世界のVC投資額30%減少、中国市場の減速響く-1~3月期
Jane Zhang2024年4月10日 17:54 JST
- 低迷する経済とIPO市場に慎重姿勢を崩さず
- 生成AI分野では資金調達額が中国で倍増した
世界のベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達額は2024年1-3月(第1四半期)に30%減少し、景気減速や新規株式公開(IPO)市場の低迷に投資家が慎重姿勢を崩していないことが浮き彫りとなった。
調査会社プレキンのデータによれば、中国で40%減少したことが市場全体に響き、米国は29%減だった。スタートアップ企業による世界全体の資金調達額は、1-3月期に578億ドル(約8兆8000億円)に縮小した。
こうした数字は、投資家が経済の減速とインフレ高止まり、それがスタートアップに与える影響を懸念していることを示している。23年の世界のVC投資額は、生成人工知能(AI)などの新技術が資金を集める中でも、17年以来最低に落ち込んだ。
プレキンによると、中国では24年1-3月期にAI企業への投資が42億ドルとほぼ倍増した一方で、同国全体のVC投資額は118億ドルに減少した。これは四半期ベースで20年1-3月期以来の低水準となる。
Investor Sentiment on Startups Craters Globally
VC investments into the world's two largest economies have slid for years
Source: Preqin
AI競争で米国に挑む中国-資産家から元企業幹部まで結集し総力戦
中国では1-3月期に19件の大型案件があったが、その中には新進気鋭のスタートアップであるムーンショットAIとミニマックスへの2件の投資があり、評価額はそれぞれ数十億ドル規模だった。
中国政府はAIのような最先端分野の研究を優先課題とし、国家を挙げて欧米の技術への依存度を下げようとしている。AIはその軍事的・商業的応用から、米中両政府にとって特に関心の高い分野だ。
シリコンバレー企業に加わるようにして、アリババグループやテンセント・ホールディングス(騰訊)などの中国のハイテク大手は、Baichuan(百川智能)やZhipu(智譜AI)のようなスタートアップに投資し、独自の大規模言語モデルを開発している。
ムーディーズのシニアアナリスト、ショーン・シオンは「中国は、生産性の伸び鈍化や生産年齢人口の減少など、経済成長のハードルに対抗する手段としてAIに賭けている」とし、「しかし、導入には大規模な投資が必要で、企業は執行リスクに直面している」と述べた。
原題:Global Venture Funding Drops 30% as China Helps Drag Market Down(抜粋)
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