ペパーミントの魔術師

ご挨拶が遅くなりました。
引っ越し先でも同じタイトルで
継続しております。

人をリトマス紙にかけないで(泣)~「ツリー・オブ・ライフ」~

2011-08-31 11:10:50 | 映画



最近、自分の周りで、
書いたレビューの内容でもって攻撃されてるひととかいて、
なんだかものすごく感想が書きにくいんだけど。

正直いうとね、
開始直後に帰りたくなった。(オイ)

話が大きすぎる、あまりに宗教色が強い。

人の営みなど、宇宙ができて、地球ができてなんていう
気の遠くなるような歴史のなかじゃ
めっちゃくちゃちっぽけである。
そんなかのましてやある家族の「幸せだった時間」なんて
あまりに短いやん。

命はそんなふうに繰り返され、今に至ってる。
…神はすべてをみているということか?

ワタシは、そのものすごくちっぽけな人間の
ある家族の話を見たかったんだ、ホントは。

そういう意味じゃブラッドピットやショーンペンは
別に彼らじゃなくてもよかった。
あくまでも客寄せパンダにしか見えなかったんだ。
実際それにつられて見に行ってる約一名はここでしょんぼりしてる。
置いてかれたと思った・・・。


人のレビューをいっぱい見に行った。
ものすごく称賛してるひととケチョンケチョンの違いは
「理解できたかできないか」でまっぷたつだ。
理解できないまでも、心に届いた、感じたよというひともいた。
あくまでも個人の意見だからものすごく誤解されそうなんだけど
好きか嫌いかといえば、嫌いな部類に入る、頭かかえた。
でも、実際に鑑賞して三日たった今はちょっと変わって来てる。

映画の表現はあまりにも抽象的な部分と語りが多い。
んで、クリスチャンならもすこし肌で感じられる部分もあるのだろうなという
俯瞰でしか見れないような作品。

ただ、その中にあって
親と子の意識の違いからどれだけすれ違って
殺したいと思うほどに憎んでも
必ずいつかはわかりあえるものなんだという救いがあったことが
うれしかったかなと。

ブラピ目当てという目的以外にこの映画を見たかった理由がもうひとつあった。




「父さん、あの頃の僕はあなたが嫌いだった」
・・・おそらくはこの1行にどうしようもなく惹かれたんだ。



すでに私の両親は亡くなっている。
この映画と逆パターンで、やたら怖くて厳しかった母と
優しいのか放任主義なのかよくわからなかった父で。

母は重い腎臓病でおそらくそれゆえに人生であきらめてしまったことが
あまりにもいくつもあったんだと思う。
昔はそれだけで結婚するにもハンデだったらしいし。
出産なんてもってのほかで実際に私が生まれるまでに流産を2,3度したらしく
当然のことながらきっと私は彼女にとって希望で夢で
過剰な期待をされてしまったんだと思う。
でもその愛情に対して私は恐怖と反発心しか持てなかったんだ・・・。
彼女は私がまだ小3のときに亡くなった。
めっちゃ親不孝な話だけど「これで解放された」って思ったんだ・・・。

分かり合うことのできないまま死別してしまって
今自分が親になって、ヘンな話物言わぬ相手に向かって
墓参りの度にあーだこーだと心でしゃべってる。
取り戻せない時間ではあるけれど、自分がその年齢になれば
見えてくるものってあるんだ。



ブラッドピット演じる父は確かに厳しかったかもしんない。
俺のいうことが絶対でありながら俺のようにはなるなという
一見ものすごく矛盾したことを言うてるんだけど、
それは子供心にはわけわかめな話なんだけど
今親目線でこの映画眺めるときに
そんなつもりじゃないんだけど、こんなふうにしかできなかった父の姿とか
その心中は察してあまりあるものがあってね。めっちゃわかるんだ。
・・・ってか、一昔前の頑固おやじってみんなあんなふうじゃなかったっけ?
あれ、ふつうだと思った。
反抗期の息子3人おって、お父さんがこわくなかったら
好き勝手するやん・・・(笑)
抱きしめてるシーンも一緒に遊んでるシーンもあった。
けっしてただのわけわからんDVおやじではなかったと思うんだけどな。
その時は親を憎むかもしれないし、めっちゃ大きな壁として
自分を邪魔するものと思うかもしれないけど
社会に出て行ったときの自分の敵はそんなもんじゃない。
強くあれという父の気持ちもわからなくないんだ、
ただ、父も人間だから実は弱くて
子どもは父の身勝手も矛盾も見栄も見抜いてしまう。
父はそれ指摘されると立場ないからよけいに怒るわな・・・。


ものすごく漠然とした映像とあまりに気持ち良くて眠ってしまいそうな音楽で
何を見に行ったのかわからなくなる作品ではあるけど
確かにものすごく人を選ぶ作品ではあるけど
わかったからどう、わからなかったからどうという言い方はあまりしたくないな。
なんだか裸の王様みたいな気分になるし、
そもそも映画の感想なんて自分にとってそれが
すきか嫌いかだけの話だと思うし。
技術的なことなんもわからん人間が見に行って、それが良作か駄作かなんて
判断できるわけもない。
2時間の異世界で何を思うかだけの話だと思うし。

正直わけわからん世界に放り出されてしまったことは確か。
ただ、見終わった時と違って今の自分の心境としては
決して無駄な時間ではなかったと思う。
もいっかいみたいかといわれたら遠慮するけど。(オイ)