西條奈加さんの「心淋し川(うらさびしかわ)」を読みました。
感想など綴ってみたいと思います。

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、
そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。
川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、
人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。
その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、
六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。
かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女が
よく口にしていた、珍しい唄だった。
唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。
連作短編集。
最後の、「灰の男」に、それまでの短編に出てきた人たちが、みんな登場する。
心町に住む、ちょっとわけありの人たちの、心に沁みるような、
悲しいような、心温まるような不思議な気持ちになる物語たち、
「灰の男」が、一番心に残った。
息子を殺された敵、、、と思っていた人が、実は、息子を殺された敵をとるつもりで、
殺していたのだとは・・・・事実は、見る方向が違えば、なんて違って見えるのだろうと、
驚いた結末。
江戸時代の町の人々の生活は、こんな様子だったのだろうか?
なんて、思いを馳せてみたり。
感想など綴ってみたいと思います。

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、
そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。
川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、
人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。
その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、
六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。
かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女が
よく口にしていた、珍しい唄だった。
唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。
連作短編集。
最後の、「灰の男」に、それまでの短編に出てきた人たちが、みんな登場する。
心町に住む、ちょっとわけありの人たちの、心に沁みるような、
悲しいような、心温まるような不思議な気持ちになる物語たち、
「灰の男」が、一番心に残った。
息子を殺された敵、、、と思っていた人が、実は、息子を殺された敵をとるつもりで、
殺していたのだとは・・・・事実は、見る方向が違えば、なんて違って見えるのだろうと、
驚いた結末。
江戸時代の町の人々の生活は、こんな様子だったのだろうか?
なんて、思いを馳せてみたり。