百瓶逸酒

我が家にある各種開封・未開封のお酒を記録するのが目的のブログです。
単なる自分の整理のためだけですが^^;

グレンロセス・1979

2010年09月02日 | スコッチ・シングルモルト



 本日のウィスキー。お馴染み不思議なボトル。こういうウィスキーにしては変わったボトルや、オフィシャルにも単独ヴィンテージにこだわるところは、やはりベリー・ブラザーズ&ラッドの影響大なのでしょうか。

 花や香水の爽やかな香りという印象だったロセスも、この79ヴィンテージでは幾分樽の影響が刻まれています。2002ボトリングですから、23年もたてばしょうがない面もあろうかと思いますが、後口がタニックなところがやや気になります。ただし香りは複雑で、若いロセスの一面的な香りに比べ、重層的でしかも重いハーモニーを奏でます。

 andrewsさんのテイスティング会に参加させてもらい、その際に開封したもの。他のヴィンテージと比較でき、大変有意義なテイスティングが出来ました。どちらかと言えば固有のハウススタイルが前面に出る銘柄と思っていましたが、良い意味で裏切られて、その多様性に驚きです。


ベンリアック13年・マデレンシス・フモサス

2010年08月26日 | スコッチ・シングルモルト


 本日のウィスキー。個人的に一番の注目蒸留所、ベンリアック。実に意欲的、と言うより挑発的な商品をリリースしてきてます。

 55ppmという、スペイサイドモルトとしては異常なヘビーピートの麦芽の原酒を、バーボンバレルで12年熟成、マデイラワインバレルで1年後熟という、本来わたしが好みとしない後付ものです。ラテン語の"フモサス"はスモーキーの意だそうですが、他にダークラム、トーニーポートなどのシリーズが出ています。

 スペイサイドにヘビーピートの組み合わせは、保守的な方から眉をひそめられそうですが、このシリーズは異なる要素の"融合"よりも、刻一刻と変わる"変化"を楽しむモルトと言えそうです。

 一瞬、飲むのをためらうようなスモーキーさ。近くにいた娘に、「キャンプの匂いだ」と言われたのもむべなるかな。暴風のようなスモーキーさが吹き荒れた後は、甘い蜜と花の香り、ハーブの爽やかさ。

 どのへんがマデイラか、もうひとつよく分からないのですが(そもそもマデイラを飲んだ記憶が無い)、いささかまとまりは欠けるものの、というより欠点が随所に見られ平均点は低いが、長所部分の傑出が面白いため、欠点がかすんで見えるモルトでした。ところで、13年って熟成はあんまり聞かないですね。

ブルイックラディ35年・ハートブラザーズ

2010年08月16日 | スコッチ・シングルモルト


 本日のウィスキー。ブナハーブンと同時に購入したハートブラザーズの35年。同じく1966年蒸留。

 こちらは44.5%で、色目は比較すれば薄め。ウッディさはさほどでもなく、控えめなピートとハーブ、というよりミントっぽさ。バランスのよさは断然こちらが優れていて、長熟アイラではなかなかの出来。

 全体に小ぶりな作りではあるものの、昔のモルトを味わうには手ごろなボトルでした。しかし、60年代は遠くなりにけり…


ブナハーブン35年・ハートブラザーズ

2010年08月12日 | スコッチ・シングルモルト

 本日のウィスキー。ハートブラザーズによるブナハーブン、1966年蒸留の35年ものです。

 カスクストレングスにして43.2%、素晴らしい赤褐色、というより浅田飴ニッキのような色あい。これがノンカラーリングであれば、その味わいは…。まさに予想通り、香りこそ蠱惑的なハチミツ、シナモン、ハーブ。しかし口に含むとこれがバシバシにタニック。アフターもシュンと終わってしまい残念。

 長く寝かせれば美味くなるというものではない見本のようなモルト。特にアイラの長熟は難しいものだと痛感。1966年ということで、トロピカル・フルーツ香を期待するものの、そういう要素は見当たらず、でした。

 購入当時は価格が1万円台前半だった記憶が。良い時代でした。

ザ・グレンリベット16年・ナデューラ

2010年08月10日 | スコッチ・シングルモルト


 本日のウィスキー。すっかり定番といってもおかしくないナデューラです。ゲール語で"ナチュラル"を意味するナデューラは、ファーストフィルバーボンカスクで16年熟成、ノン・チルでカスク・ストレングス。ボトル・バッチで度数が変わってきます。このボトルは"08/08 0808F"で57.6%

 昨今、ボトラー・オフィシャルに限らず、シングルモルトの付加価値=フィニッシュものなどの新機軸あるいは長期熟成、という発想しかないのかと、少々うんざりする感が否めなかったのですが、このリベットは刮目に値するものでした。

 最近のトレンドがなんらかの"付け足し"であったならば、この秀逸なモルトはまさしく"剥ぎ取り"。飲みやすい度数に調整されたリベットではなく、ネイキッドの状態で最大のポテンシャルを発揮する見事な原酒のチョイス。蒸留所の意気込みが伝わってくる感があります。花や蜜、ベリー系の果実、シリアルや若干の土の匂い。堂々とした一本です。度数の強さはありますが、最初はぜひストレートで飲んで欲しいモルトです。


コニッサーズ・チョイス・グレンユーリー・ロイヤル1976

2010年08月09日 | スコッチ・シングルモルト




 本日のウィスキー。過去のある時期、ロイヤルの名を冠した3種類を飲みたくて買った1本。この銘柄が一番マイナーでしょう。1976年蒸留の、2000年ボトリング。700mlの40%。

 ウィリアム4世より勅許を受けて"ROYAL"を冠してはいますが、いまや市場になかなか出回らない銘柄となってしまいました。楽天で銘柄の検索をしてみたら、高額な商品しか出てませんね。いや、驚きでした。昨今のボトリング事情にはすっかり疎くなってます。

 花の香りとミルキーさ、バタースカッチのようなコク。素朴な麦の味わいを残しつつ、特筆すべきは昨今ありがちな硫黄臭がなく、魅惑的な昔シェリー・モルト。さすがに70年代の生き残り。40度という一見モルト・マニアには敬遠される度数が、このボトルに限れば、ギリギリのほどの良さを保つ度数だったりしましす。あらためて"バランス"というものを考えさせられたモルトでした。

 


グレンモーレンジ・ソナルタPX

2010年08月07日 | スコッチ・シングルモルト


 今日のウィスキー。MHD モエ・ヘネシー・ディアジオになって以来、積極的マーケティング戦略が目立つモーレンジですが、今回のソナルタは個人的に"ツボ"なモルトでした。

 今まで飲んだPXフィニッシュは正直ピンとこない、言い換えればこちらの期待したフィニッシュになっていない感でいっぱい、という経験が多く、ちょっとネガティブな思いがあったのですが、このソナルタはこちらの思いを満たしてくれるという点では合格点です。

 やはり飲む側としたら、PXフィニッシュとくれば当然、トロリとした甘味とコク、レーズンの香りを期待するのですが、このソナルタはこれを十分、いや、やり過ぎなくらい感じさせてくれます。モーレンジを飲みたい、と思ってこれが出てきたら、そりゃあ仰天するでしょうが、わざわざPXモノをチョイスしてるんだからこれくらいやってくれなきゃ、を満たしてくれます。味と香りは想像通りというところ。

 開封直後は固くて、やがてフルーツが熟れだすように開いていきますが、開く前の一口が、昨今のサラリとしたモーレンジとは違い、昔の "ソフトだけど飲んでいると奥のほうで小石を噛んだようなカリッとしたドライ感" が感じられ、妙に懐かしさを感じました。

 


ベンリアック13年・マデレンシス・フサモス

2009年06月05日 | スコッチ・シングルモルト

 最近、個人的に最も注目している銘柄であり蒸留所。ベーシックなものから、新機軸、長期熟成となんでもありのオールラウンダー。意気込みがひしひし伝わってきます。

 このベンリアックは13年熟成。うち12年はバーボンバレル、残り1年はマデイラワインバレルで後熟。エンリケス&エンリケス・ヴィニョス社のものを使用。しかし特筆すべきは使用麦芽のフェノール値。約55%、ということはオフィシャルのアードベッグやラフロイグ以上ということです。スーパー・ノヴァやオクトモアなどとんでもないものがリリースされてきてるため、異常に突出してる感はないのですが、スペイサイドのモルトとしてはやはり異色と言えるのではないでしょうか。

 開封してないので香りや味のコメントは出来ないのですが、ピート香のほかに、バニラやミントのニュアンスがあるようで、ひと昔前のモーレンジ・マデイラウッドフィニッシュの感じがあればいいな、と思ってます。

 しかし、マデイラ自体飲んだことってあったかな?


アードモア・オフィシャル

2009年04月24日 | スコッチ・シングルモルト

 本日のお酒。アードモ・ディスティラリーのオフィシャルリリースのボトルです。

 東ハイランドで最大級の蒸留所の一つの割りにあまりメジャー感を感じません。かといってサイレント・スチルではないので、「幻のモルト」的な希少感もありません。ボトラーでそこそこリリースされ、市場でもよく見かけますし。やはり、ほとんどがティーチャーズなどのブレンデッドに供給されてしまうのが要因なのでしょう。

 今回はそのアードモアからオフィシャルがリリース。「PEATED」と銘打ってますが、それほどのへヴィーピートではなく柔らかく、しなやか。シリアルやフルーツのスィートさが前に出てきて、ノンチルのせいかボディもそこそこふっくら、オイリーさこそそれほどでもありませんが、そのため軽快さも合わせ持って、飽きさせない多面性があります。

 46%でノンチル・フィルター、2008年のサンフランシスコ ワールド スピリッツ コンペティションでゴールド(ま、残念ながらダブルではありませんが)メダル獲得。悪くない、というより、結構美味いモルトで、価格は3千円台半ば。昨今の価格高騰モルトに比べたら、十分「買い」だと思いますが。

スプリングバンク11年・シグナトリー・アンチルフィルタードコレクション

2009年03月17日 | スコッチ・シングルモルト

 本日のお酒。少し古いシグナトリーのスプリングバンク。初期の赤文字ラベルです。

 1989年12月8日蒸留、2001年10月16日ボトリング。オークカスク、カスクナンバー501、345本中の318番です。度数は46%。この当時(2000年前後)はカスクストレングスより、加水してお手ごろ価格のモルトのリリースが比較的多く、このボトルも各種スプリングバンクの今の価格に比べて、非常にリーズナブルに購入したように覚えてます。

 色はレモン色、スプリングバンクの華やかな面が強調されたようなボトルで、思いの他、オイリーで骨太のタッチ。スパイシーさも感じられ、バラエティ豊かな味わいを感じます。フィニッシュはほどほど。

 この当時、こういうアンチルフィルターを前面に打ち出した商品が現れだし、寒い季節に澱が浮くのを楽しみに飲んでいました。加水したものとは言え、慎重に選んだ原酒に慎重に加水した優れた商品は、後々までも嬉しい邂逅の記憶として残ります。
昨今、加水なしのカスクストレングスではありながら、高価な値段とそれに見合う味わいであるかにおいて、いささか首をひねらざるを得ない商品に出会う機会が増えた気がするのは、果たして原酒不足やら、出せば売れてしまうゆえのボトラーの怠慢のせいなのやら。ま、わたしの気のせいなら一番いいのですが。