秋の七草を代表する草の花。古い株から新芽が萌え出す「生え芽(はえき)」の意味から名づけられたという。
九、十月ごろ、紅紫色や白の小さな蝶形花をたくさんつける。『万葉集』『古今集』などにも数多く詠まれてきた。
他の秋の景物、月や雁、鹿や露などとともに用いられた。
とくに露とのかかわりは深く、『源氏物語』の中の「宮城野の露ふきむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ」、
芭蕉の「白露もこぼさぬ萩のうねりかな」・・・は代表的な名句。
中里恒子の短編『残月』は、不意に訪れた客が会話の最中に不意に死ぬ話である。
「あなたのところの萩は見事だね、萩見をしようじゃないの」「ええ、いちめん白萩が・・・・・そして紅の萩も枝がしなふほど・・・」
「萩がしだれて風が吹いて、秋の冷たい風が吹いて・・・・・・風趣があるね」
そんな会話をかわすうちに、年配の男性と思える「そのひと」はすうっと呼吸がとまって大往生をとげる。
萩の花につつまれながら、萩の花となって地に散り、土に還る、そういう形の死への渇望を呼びおこすようなものが
萩のたたずまいにはある・・・
今日聴いたジャズ・・・
五十嵐一生・・・「SUMMER’S ALMOST GONE」
日本を代表するトランペット奏者、五十嵐一生の1997年発表のアルバム。毎年、今頃になると必ず聴きたくなる一枚。
彼のアルバムの中でも、最も好き。
”パーティーのような夏が終わって、音楽に打ち込める秋が来る前のはざまの一瞬、空白になる時がある。ぼくは真冬とか真夏とか、
過酷な季節が好きだから、その過酷な時期が終わった時に、どう対処していいのか、分からなくなるんだ”
彼は本作を録り終えた、今の気持ちに通じるものがあると、言っていたらしい。
また、「メロディに集中し、吹いている時だけは無になれた」・・とも。。
1・THE SUMMER KNOWS・・2・SUMMER’S ALMOST GONE・・3・NO WOMAN NO CRY・・4・THE MOST BEAUTIFUL GIRL IN THE
WORLD・・5・ROSANNA・・6・THE SIDE WINDER・・7・JEALOUS GUY・・8・MASTER BLASTER・・9・BOULEVARD OF BROKEN
DREAMS・・10・SOLITUDE・・・
五十嵐一生(tp)
納屋嘉彦(p)
俵山昌之(b)
竹内直(ts fl bcl)
井川晃(ds)
金子飛鳥ストリング、チーム 他
行きつけのライブハウスに月一度はこのメンバーで出演されていた。友人と必ず聴きに行った。終電が気になりながらも最後まで
聴かせて頂いた。そしてラストには私達の好きな”BODY AND SOUL”を演奏してくださった。
ある時をさかいに、来られなくなったのが寂しくてならない。このメンバーでまた聴きたい、といつも、そう思う。
五十嵐一生:
1965年北海道生まれ。4歳でピアノを始め、10歳ごろからジャズとトランペット、オーディオに目覚めると同時にマイルス・
デイヴィスのレコード「MILES IN TOKYO」と出会う。1985年に国立音楽大学に入学。1988年の山野ビッグバンド・コンテスト
では、「優秀ソリスト賞」を獲得。中村誠一グループで新宿ピットインにデビュー。その後、日野元彦に認められ”日野元彦196×”
日野元彦グループに参加。
1993年「DEEP BLUE RAIN」でソロ・アルバム・デビューを果たす。以降は毎年、コンスタントに「CAMEL」(1994年)
「GOLDEN LIPS」(1995年、スイング・ジャーナル誌選定ゴールドディスク受賞)「TOKYO MOON」(1996年)
立川直樹プロデュース「SUMMER’S ALMOST GONE」(1997年)を発表。共演したアーティスト、多数・・・