人物たちが──。
あまりに詳細で、生々しい告発小説。
途中から憤りで、「怒!」連発だった(でも、次作が読みたい)。



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