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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

斎藤茂吉『万葉秀歌』(10)

2022-10-31 18:56:23 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(10)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

み吉野の山のあらしの寒けくにはたや今夜も我がひとり寝む        作者不詳

 いろいろなことを言っていない。欲張っていない。それが美しい。そのなかにあって「我がひとり寝む」の「我が」が印象的。「我が」はなくても意味は同じだが、「我が」があることで「ひとり」が強調される。

うらさぶる情さまねしひさかたの天の時雨の流らふ見れば          長田王

 「み吉野の」に雰囲気が似ている。とても素朴。いまの「短歌」はいろいろなことを一首にこめすぎているかもしれない。

秋山の樹の下がくり逝く水の吾こそ益さめ御思よりは            鏡王女

 結句に「御思よりは」と出てくるが、これは主語ではない。主語は「吾が思ひ」。でも「思ひ」を隠して「吾」とだけ言っている。隠されていた「思ひ」が結句で重なり合う感じが、ひそかでいいなあ。隠れていたものが、すーっとあわれてきて、寄り添う感じ。「樹の下がくり」とは、そういうことか、と納得する。

 

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