荒木時彦『NOTE 003』(2018年04月01日発行)
荒木時彦『NOTE 003』は薄い詩集だ。
この部分を何度も読み返してしまった。「コンビニエンスストア」という言い方に、妙に、力がある。「コンビニ」と省略しない。
この「省略しない」ことばが、そのあとのことばを動かしている。
「ゴミもその場で捨てられる上」というのは、食べることからみると「逸脱」である。なくてもいいことばだ。腹が減っているから食べる。食べても足りなかったら、また食べる、ということとは無関係である。
だが、無関係のはずの「ゴミ」と「捨てる」が、「効率が良く、便利だ。」へとしっかりとつながっていく。
たしかに家で食べれば、ゴミをどこに捨てるか(いつ捨てるか)という問題が起きてしまう。コンビニを利用すれば、そこには「ゴミ」を「捨てる」場所がある。即座にそれを利用できる。「効率が良く、便利だ。」
うーむ。
私は考え込んでしまう。
この詩集は、実は、
という一行ではじまっている。
実際、何が大切だったのだろうか。
食べることか、ゴミをその場で捨てることか。
主題(テーマ)は「食べる」ことにあるように見えるが、「生きる」ということはテーマだけ成り立っているのではない。何を食べるかよりも、食べるときに出る「ゴミ」をどうするか、いつ、どこへ捨てるかの方が、もしかすると荒木を悩ましているのかもしれない。
「食べる」を選びながら、どこかで「ゴミを捨てる」ということも選んでいる。
どんなことでも、ことばにしてしまうと、思いがけない動きをする。
*
「詩はどこにあるか」3月の詩の批評を一冊にまとめました。186ページ
詩はどこにあるか3月号注文
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ここをクリックして1750円(送料、別途250円)の表示の下の「製本のご注文はこちら」のボタンをクリックしてください。
目次
森口みや「コタローへ」2 池井昌樹『未知』4
石毛拓郎「藁のひかり」15 近藤久也「暮れに、はみ出る」、和田まさ子「主語をなくす」19
劉燕子「チベットの秘密」、松尾真由美「音と音との楔の機微」23
細田傳造『アジュモニの家』26 坂口簾『鈴と桔梗』30
今井義行『Meeting of The Soul (たましい、し、あわせ)』33 松岡政則「ありがとう」36
岩佐なを「のぞみ」、たかとう匡子「部屋の内外」39
今井義行への質問47 ことばを読む53
水木ユヤ「わたし」、山本純子「いいことがあったとき」56 菊池祐子『おんなうた』61
谷合吉重「火花」、原口哲也「鏡」63
*
谷川俊太郎『聴くと聞こえる』(下)68
オンデマンド形式です。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
*
以下の本もオンデマンドで発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料250円)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512
(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料450円)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
(3)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料250円)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com
荒木時彦『NOTE 003』は薄い詩集だ。
bは、仕事帰りにコンビニエンスストアのイート・インで晩御飯を食べることにしていた。ゴミもその場で捨てられる上、一度食べて足りなければ、また買い足して食べればよい。効率が良く、便利だ。
この部分を何度も読み返してしまった。「コンビニエンスストア」という言い方に、妙に、力がある。「コンビニ」と省略しない。
この「省略しない」ことばが、そのあとのことばを動かしている。
「ゴミもその場で捨てられる上」というのは、食べることからみると「逸脱」である。なくてもいいことばだ。腹が減っているから食べる。食べても足りなかったら、また食べる、ということとは無関係である。
だが、無関係のはずの「ゴミ」と「捨てる」が、「効率が良く、便利だ。」へとしっかりとつながっていく。
たしかに家で食べれば、ゴミをどこに捨てるか(いつ捨てるか)という問題が起きてしまう。コンビニを利用すれば、そこには「ゴミ」を「捨てる」場所がある。即座にそれを利用できる。「効率が良く、便利だ。」
うーむ。
私は考え込んでしまう。
この詩集は、実は、
何が大切だったのだろうか?
という一行ではじまっている。
実際、何が大切だったのだろうか。
食べることか、ゴミをその場で捨てることか。
主題(テーマ)は「食べる」ことにあるように見えるが、「生きる」ということはテーマだけ成り立っているのではない。何を食べるかよりも、食べるときに出る「ゴミ」をどうするか、いつ、どこへ捨てるかの方が、もしかすると荒木を悩ましているのかもしれない。
「食べる」を選びながら、どこかで「ゴミを捨てる」ということも選んでいる。
どんなことでも、ことばにしてしまうと、思いがけない動きをする。
*
「詩はどこにあるか」3月の詩の批評を一冊にまとめました。186ページ
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目次
森口みや「コタローへ」2 池井昌樹『未知』4
石毛拓郎「藁のひかり」15 近藤久也「暮れに、はみ出る」、和田まさ子「主語をなくす」19
劉燕子「チベットの秘密」、松尾真由美「音と音との楔の機微」23
細田傳造『アジュモニの家』26 坂口簾『鈴と桔梗』30
今井義行『Meeting of The Soul (たましい、し、あわせ)』33 松岡政則「ありがとう」36
岩佐なを「のぞみ」、たかとう匡子「部屋の内外」39
今井義行への質問47 ことばを読む53
水木ユヤ「わたし」、山本純子「いいことがあったとき」56 菊池祐子『おんなうた』61
谷合吉重「火花」、原口哲也「鏡」63
*
谷川俊太郎『聴くと聞こえる』(下)68
オンデマンド形式です。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
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以下の本もオンデマンドで発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料250円)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512
(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料450円)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
(3)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料250円)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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