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中国シャドーバンク大手、中植が破産申請-不動産危機で急転落 Bloomberg News 2024年1月5日 19:29 JST 更新日時 2024年1月6日 4:58 JSTブルームバーグ

2024-01-06 12:27:58 | 日記
中国シャドーバンク大手、中植が破産申請-不動産危機で急転落
Bloomberg News
2024年1月5日 19:29 JST 更新日時 2024年1月6日 4:58 JSTブルームバーグ

中植は「明らかに」債務返済能力を欠く-北京市第一中級人民法院
昨年11月に364億ドルの資金不足を投資家に説明していた



The building that houses the headquarters of Zhongzhi Enterprise Group Co. in Beijing, China, on Jan. 5, 2024. Source: Bloomberg/Bloomberg

中国のシャドーバンキング(影の銀行)大手、中植企業集団が破産申請を行った。ピーク時の運用資産が1400億ドル(現在の為替レートで約20兆2600億円)を超える巨大企業だったが、深刻化する不動産危機にのまれ、急激に転落し破綻した。

  申請を受理した北京市第一中級人民法院は5日、中植は「明らかに」債務返済能力を欠いていると文書で指摘した。昨年11月の投資家向け書簡によれば、監査の結果、中植の債務は最大4600億元(現在の為替レートで約9兆3100億円)で、資産は2000億元だった。

  中植の破産申請は中国史上最大の破綻劇の一つで、既に不安定な消費者心理や投資家のセンチメントに一層の負荷をかける。不動産市場の落ち込みや内需の弱さ、貿易不振が中国経済の重しとなっている。中国の主要株価指数は2023年、通年ベースで3年連続下落した。

  中植が金融市場を最初に懸念させたのは昨年8月。傘下の信託会社、中融国際信託が複数の高利回り投資商品に関して顧客への支払いができず、北京市内で抗議活動が起きた。

中国不動産危機、影の銀行に波及-信託商品の投資家が異例の抗議

  中国当局は昨年11月、中植系の資金管理事業について刑事捜査に着手したと発表。中植はその数日前、バランスシート上で364億ドルの資金不足に陥っており、「深刻な支払い不能状態」にあると投資家に説明していた。1月5日の営業時間外に同社にコメントを求める電子メールを送ったが、返答はなかった。

  中植のような影の銀行は、一般世帯から集めた資金で融資を提供したり、不動産や株式、債券、商品に投資したりなどしている。

  こうした企業への規制は緩く、競合する信託会社がここ数年リスクを縮小する中でも、中植とその関連会社、特に中融国際信託は経営難に陥った不動産開発会社への融資を拡大。中国恒大集団などの企業から資産を買い取っていた。

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原題:Troubled China Shadow Bank Zhongzhi Files for Bankruptcy (3)(抜粋)
(詳細を追加して更新します)

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エミン・ユルマズ氏「2050年日経平均は30万円に」超少子高齢化の日本が劇的復活するワケ 1/6(土) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL

2024-01-06 11:58:22 | 日記
エミン・ユルマズ氏「2050年日経平均は30万円に」超少子高齢化の日本が劇的復活するワケ
1/6(土) 9:06配信
日刊ゲンダイDIGITAL


 今世界がインフレに見舞われる中、日本では依然として給料が上がらず、GDPはドイツに抜かれ4位に転落。類を見ない少子高齢化、人口減少、さらに国の債務、年金、医療など、問題山積みで悲観論が渦巻く中、「日本の将来は明るい」と語るのが、トルコ出身のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏。なぜ一人負け状態の日本が劇的に復活するのか──。



 ◇  ◇  ◇

 日本はバブル崩壊後の“失われた30年”と言われる長期低迷を経て、経済的に他の先進国のみならず新興国にも出遅れ、日本人の多くは将来を悲観していると思います。しかし、私の見方はだいぶ異なります。

 デフレからインフレへの転換に伴い、これから日本人の給料は上昇。さらにグローバル資本が殺到し、2050年日経平均は30万円に──。多くの人にとって、私が唱える“日経平均30万円説”は荒唐無稽に聞こえるでしょう。

 これから黄金期を迎える日本の鍵は、実は国力低下の要因とされる“人口減少”です。なぜこれから日本が復活するのか。その理由をお話ししていきます。

 まず日本はすでに“失われた30年”を脱し、黄金期に突入しています。黄金期のスタートはアベノミクスが始まった2013年なので、すでに10年が経過しています。13年を起点に株価上昇は10年続き、日経平均は2009年3月10日につけた最安値7054円98銭から4倍超に。しかし、これが2050年まであと30年ほど続くので、まだまだ序の口です。

 まず何が世界経済に影響を及ぼしているのか、大きな枠組みでとらえなくてはなりません。私は最大の要因が地政学だと考えています。歴史を振り返れば、それは明らかです。

 日本は戦後、朝鮮戦争(1950年)の特需をきっかけに高度経済成長していきましたが、その背景に米ソ冷戦がありました。日本や西ドイツ(当時)を共産主義から守り、経済的に豊かにしようという米国の方針が恩恵をもたらしたといっていいでしょう。日独が人的資源に恵まれていたことも大きいですが、この地政学的追い風がなければこれほど短期間で経済成長は達成できなかったでしょう。

■日本が長期低迷に陥った背景と反転の兆し

 それが一転するのが、1990年です。ソ連やベルリンの壁の崩壊が象徴する冷戦の終了で、日本は地政学的な重要性を失ってしまいました。日本の資産はバブルで割高になり、グローバル資本が成熟しきった日本市場から一気に引き上げ、中国や旧ソ連に向かいました。これがバブル崩壊後の長期低迷の背景です。

 半導体のドミナンス(支配)など、80年代後半からの日米貿易摩擦に代表されるように、日本に吹いていた追い風が向かい風に変わり、日本バッシングが起こりました。日本人は自虐ネタが好きですが、歴史を振り返ると、どの民族の繁栄も低迷も自分たちの力量だけではなく、地政学的要因が大きかったと言えます。

 さらに、戦後の好景気や株式市場の大相場は、1950年から90年までの40年、低迷は90年から2013年までの23年続きました。それ以前(1878年~1943年)の発展、低迷も、それぞれ40年、23年というサイクルで動いていることがわかります。13年から2050年の日本の黄金期は、発展の40年サイクルに当てはまるのです。

 今世界の中で日本にアドバンテージがあるのは、地政学的な風向きが再び日本に吹き始めているからです。“米中新冷戦”と呼ばれる新しい体制に入った13年からの動きを見ると、第2次安倍内閣でアベノミクスが始まり、習近平が中国国家主席に就任。14年にはロシアによるクリミア侵攻。さらに現在、ロシアとウクライナ、パレスチナとイスラエル、中国と台湾と、東西で戦争や紛争が激化し衝突が懸念されています。

 新型コロナのパンデミックをきっかけに欧米諸国と中国の関係はより悪化し、実質、鎖国状態となった中国からグローバル資本だけでなくサプライチェーンが逃げ出しています。それがどこに向かうかというと、代わりになる国はそうありません。ある程度インフラや人材が揃っていて製造業が盛んな国となると、結局日本しかないのです。

 特に今“21世紀の原油”と言われる半導体の生産が、台湾に集中しすぎてしまっています。懸念される台湾有事が勃発すれば、生産がストップするリスクが高いのです。そのため、台湾のTSMCが熊本に工場を作ったように、半導体特許の大半を握る米国政府は生産をもう一度日本に戻そうと躍起になっています。今後、台湾の半導体生産拠点の半分以上を日本に疎開させると思われます。




猛烈な“日本買い”がやってくる


 グローバル投資が日本にやってくるというと、世界的投資家のウォーレン・バフェットが日本の5大商社株を買っていることから、外国人が日本株買いに走ると考える人が多いと思います。しかし、それだけではありません。半導体工場がやってくるように、これから日本に直接投資(FDI)をする動きが活発化していきます。日本へのFDIは対GDP比1.1%で、昨年は中国を越えました。これは何を意味するのでしょうか。

 海外からいろんな会社が来て、日本で事業投資をする。事業投資は地元に雇用を生み、経済に貢献します。それが、日本のかなり地方のほうにまで行っています。半導体分野だけではありません。インバウンド関連では、シンガポールの不動産投資ファンドが新潟・妙高高原のスキーリゾートに2000億円超の直接投資をすると報じられました。2兆円プロジェクトの大阪IRも同様です。

 つまり、日本にお金が集まる。お金が集まれば人も集まる。人が集まれば情報も集まる。海外から直接お金が流れて、地方経済まで活発化していくと、今日本が抱えるさまざまな問題の解決につながるのです。移民に関して賛否両論ありますが、資本や技術が集まれば、高度な技術を持った移民が増えていくものと思われます。

■人口減少と自動化で日本はどうなる

 さらに今後進んでいく自動化、無人化、ロボット化、AI化が仕事を奪うと言われています。

 今は旧経済から新経済に移行している過渡期で、自動化は始まったばかりです。大多数の仕事への影響はまだ軽微ですが、このトランスフォーメーションが終わった時に最も困るのは、人口が多い国です。なぜなら、ものすごい勢いで作業効率化が進むことで、人間が携わる仕事がなくなり、人口が多い国では人があぶれていくからです。

 大半の人が理解していないのは、自動化というのは今までの技術とは全く異なるということ。

 人々は19世紀まで馬車に乗っていたのが、20世紀になると馬車が自動車になり、動力がエンジンに代わり馬が不要になっても人間が不要になったわけではありませんでした。しかし、これからの時代、無人で動くので運転手そのものが不要になる。

 つまり、私たちは「20世紀の馬」と同じ運命にある中、人が携われる職がどんどん減っていき、職の争奪戦になったとき、その国の秩序は乱れていきます。これから将来に向けて人口が多い国は大変だと思います。

 日本に関していうと、全自動化が完成した時にはだいぶ人口が減っているので、人口増加国よりダメージはかなり少ないはずです。自動化時代にとって、人口減少は追い風と言えるのです。移民大国と言われるアメリカでさえ、現在の人出不足の中で移民を増やそうとしていません。これは将来の人余りを見越してのことだと私は思います。

 今の日本はどうでしょうか。有効求人倍率が1.3倍程度なので、30%ほど仕事のほうが多い状態です。しかし、問題なのは、セクターごとにあまりにも偏りが出ていることです。事務や総務などは人が余っているのに対して、建設や介護など3Kと言われる仕事は慢性的な人手不足です。

 有効求人倍率が高いジャンルに人を集め、この不均衡を是正するには賃上げをするしかありません。人が集まらないのは単純にペイ(支払い)が良くないから。みんなが就きたいと思うくらい賃金を上げなければならないのです。

 自動化が完成した将来、ホワイトカラーもブルーカラーも仕事が少なくなり、世の中は今とは全く違う景色になっている可能性が高い。

 そんな中で多くの人はどうやって収入を得るのかというと、全国民にベーシックインカムを出さないといけなくなるでしょう。欧米はパンデミックでベーシックインカムの社会実験をやったところ、ものすごいインフレになった。日本もこれからインフレがさらに進み、2050年ごろまで続くと見ています。

 日本人はまだインフレという概念に戸惑っていて、政官財のトップですらインフレを一過性のものと考えていて、頭が切り替えられていません。だから、多くの日本人はデフレマインドのままで投資どころかお金を遣おうとしないし、まだ貯蓄しようとしている。

 しかし、私は悲観していません。なぜなら、日本人は変わるまで時間がかかりますが、変わった時は右に倣えで一瞬で切り替わるからです。マインドがデフレからインフレに変わった途端、日本でも消費も投資も活発化していくことでしょう。

 今後、仕事がなくなっていくことへの漠然とした不安があると思います。再就職や転職に困らない業種とそうでない業種があるので、ある意味すでに二極化している状態です。現在もプログラマーや介護医療関係は足りないわけですから、スキルワーカーはどこでも働ける状態にある訳です。

 一方で事務や総務、あまりスキルがいらない営業などはすでに人があり余っている状態です。そもそも論として、これから仕事が減っていく訳だから、スキルを持っていない人にとって難しい時代になるかもしれません。

 どれくらいのトランジション(移行)期間が必要かはわからないけれど、コロナの3年間だけで私たちの生活様式は大きく変わりました。現金主義だった国でいつの間にかキャッシュレスが普及していって、気づいたらコンビニでもお金のやり取りはマシーンが主流になっていて、無人レジが登場してレジ打ちも必要なくなりつつあります。

 機械のメンテナンスに人が必要なので、完全に人が不要になることはないものの、確実に職の概念が変わっていくことでしょう。あと単純作業はほんとうに不要になります。そういう職にしか就いていない人は危険ですから、会社に寄りかからずに済むような何かユニバーサルに評価される技能を身につけるなりしたほうがいいでしょう。

 今ある仕事がなくなっていく肌感覚を、多くの人が持っていると思います。そうなったときのために、リスキリングをすればいいのです。あとは本人の努力次第です。こうした話は今に始まったことではなく昔からあるものです。




なぜ日経平均が30万円になるのか

日経平均は“平成バブル”どころでないほど沸騰か(C)日刊ゲンダイ

 さて、これから日本が復活し、2050年ごろまで黄金期を迎えるとお話ししてきましたが、私の“日経平均30万円説”についても触れたいと思います。

 失われた30年のデフレ時代、世界に類を見ない貯蓄率の高さから日本人は投資に向いていないと言われてきましたが、それは間違っています。デフレとはお金の価値が上がるということだから、この時の現金保有という日本人の経済行動は合理的で正しかったと言えます。

 過去を振り返ると、日本人は投機している時代もあれば、投資熱がすごい時代もありました。江戸時代、世界に先駆けて米相場という先物市場を大坂(現在の大阪)で作ったのは日本人ですし、明治時代に値動きを示すローソク足のチャートを考案したのも日本人です。

※この部分は、コズモの個人的な補足事項ですが、日本が敗戦後、アメリカは米相場に関する資料を、全て勝手に全てかっさらって、シカゴ大学に放置しました。その後、シカゴ大学で、その資料が教授たちにより、発見されて論文として公になり、結果ノーベル賞を受賞する事になったのは、ご承知でしょう。以上、コズモの個人的な補足でした。※

 これからインフレでお金の価値が目減りしていくことに気づけば、日本人は経済合理性に沿った動きをしていくはずです。つまり資産運用をするか、消費をするか。その端緒はすでに現れ始めています。

 東証が利益を溜め込み再投資しないPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善策の開示と実行を要求したり、投資枠が拡大した新NISAが24年からスタートしたりしていますが、これらはあくまできっかけに過ぎず“機械油”みたいなものです。日本人が投資に向かう本当の引き金になるのは、やはりインフレだと思います。

 私は、毎年3~5%のマイルドなインフレが発生する、という強気な相場設定をコロナのだいぶ前から言ってきました。

 2100兆円ほどと言われる日本人の個人資産のうち、今株式が占める割合は10%程度ですが、これがもし20%になれば、210兆円が株式市場に流れ込むことになります。200兆円のお金が入ってくるだけで、日経平均は簡単に10万円まで行くことでしょう。

 1990年のバブルの時は最大で30%まで行きました。私はこれから10年、15年くらいかけてそれくらいの割合まで行くと見ています。そうなると、500兆円から600兆円ほどの日本人のお金が日本の株式市場に流れ込んでくるでしょう。「日経平均30万円」というのも今後のインフレを計算すれば、荒唐無稽な話ではないのです。

 では“日経平均30万時代”に、日本人の給料、所得はどうなっているでしょうか。今、日本人の賃金が上がらないのは、日本の多くの経営者はインフレがずっと続くと思っていないからです。

 今年はインフレの影響で値上げして商品の価格が5%上がった。当然、売り上げも5%上がります。しかし、来年もそうなると思っていないから、経営者は賃上げに躊躇している訳です。日本の企業では、賃上げなど一度決めた従業員への待遇は元に戻せないと思っているから、大手企業もボーナスは出したがるけど、ベースアップはしたがらない。

 これもマインドの問題で、これから毎年5%くらい商品を値上げしなくてはならないとなると、従業員のベースも5%くらい上げないといけなくなります。しかし、まだその段階には来ていません。だから、賃上げは政府の働きかけとかはあまり関係ないのです。これも時間の問題だと思っています。

 あと20年くらいしたら、5万円紙幣が出てくるかもしれません。日経平均30万円時代の新卒初任給は、100万円くらいになっていてもおかしくありません。多くの仕事がなくなっていく時代に、新卒という概念が存在しているかは不明ですが。将来への心構えをしておくべきだと私は思っています。

エミン・ユルマズ(エコノミスト、グローバルストラテジスト)トルコ・イスタンブール出身。16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンに。1997年に日本に留学。1年後に日本語能力試験一級を受けて、東京大学理科一類に合格。その後、同大学院で生命工学修士を取得。2006年、野村證券に入社。投資銀行部門、機関投資家営業部門に在籍後、16年に複眼経済塾の取締役・塾頭に就任。『コロナ後の世界経済』『エブリシング・バブルの崩壊』(ともに集英社)など著書多数。

中国は日本と同様の問題に直面、違いは「バランスシート不況」の知識 2023年7月11日 11:26 JSTブルームバーグ

2024-01-06 11:52:35 | 日記
※ここからは、私の個人的なコメントですが、少し前の記事を敢えて、出したいと思います。※

中国は日本と同様の問題に直面、違いは「バランスシート不況」の知識
Tracy Alloway、Joe Weisenthal
2023年7月11日 11:26 JSTブルームバーグ

リチャード・クー氏のバランスシート不況理論、債務問題で脚光
中国は長期の成長低迷を回避するため新たな財政刺激策を-クー氏


野村総合研究所のチーフエコノミスト、リチャード・クー氏はかつて、不動産市場崩壊と当局のまずい対応が日本経済に及ぼした長期のダメージを説明するために「バランスシート不況」という概念を生み出した。民間部門の過剰債務が長期的に成長の足かせとなるという理論だ。

  同氏は今日、中国が直面する問題の解決法を一部から求められている。高負債を抱え減速する中国経済の成長軌道を巡る懸念が高まるにつれ、同氏の理論があらためて注目されている。

  クー氏はポッドキャスト「オッド・ロッツ」のインタビューに答えて語った。

関連記事:

中国は「バランスシート不況」、政府の介入必要-野村総研クー氏

  クー氏の見方では、現在の中国はバブル崩壊後の日本と同様の問題に直面している。中国企業は債務残高を圧縮するために借り入れを手控え、それが経済の成長軌道を脅かしている。

  クー氏は債務圧縮に関し、「個別企業のレベルでは正しい選択だ」が、皆が同時にそれをすると合成の誤謬(ごびゅう)の問題が生じるとし、「国家経済においては誰かが節約して借金を返すなら、経済を回すために他の誰かがその金を使わなければならない」と説明した。

  2008年に出版された著書「The Holy Grail of Macroeconomics: Lessons from Japan’s Great Recession」で国際的な評価を得たクー氏はその中で、世界金融危機後に先進国・地域が尚早な緊縮財政政策のために長期の低成長に陥ると予言した。負債を抱えた家計や企業は、どれほど金利が低くなっても貯蓄を優先すると指摘。民間部門のレバレッジ縮小を相殺するために政府が支出を増やす必要があると論じた。

  中国について同氏は、長期の成長低迷を回避するために一連の新たな財政刺激策を打ち出すことを推奨。中国経済の中で非常に大きな割合を占める不動産セクターを標的とすべきだと論じた。住宅価格急落と輸出減少、若年層の高失業率、デフォルト(債務不履行)増加への懸念で中国経済は失速しつつある。

Bubble Years | China is as levered as Japan was prior to its 'lost decade'



  クー氏は「中国政府が参入して、約束された全ての物件が実際に完成されるように建設会社を助けることを私は推奨する。それが財政支出の最も効果的な使い方だと思う」と語った。住宅の代金や前金を支払った人は非常に不安に感じているためだと説明した。

  クー氏の考えは中国で真剣に取り上げられているもようだ。国家金融・発展実験室(NIFD)の劉磊上級研究員は先週、政府が景気刺激策を講じ、潜在的なバランスシート不況から脱するべきだと論じた。また、著名経済誌の「財新」は最近、クー氏のバランスシート不況理論をカバーストーリーに取り上げた。

  「中国で経済学に関する博士論文の半分程度がバランスシート不況に関する私の著作に基づいているとある教授に言われた」と語るクー氏は、それが本当かどうかは分からないが、「中国政府がバランスシート不況という『疾病』の存在を知り、彼らはその対処法を知っているはずだと示唆する話だ」と述べた。

  この認識が、1990年代の日本と現在の中国の決定的な違いだとクー氏は指摘。これは理論的には、日本銀行が景気刺激のために金利を引き下げてもほとんど効果がなく、失われた数十年に陥った日本の政策の誤りの一部を中国が回避するのに役立つはずだ。今日の中国は投資に慎重な民間部門に代わり財政支出を積み上げるべきだと同氏は主張する。

  「中国と日本の状況にも大きな違いがある。それは中国当局が既にバランスシート不況というものを十分に認識している点だ。30年余り前にこれが日本で起こっていた時には私を含め誰もバランスシート不況について何も知らなかった。経済学の教科書には載っていなかったからだ」とクー氏は語った。

  しかし問題を複雑にしているのは中国の債務の巨大な規模と経済全体の将来的な発展の在り方だ。クー氏によれば、建設は中国の国内総生産(GDP)の約26%を占める。日本のバブル期の場合、この割合は20%前後だった。また、中国は製造業と不動産への依存を減らすことを望んでおり、不動産開発会社やその他の大企業への大規模支援はこの政策を後戻りさせることにならないか疑問が生じる。

  また、トランプ前米大統領の下で始まった中国と米国の貿易摩擦の大半はバイデン大統領の下でもおおむね続いており、中国経済に根本的な危機をもたらしていると考えられる兆候がある。

  クー氏は「中国企業は2016年から借り入れを減らし始めていた。従ってバランスシート不況はバブルがはじけるはるかに前に始まっていたことになる。その原因を知りたい」と述べ、「企業が借り入れを行わない理由が米国との新たな貿易問題だったならば、中国経済にとってはるかに深刻な問題だ」と話した。

原題:Richard Koo Is Getting Famous in China as Debt Problems Grow(抜粋)

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米国株、ダウ続伸し25ドル高 軟着陸期待が支えも方向感欠く ナスダックは反発 米国・欧州株概況 2024年1月6日 6:37 (2024年1月6日 6:50更新)

2024-01-06 06:54:51 | 日記
米国株、ダウ続伸し25ドル高 軟着陸期待が支えも方向感欠く ナスダックは反発
米国・欧州株概況
2024年1月6日 6:37 (2024年1月6日 6:50更新)

【NQNニューヨーク=戸部実華】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比25ドル77セント(0.06%)高の3万7466ドル11セントで終えた。朝発表の2023年12月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想以上に増えた。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が強く、相場を支えた。もっとも、米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測はやや後退した。ダウ平均は下げる場面もあり、方向感を欠く展開だった。

雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比21万6000人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(17万人増)を上回った。失業率は3.7%と前月から横ばいとなり、市場予想(3.8%)を下回った。堅調な労働市場を背景に米景気は大幅な落ち込みが避けられるとの見方を誘い、景気敏感株や消費関連株が買われやすかった。

年初からハイテク株を中心に売りが広がっていたため、市場では「ショートカバー(売り方の買い戻し)も入りやすい」(ベンセニョア・インベストメント・ストラテジーズのリック・ベンセニョア氏)との声が聞かれた。

雇用統計を受け、米債券市場で長期金利は前日比0.10%高い(債券価格は安い)4.10%を付ける場面があったが、その後は上げ幅を縮小した。米サプライマネジメント協会(ISM)が午前に発表した23年12月の非製造業(サービス業)景況感指数は50.6と好不況の境目とされる50は上回ったものの、市場予想(52.5)には届かなかった。米国債に買いが入り、長期金利が低下する局面でダウ平均の上げ幅は一時180ドルを超えた。

ただ、ダウ平均は次第に伸び悩んだ。「労働市場は底堅いとの見方は1~3月期中の利下げ観測を後退させる」(JPモルガン)との受け止めも広がった。ダウ平均は最高値圏で推移するなか、短期的な過熱感も意識されやすかった。下げ幅が100ドルを超える場面もあった。

ダウ平均は週間では223ドル安と、10週ぶりに下落した。

個別銘柄では、前日に大幅安となったドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが買われた。航空機のボーイングやホームセンターのホーム・デポも高い。一方、医療保険のユナイテッドヘルス・グループや外食のマクドナルドなどが下げた。IT(情報技術)のIBMや機械のハネウェル・インターナショナルも売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反発し、前日比13.773ポイント(0.09%)高の1万4524.073で終えた。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株が上昇した。交流サイトのメタプラットフォームズやネット通販のアマゾン・ドット・コムも買われた。

ナスダック指数は週間で3.24%安と、10週ぶりの下落だった。