なんだかよくわからないうちに衆議院は解散されて総選挙に入ってしまいましたが,財政逼迫のおりに増税を延期することになったり,延期された増税でも消費税で軽減税率が決まったりと,これでいいんかいな的な展開が続いていて,悩ましいところです.「代表なくして課税なし」だそうですが,あれって植民地への課税の話であって現代日本にそのまま通じるものでもないし,財政赤字を通じた将来の課税を考えるとすると,(何らかの形で)税を払わされる将来世代はこの選挙に「代表」を送り込めないわけで,いったいなんじゃらほい,といったところです.軽減税率については事務コストなどが高くて,それが故に3%での導入時点から断念してきたという経緯がありますし,導入している諸外国では止めたいという声もあるやに聞いております.軽減税率の対象となる品目は高所得者も購入してしまう関係上,軽減税率を入れると税収を確保するためには本則税率をあげねばならず,それでいいんかいなと思います.低所得者への配慮は所得税や給付で行えばいいだけのはなし.所得税をあげれば高所得者が逃げるかもしれませんが,低所得者への配慮のためには相続税や固定資産税(とくに土地保有税)を活用すればよく,とくに固定資産税については地方分権とかいってるわけですから地方政府が責任もってあげて,そのぶん補助金や交付金を総額では減らせばよいのではと思ったりします.「お上頼み」を止めるのはいいんですが,うっかり公務員の給料を下げたりすると,有為な人材が公的部門に来なくなるリスクもあります.
けーざいがく的には最適な公的債務の水準が実証的に決まるわけでもないので今の水準が高すぎるのかどうかははっきりとは言えないですが,中立命題が成り立ってなさそうな現状にかんがみれば(とくに「バローの」中立命題といわれるほう),赤字公債については「公正」とか「不道徳」とか日本ではあんまり言われないですけど(こちらを参照),けーざいがくしゃ的にはやっぱり減らしたほうがいいんじゃないかしらんと思います.
赤字の返済といえば,戦中に累増した公債はインフレで返されたと思ってたんですが,こんなこともやってたとは.税率90%の財産税とか,政府の負っている債務と同額での「戦時補償特別税」の課税とかですか.たしかに制度上は増税ですけど,国内債がほとんどであったところでもほとんどデフォルト(というか債務調整)だったのですなあ.
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