だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

Yellowknife (2)

2008-12-30 23:11:00 | Canada

オーロラ鑑賞は夜のイベントなので,昼間は基本的にやることがないうえに日照時間が短いのですけども,ここはどどーんとオプショナルツアーに参加してきました.2日目は市内観光です.夜が遅いイベントが続く関係上,昼のツアーの始まりも午後からです.目的地はおもに4つです.議事堂,博物館,氷の道,オールドタウンです.

第1の目的地は,準州の議事堂.準州に首相(premier)っているんだっけか,と思いつつ見物しました.年の瀬も押し迫って12月の30日だというのに管理人のおじさんがいました(クリスマス休暇中だろうに,というほうが正しいですか).ノースウェスト準州自体が新しい準州であることもあって,この議事堂も93年竣工だそうです.議員数は20弱,10を超える公用語が認められている準州では,これらの公用語を同時通訳できるシステムが作られていて,議席の周りにはブースがいくつもありました.連邦議会でも英仏語が使われているわけですが,いやしかし.文化多元主義(でしたっけ)もたいへんです.あと,議長さんが使うとか言う権威の象徴の杖もりっぱなものでした.ふむ.

第2の目的地はすぐちかくにある博物館.イギリスの皇太子(ということは,カナダの皇太子でもあるわけ?ですが)がいらした際に正式開館ということで,Prince of Wales Northern Heritage Centreというのが正式名称です.ノースウェスト準州出身の芸術家の作品や,先住民の暮らしぶり,極北の動物たちの剥製などが展示してあってかなりおもしろかったです.毛皮さわり比べコーナーとか.鯨とか野牛とかどうやって食べてたかとか,どんなもの着ていたかとか,個人的には興味しんしんで見ていたのですが,ま,時間も限られているということで.ちょと残念.あ,あと,現代芸術が分かりにくいのは場所を問わないんですかね.

第3の目的地は氷の道です.これは湖が凍っている間はその上を車で通行してもよいというもので,湖の対岸にあるダイヤモンド鉱山や先住民にとっては冬季の非常に大切な道なんだそうです.制限速度は40km.空が碧くて,湖が白くて,寒くて,素敵な風景でした.

第4の目的地はオールドタウンです.現在の市街地からみて北東の方向にある旧市街です.イエローナイフは凍土に覆われている町なので,その昔は家を建てるのも一苦労だったようです.土台を打って家を建てても,凍土が緩んでまた凍ってというのを繰り返しているうちにだんだん傾いてくるものもあったようです.現在は地中奥深くまで杭を打つことによって高層のホテルも建てられていますけれども.しかし昔の木造の家というのは隙間風が寒そうでしたが,ああいうところで生活していたんでしょうか.ゴールドラッシュで1つ荒稼ぎというのも大変です.あと,そのような状況で陸地にある建物に高い税金がかかったことから,湖に浮かべる家というのも登場しました(イエローナイフは湖畔の町です).いまでは金持ちの別荘らしいですが,かつては節税対策の一環だったそうです.えらく派手な色使いが印象的でした.もちろん冬季は湖が凍結してしまうので,家は動いていませんでした.ついでにちなみに,極寒の地で木も細いために,建築資材はすべて南から移送しなくてはならないそうで,おかげで住宅価格はカナダにしてはえらく高いそうです.さらについでに,生鮮食料品もほとんどが南からの輸送なので,生活するのには全般的にお金がかかるそうです.金鉱やダイヤモンド鉱山でけっこうな給料を払っているために,それを目的として若い人たちがお金を稼ぎに来ているというパターンが多いらしく,イエローナイフ市の平均年齢はかなり低い(30代じゃなかったかと)そうです.

で最後にGallery of the Midnight Sunというギャラリーと土産物屋さんのあいのこみたいなところに寄ってツアーは終了です.このギャラリーで,いろいろな毛皮を売っていました.動物からはぎとって乾かしただけ(?)のものなので,使い道はよく分からないですし,そのままではマフラーにはしにくいシロモノなのですが,肌触りが柔らかなことこの上ないのでかなり迷いまし た.

晩ごはんは,Yellowknife Innと同じ建物にあるレストランで軽く食べたあと,Sushi Northでおすしを買ってみました.カナダに来て以来,あまり日本食には近づかないようにしていたのですが,北極いわな(Arctic Char)が気になったもので.サーモンに近い感じで(あたりまえか),なかなか美味でした.

さて,昨日に続いて午後8時過ぎにお迎えのスクールバスに乗り込み,昨日と同じところに出かけました.この日はバスで移動中にすでにオーロラが見えかけているという素敵な展開でした.寒いのは相変わらずで,ちょいちょいティーピーに籠もっておりました.ティーピーのなかには薪ストーブがあって,スタッフのおじさんがときどき薪を足しに来るので,ソファの毛皮について聞いてみました.怪しい英語で会話したところによると,この毛皮はバッファローのもので,ここの人が撃ったものなんだそうです.でもおじさん本人は狩りはしないんだそうで.ついでに,薪の木の種類について聞いてみましたが,こちらはよく分かりませんでした.薪になりそうな木の種類の単語なんてpineくらいしかしらんのですが,この薪も南から運んできているようです.えらいこっちゃ.薪ストーブでお湯をたいているとはいえ,基本的に非常に乾燥しているので,この薪がびっくりするくらいよく燃えます.むかし祖父のうちで薪でお湯を沸かしていたときにはなかなか火がつかなくてうなっていたものですが,ここでは腕の太さほどの薪があっというまに着火してくれます.

30日のオーロラはなんだかすごかったです.ティーピーのなかでココアを飲んでいたら「きゃー」という声が聞こえたので出てみたら,カーテン状にふらふらしているオーロラが見えました.昨晩のオーロラは緑色だったのですが,今回はちらほらと赤や黄色が出たり,カーテンがゆれるように動いたりしていました.左の写真は,手持ちのデジカメ(IXY digital 20iS)をマニュアルモードにしていろいろいじって撮った写真です.なんにも準備していかなかったわりにはがんばったのではないかと.

容易に想像されるとおりに,オーロラビレッジさんでは写真撮影サービスも提供しています.まあこれがけっこうなお値段で,CDに焼くと別料金ってなものなのですが,これはさすがに撮ったほうがよかろうとおもって撮っちゃいました.この写真撮影,カメラの設定はよく分からないのでおいておくとして,シャッター時間が30秒ほどです.で,この間にいちど,撮影される人たちをライトで照らしますというと,オーロラと人物がきれいに写ると,こういうことになっています.つまり露光はオーロラについては30秒ですが,照らした人物については一瞬ということになるわけです.で,この撮影風景を見ていてふとおもいだしたのが,あのデイリーポータルZでやっていたオーヤマメソッドの応用編「アナログ合成写真」です.暗闇でシャッターを開いているあいだに,違う場所で2回強い光を当てれば1枚の写真に2回写ることができるという話なんです(詳細は記事参照)が,オーロラの撮影風景も原理は同じ.ということは!! シャッターが開いているあいだに違う場所で2回照らしてもらえば,オーロラを背景に僕が2人いるという幻想的な写真が撮れてしまうではないか!! と思って密かに興奮し,ツ魔の「じゃあ頼めば?」という冷静な応援も得ていたのですが(呆れていただけらしい),オーロラがきれいなときは写真撮影隊のみなさんも御多忙で待ち行列もできていて,そのようななかに趣旨を説明して撮影していただくにはさすがに忍びなく,泣く泣く断念しました.残念(←まだ悔やんでいる).

ということで,オーロラビレッジさんの写真を拝借.
1230_1 1230_2 1230_3

今回は5段階評価でレベル5のオーロラでした.スタッフの皆さんも大興奮ですね.

書いている途中に,同じツアー(08年3月)に参加したとおぼしき他人様の旅行記発見.写真がきれいですね.カリブーとか食べればよかったかな.