だからちがうんだってば.

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研究を深める5つの問い

2015-06-04 11:41:02 | 授業ネタ

副題が「科学の転換における研究者思考」ということで,おもに理系の研究者を念頭に,科学や科学者がなんとなく信頼されていた幸せな時代ではなくなったなかでどのように研究を進めていくかを考えるときに注意すべき点を挙げています.砂原くんが書いているように,「まあ要するに、環境が変わりつつある中で数人に評価される論文書いてるだけではダメだ、という話」で,ひとりの市民として視野を広げつつ研究をがんばっていきましょうということと,知るは楽しみなりという研究の本質というか初心というかを忘れないようにしましょうということでしょうか.

そりゃまあそうなんですが,研究分野や領域における個別の思考方法やスタイルをちゃんと身につけないと異分野の人と会ってもふらふらしてしまうだけなので,あんまり若手な人が読むのはどうなのかしらんとも思います.しかし,学術調査官とかやってると,理系のひとたちの行財政に対する考え方の素朴さというかなんというかを感じないこともなかったので,文部科学省や財務省を敵視するような発想から脱却するにはこういう本も必要なのかもしれません.経済学の論文の書き方の指南書(?)には,「イントロでは研究の意義をちゃんと書け」というのはわりとしつこく書いてあるわけだし.

それはそれとして,確かに新学術領域のような大型科研の審査や評価における「異文化融合」的な点の重視は,「後進の育成」と並んでなかなか素敵なところがあるので,そこらへんにむりくり振り回されないのはそれはそれで重要だと思います.まあかといって,振り回されなさすぎるのもまたどうかというところでもありますが.というか,経済学系のひとたちは(他の人社系は知りませんが),社会を対象とした学問をやってるわりに,プレゼンとかアウトリーチとかに総じて淡白なように思います.審議会やマスコミに出るのはそれはそれでいいと思うんですが,研究費使ったアウトリーチ活動って経済学でやってる人いるんですかね.啓蒙書とかが該当するのかしらん.