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日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ハリーポッターと死の秘宝」J・K・ローリング著(松岡佑子訳)静山社

2008-11-14 | 児童書・ヤングアダルト
「ハリーポッターと死の秘宝」J・K・ローリング著(松岡佑子訳)静山社を読みました。とうとう終わってしまったハリポタ。ネタバレあります。

今回は冒頭のハリーがダーズリー家を出る場面から息をのむ展開の連続!
魔法省への潜入、ゴドリックの谷。捕らえられたマルフォイ家。グリンゴッツ破り。そしてホグワーツでの最後の闘い。
だいたい最終巻というと「ふろしきを広げすぎて無理して終わらせたな」というシリーズものが多い中、ハリポタは最後までこんなに面白くていいの?というくらい満足感たっぷりの巻でした。

ヴォルデモートとの最後の対決でキーとなるのが「杖」。
杖の魔法って本当に不思議です。杖が魔法使いを選び、お互いに経験を重ねて成長していく。
でも楽器などにたとえたらなんとなくわかるかな?
最初は人が楽器を選んだようでも、そのうちにその楽器が人を変えると聞いたことがあります。「モノ」だからといって人がなんでも主導権を握って自由に使いこなせるわけではないんですよね。

そして今回は屋敷しもべ妖精に涙涙。
ロケットを手に入れたくだりを語るクリーチャーはとても可哀想でした。
そしてなによりドビーの献身。ドビーのなきがらをほうむるハリー。
こんなに哀しくつらい想いを重ねながら、最後までヴォルデモートとの対決を投げ出さなかったハリー、ほんとうにすごい。

それから一番心に残ったのがスネイプ先生の生涯。
自身のそれた呪文がジョージの耳にあたった時、同僚のバーベッジ教授を見殺しにせざるを得なかった時、ホグワーツでカロー兄弟が生徒たちをなぶりものにしているのを黙認しなければならなかった時、本当にどんなにつらい気持ちだったんだろうと思います。
松岡さんの訳者あとがきにあるように、「愛されなかったのに愛しつづけた男」。
永遠の恋。
幼いときからリリーに恋していたというのは驚きでした。
それなのに自分の密告により彼女を死なせることになったスネイプ先生。
可哀想すぎる。せつなすぎる・・・。
死の直前に書いたリリーの手紙をシリウスの家で見つけ、涙を流したスネイプ先生の姿、胸に迫りました。
スネイプ先生の守護霊はリリーと同じ牝鹿。
スネイプ先生は美しいリリーの記憶をよびさまして守護霊の呪文をとなえていたのかなあ。守護霊って不思議です。

スネイプ先生は生前周囲に誤解されつづけて逝ってしまったけれど、校長室に肖像画として残っているのなら、すべてが解決した後で、その絵とハリーが話ができていたらいいなと思います。
ハリーがいくら感謝の言葉を述べても、スネイプ先生は照れて「ふん!」とかいいそうですけど。

12月に出版予定の「吟遊詩人ビードルの物語」も楽しみです。

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