ちょっと前の話になるのですが,目黒駅前商店街で「目黒のさんま祭り」を開催中,というニュースがありまして,2009年で14回目ということで,そろそろ風物詩といってもいいんじゃないかというほど回数を重ねているようです.このイベントは,古典落語で有名な「目黒のさんま」にあやかった(?)ものでして,この落語のオチが「それはいかん,さんまは目黒に限る」というものなので,それはそれでいいようなよくないような.というのも,「さんまは目黒に限る」がオチになるのは,さんまが目黒ではおいしくなく,それを殿様は知らない,という事情によるものだからで,そうすると「目黒のさんま」は「あんまりよくないもの」とみなすべきものになるからです.だからといって,築地のさんまとか日本橋のさんまとか芝浜のさんまとかいわれてもありがたみがない(?)わけで,駅前活性化の一環ということで温かく見守るのがよいのではないであろうか,ということでしょうか.
と思っていたら,wikipedia先生には「実は目黒では新鮮なさんまが手に入った」などと書いてあってびっくり.そうなのか.そうすると「目黒のさんま」のオチはどうしてくれる,てなものです.
個人的には,字がきれいな女性と,魚をきれいに食べる女性は無条件で好きなのですが,それはそれとして(あ,無条件ではないか.ううむ),さんまについては「ワタがうまい」ということになっているらしくて,あの苦いのが苦手なワタクシとしてはあの風潮はどうにかならんのか,と思うのですが,だいたいそういう訴えは共感を呼ばないらしく,「あの美味さが分からないとはなんと風情のないことであろうか」と見下されるのがオチでして,あんまり大きな声では言えません.苦いのは人生だけで十分だと思うんですがね.
さんまは古来より高級魚とはみなされておらず,幸いにして昨今においてもやたら値が上がるということもなく,「おお,さんまがあるというのは聞いておりましたが((c)ちりとてちん)」と感動して食べるほどのこともないのはご同慶の至りというべきですが,定食屋以外ではなかなかお目にかかれないのは少しく残念.これもT方見聞録やTの雫などの創作料理の影響((c)イラサリマケ)ではないかと思ったり思わなかったり.談笑師匠はいいですね.