安らぎと戒め

仏像と花と山と写真を楽しみます

庚申待ちの里

2015年11月02日 11時29分20秒 | 日記
 昨年暮れは、仏像撮影に行き詰まっていた 
 12月26日に田舎に帰省して墓参した  翌日は、番匠川の橋を渡りながら、ふと、幼いころ
に祖父と母親と三人で川の浅瀬を渡って耕作に行った畑に行ってみたいと考え、橋を渡り終えると
直ぐに右折した

 祖父たちが耕作している間、私は畑や裏山などで遊び、昼になると飯櫃(おひつ)に入れて持参
した麦飯と魚の干物、梅干し、漬物などで昼食を食べた  その畑は、遠隔地にあることなどのた
め兄は川向こうの親戚に無償譲渡し、その後親戚は工場用途として畑を売却したそうで、昔日の面
影はなかった

 国道10号に向かう途中のトンネルの手前にある交差点横の畑に仏像を安置しているらしい小堂
が見えた  交差点の少し先で車を停めて小堂に行くと、小さな格子戸があるので良く見えないが
幹計が2メートルあるだろうと思われる巨大な古木があり、その古木の中央と右側に小さな仏像が
はめ込められていた  左側は空になっているので、盗難にあったのだろうか

 格子戸に鍵はなかったが、格子戸越しに撮影していると、80歳は越えていると思われる高齢の
男性がやってきた   何をしているのかと問われたので、川向こうの出身で、各地で仏像を撮影
していること、この仏像も撮影したいと答えると「上に上がって戸を開けて撮影しなさい」と言っ
て頂いた   有り難い

 小さな堂内一杯の巨木に仏像を安置していることに驚きながら撮影していると、私が仏像撮影を
始めた切っ掛けを与えてくれた二宮神社は、先ほど渡った橋の反対側の凡そ3百メートル先にある
ので、この小堂は二宮神社から凡そ1キロ乃至2キロ以内にあるのだろうと思った

 仏像撮影に関する意欲を取り戻した私は、何故か県北の山間部に入った   国道から市道に入
って間もなく、道路横の広い路側帯に大きな庚申塔が三塔並んでいるのが見えた   車を停めて
撮影し、そのまま先に進むと次々に道路沿いに庚申塔や庚申塔と思われる仏像などがあった  
いずれ、準備を整えて撮影に行くことにした

 今月7日(土曜日)から22日(日曜日)まで「みやざきアートセンター」で展示される宮崎市
美術展に応募・入選した作品「庚申待ちの里」は、今年9月に撮影した作品   その時は、庚申
塔の近くの家に行って庚申塔の謂れ等を訪ねたところ、これらの庚申塔は道路新設、改良などの時
に移転されたもので、2度~3度の移転をしているが、今回は広い道路の広い路側帯に安置された
ので、庚申塔にとっては永住地になるだろうとのことだった

 庚申塔は、中国の伝統宗教である道教が平安時代に日本に伝わり、江戸時代に盛行した

 道教では、人体には三尸(さんし・3匹の虫)が宿っており、この虫は60日ごとに来る庚申
(こうしん・かのえさる)の日の夜に、寝入った宿主の体から抜け出して天帝(天の神様・仏教で
は帝釈天)にその人の犯した罪を告げ、その結果によって天帝は宿主の寿命を縮めるので宿主は庚
申の夜は寝ないで人々が集まり、話し合ったり勤行をしたりして朝を迎える習俗で、この行事を
「庚申待ち」と呼び、三尸が天帝に報告することを阻止することで治病、長寿を得るという日本独
自の解釈で信仰になった

 野仏のなかでは、庚申塔が一番多いと言われているそうだが、その形は様々であり、仏教系の他
に神道系の庚申塔もある

 この地区にも仏教系、神道系など多くの庚申塔があった   いずれにしても、その数の多さか
らこの地区住民が信仰の厚い人々だったのであろうと考えたので、「庚申待ちの里」と題した

 ”庚申を あくる日聞いて 嫁こまり”

    2015年11月2日
                                       風

※ 写真はクリックすると拡大する  もう一度クリックすると更に拡大する写真もある                    


宮崎市美術展応募作品 「庚申待ちの里」

仏教系の庚申塔

仏教系の庚申塔

神道系の庚申塔

神道系の庚申塔

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