2024年は何に賭けるか、GICとピクテ、テマセクの注目は
Bloomberg News
2024年1月23日 12:05 JSTブルームバーグ
GICとテマセク、ピクテのCIOらが見通し示す
金利と中国の見通しで戦略に違い、ピクテは欧州と日本の魅力に言及
今年は投資家にとってかじ取りが難しい年に既になりつつある。中央銀行の動向を巡る議論が激しくなっており、景気減速が見込まれ、世界各地で重要な選挙が行われる。
こうした中でブルームバーグ・ニュースは、2024年はどこに資金を投じる計画かを大手投資会社の幹部に尋ねた。これらの企業の運用資産は総額2兆ドル(約296兆円)近くに上る。
シンガポールやスイスなどに拠点を置く最高投資責任者(CIO)らは長期的な成長を求めるとともに、景気減速による資産価格押し下げで買い手市場が形成されると見込んでおり、期間長めの米国債やプライベートクレジット案件などに注目する。
GIC:推定運用資産7700億ドル
シンガポールの政府系ファンド、GICのジェフリー・ジェンスバキCIOは、金利の「より長期にわたる上昇」による企業財務の圧迫や地政学的問題、人工知能(AI)が企業に迫る高コストの調整といったリスクが高まる1年になると予想。これは資本を必要とする企業向けに信頼できる貸し手となる機会が増えることを意味するという。
ジェンスバキ氏は「金利上昇と与信の利用可能性の逼迫(ひっぱく)により、プライベートクレジットの新展開が注目される」と述べ、実物資産によるインフレ・ヘッジが引き続き重要だと付け加えた。また、「不動産では、物流や学生寮、サービス業のファンダメンタルズは引き続き底堅い」との見方も示した。
さらに、気候変動リスクが高まり続ける中、GICはエネルギー転換に役立つ投資に注目している。
ピクテ:2500億スイスフラン(約43兆円)
ピクテ・ウェルス・マネジメントのセサル・ペレス・ルイスCIO兼投資責任者にとって、エネルギー自給と気候変動対策の推進は取引の重要テーマだ。ただ、それはソーラーパネルや電気自動車(EV)のような自明の分野に結びつくものではないという。
「私が買いたいのは受益者だ。つまりデジタル化を進める企業やインフラ投資を行う企業だ」と述べ、電力設備メーカーのシュナイダーエレクトリックを例に挙げた。
また、中国の不動産や消費、テクノロジー企業がいずれも不安定な動きを続けている中、ルイス氏は中国の見通しに引き続き慎重姿勢で、10年以上前のスペイン住宅危機と多くの類似点があり、現在もその影響が続いていると指摘。「世界の他の地域を好む」と述べ、欧州と日本が投資対象として魅力的な市場であり、特に日本の国内市場向けのデジタルサービス企業や娯楽や消費、ロボット関連企業に妙味があると付け加えた。
テマセク:3820億シンガポールドル(約42兆円)
シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは、米利下げ観測は米国市場に対して「建設的」だと受け止めており、金融状況の緩和はリセッション(景気後退)リスクを低下させるとロヒト・シパヒマラニCIOは述べた。
シパヒマラニ氏は「特定のセグメントには魅力的な投資機会があるが、バリュエーションの観点からは指数レベルで大幅上昇が見られる可能性は低い」と予想。バリュエーションが「やや伸長している」もののインドを選好しており、東京証券取引所の改革などもあって日本に魅力を感じていると述べた。
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原題:Here’s What GIC, Pictet, Temasek Are Betting On in 2024(抜粋)
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