15年とは思えない熟成感を感じます。樽のニュアンスも強く感じられ、チョコレートや葉巻の芳香が。味わいあくまで柔らかく、見た目ほどのオイリーさはありません。ややタンニンを感じますが、メロウな後口で気になりません。その昔のニッカの資料を見ると、この宮城峡蒸留所をローランドと位置づけていますが、飲んでみると確かに合点がいきます。
日本のウィスキーを味わうと、森、さらには朝もやでフィトンチッドの溢れた朝の森のイメージが浮かぶのですが、この宮城峡はさらにその奥の清流、つまりは”水”というものを強く感じます。もちろんそれらは壮大で人を寄せ付けない荒々しさではなく、盆栽や箱庭で自然の一部を小宇宙として切り取った日本人の感性に基づいた精緻さに由来するのではないでしょうか。