「あの人、きれい。きれいな人ね」というときと、「美しい」というときの感じって微妙に違うと思います。
「きれいな人」という表現は「顔がきれい」ととか「華やかさ」を感じますが、「美しい」には、もっと奥深さを感じる、かな。
きれい?美しい? 両方?
きものを着るようになって「きれい」とか「美しい」という言葉を遣うことが、俄然増えました。
でも、どう違うんだろう、なんて考えているときに、見つけたこんな本。
表紙の「モナリザ」も森村さんなのよ。
「「美しい」ってなんだろう?」(理論社・森村泰昌著)
森村泰昌さんは、自分で「モナリザ」や「ピカソ」になって写真を撮るアーティストです。
この人を初めて見たときには、ホント、驚いた。
なにしろ、自分が感動、面白いと思ったものに「成りきって」、それをアートとして発表しているわけだから。
スゴイな。こういう奇想天外な人がいるんだと。
でも、ちょっと気持ち悪いと思ったのも正直な感想、この際だから言うけど。
右は森村さん、左はゴッホの自画像。
そんな人が、学生向けに作った本。
美術や絵画について、とても易しい、優しい本。
「展覧会に行くけど、どうやってみたらいいのかわかりません」
「気持ち悪いと思うけど、そう感じるのは間違っていますか」
「絵を見て笑ったら怒られる?」
といった素朴な、でもおそらく多くの人が感じている疑問について丁寧に応えてくれます。
そう、答えは「笑うのも、泣くのも自由。大切なのは、自分がどう感じたか。みんながそれぞれの形で自由になれるといいね」
女優さんにだって成りきる!これはご存じヴィヴィアン・リー。
背景には日本庭園!
ゴッホが田舎からパリに出てきて、パリの明るさを見て驚き、でもその明るさに違和感を抱き、ではこのパリで認められるために自分はどんな絵を描いたらいいのだろう、と考えるところなんか、ほんと、なるほどと思います。
このところ、ジュニア向けの本にハマっています。
「16歳シリーズ」や「14歳の哲学」など、難しい問題を易しく、教えてくれるので、お勧めです。
「こわい美しさ」や「不幸な美しさ」、美しさを感じるのは自分の感性。
人とは違うけど、あるものを美しいと感じ、それを追っていくところに自分があるだなあってって思います。
何を美しいと思うか、それが自分を育て、作っていくんだなって。
森村さんも言います。
「自分が美しいと感じるものが多いほど、人は豊かになる」
そうだよね。この言葉のキモは「自分」
「きれい」にはほと遠くなっていくばかりだけど、これからは「独自の美しさ」を目指しましょうか。
誰も理解できないよって、それもまたいいではないの
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