つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

2012-09-21 00:05:44 | ジャズ

  秋の七草を代表する草の花。古い株から新芽が萌え出す「生え芽(はえき)」の意味から名づけられたという。

  九、十月ごろ、紅紫色や白の小さな蝶形花をたくさんつける。『万葉集』『古今集』などにも数多く詠まれてきた。
  他の秋の景物、月や雁、鹿や露などとともに用いられた。

  とくに露とのかかわりは深く、『源氏物語』の中の「宮城野の露ふきむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ」、
  芭蕉の「白露もこぼさぬ萩のうねりかな」・・・は代表的な名句。

  中里恒子の短編『残月』は、不意に訪れた客が会話の最中に不意に死ぬ話である。
  「あなたのところの萩は見事だね、萩見をしようじゃないの」「ええ、いちめん白萩が・・・・・そして紅の萩も枝がしなふほど・・・」
  「萩がしだれて風が吹いて、秋の冷たい風が吹いて・・・・・・風趣があるね」

  そんな会話をかわすうちに、年配の男性と思える「そのひと」はすうっと呼吸がとまって大往生をとげる。

  萩の花につつまれながら、萩の花となって地に散り、土に還る、そういう形の死への渇望を呼びおこすようなものが
  萩のたたずまいにはある・・・


  今日聴いたジャズ・・・

  五十嵐一生・・・「SUMMER’S ALMOST GONE」



  日本を代表するトランペット奏者、五十嵐一生の1997年発表のアルバム。毎年、今頃になると必ず聴きたくなる一枚。
  彼のアルバムの中でも、最も好き。
  
  ”パーティーのような夏が終わって、音楽に打ち込める秋が来る前のはざまの一瞬、空白になる時がある。ぼくは真冬とか真夏とか、
   過酷な季節が好きだから、その過酷な時期が終わった時に、どう対処していいのか、分からなくなるんだ”

  彼は本作を録り終えた、今の気持ちに通じるものがあると、言っていたらしい。
  また、「メロディに集中し、吹いている時だけは無になれた」・・とも。。

1・THE SUMMER KNOWS・・2・SUMMER’S ALMOST GONE・・3・NO WOMAN NO CRY・・4・THE MOST BEAUTIFUL GIRL IN THE
  WORLD・・5・ROSANNA・・6・THE SIDE WINDER・・7・JEALOUS GUY・・8・MASTER BLASTER・・9・BOULEVARD OF BROKEN
  DREAMS・・10・SOLITUDE・・・


  五十嵐一生(tp)
  納屋嘉彦(p)
  俵山昌之(b)
  竹内直(ts fl bcl)
  井川晃(ds)

  金子飛鳥ストリング、チーム 他

  行きつけのライブハウスに月一度はこのメンバーで出演されていた。友人と必ず聴きに行った。終電が気になりながらも最後まで
  聴かせて頂いた。そしてラストには私達の好きな”BODY AND SOUL”を演奏してくださった。
  ある時をさかいに、来られなくなったのが寂しくてならない。このメンバーでまた聴きたい、といつも、そう思う。


  五十嵐一生:

  1965年北海道生まれ。4歳でピアノを始め、10歳ごろからジャズとトランペット、オーディオに目覚めると同時にマイルス・
  デイヴィスのレコード「MILES IN TOKYO」と出会う。1985年に国立音楽大学に入学。1988年の山野ビッグバンド・コンテスト
  では、「優秀ソリスト賞」を獲得。中村誠一グループで新宿ピットインにデビュー。その後、日野元彦に認められ”日野元彦196×”
  日野元彦グループに参加。


  1993年「DEEP BLUE RAIN」でソロ・アルバム・デビューを果たす。以降は毎年、コンスタントに「CAMEL」(1994年)
  「GOLDEN LIPS」(1995年、スイング・ジャーナル誌選定ゴールドディスク受賞)「TOKYO MOON」(1996年)
  立川直樹プロデュース「SUMMER’S ALMOST GONE」(1997年)を発表。共演したアーティスト、多数・・・