ちょっとうれしいことがあったのでパート2。
エミール・ガレのアネモネのボトルデザインも美しい特別なシャンパーニュ。
気品のある香りと、ただ辛いだけではなく円熟した円み。
素晴らしい、ただひたすら素晴らしい時間が流れました。
ときおりレストランで、ベルエポックの空き瓶でお水を供されるところがありますね。
気持はわかるのですが、なんとなく貧乏くさく感じるのはわたしだけですかねぇ…
ちょっとうれしいことがあったので、ひさしぶりのパレオ・ロッソ。
シガーの葉と黒系ベリーの豊潤な香り。きれいな丸い酸。
驚くほど若々しく、真価を発揮したのは飲み始めて2時間を経過しました。
やはり普段飲むワインとは位どりが違うところに存在する銘柄。
果たして次に飲める日は…
ひさびさにスパニッシュ。以前飲んだものに比べてリーズナブルなものですが、それにしてもスペインにしてはなかなかの価格。
コンセプトを打ち出したワインで、"Ars Romantica"は邦訳すると"ロマンティックな芸術"だそうです。他にも"Ars Mitica"(壮大な芸術)、"Ars Epica"(神話的芸術)、"Ars suprema"(究極の芸術)があって、それぞれにキャラクターを変えてある様子。
このロマンティカは、ティンタ・デル・パイスという品種でフレンチオーク14ヶ月熟成。見た目、飲み口はいかにもぼってりした濃い目のスパニッシュですが、よくあるスペインワインの垢抜けなさに比べ、しなやかなタンニンと柔らかな酸味がいかにもエレガントなワインにしています。ハーブの香りも好印象。全体に滑らかさがあり、いかにもロマンティック、ノクターンという印象でした。美味い。
最近は買うワインが南のものに集中。コスパもさることながら、実に気が合うというやつですな。
高級なシガーの葉、プラムを思わせる香り。口の中に花が開いたかと思わせる芳香。口当たりあくまで柔らかく滑らか。とても官能的。とってもとてもバランスが取れていて、大きな円を思わせる。綺麗な酸が、行き過ぎず全体を引き締め、静かな余韻が長く長く楽しめます。
いやー、ひさびさに美味いワインを堪能しました。感動ひとしお。
ブルネッロは使わず(秀逸なブルネッロ・ディ・モンタルチーノをつくっています)、カベルネ主体のIGT。
うっとりするほど魅力的、いや蠱惑的な香り。ブドウやベリー系よりも、もっと濃熟な果物を連想させます。非常にエロティック。しかし味わいにべったりしたいやらしさはなく、とても滑らかでのびのびとした味わい。余韻も長く、"飲んだ!"と実感する満足できるワインでした。
セパージュはサンジョベートにマルヴァジア・ネーラ。サンジョベートはサンジョベーゼのオリジナル・クローンです。ラベルの鳥はORTOLANO(ズアオホオジロ)。うちの裏の山で見かけるホオジロとは全く違っています。ヨーロッパ生息種のようです。また、ORTOLANOには果樹園の意もあるようです。意味深長。
ガーネット色に熟成した色合いから、かなり薄いタイプかと思いきや、後半(ボトル下部)に思いっきり強靭な部分が隠れてました。澱もすごい。タバコの葉の香り。色々な香りが複雑に絡み合ってますが、いずれもやや沈殿した感じ。若飲み好みのわたしとしては、ややピークを過ぎてしまったかな、という印象。
しかし、全体的に勢いもあり、ピッと尖る酸味にもあふれ、単にコテコテに濃いタイプのトスカーナに比べたら、随分綺麗に成熟したワインです。好みの差はあれ、なかなか上手な年月の経かたをしてます。
ここまで書いていて、なんとなく1993という年に記憶があると思ったら、アア、ナンテコッタ、ケッコンシタトシデハナイカ。今年の結婚記念日に開ければよかった…。
結婚した年に生まれたワイン。その成熟感と、我がことを思い比べ、もう一度深く唸ってしまう…。
このワインはトスカーナ、生産量の少ない、したがって銘柄も限定されたファットリーア・ディ・バニョーロのフラッグシップ、カプロ・ロッソ。年5,000本程度。その'01です。
濃醇なベリー系とバニラの甘い香り。熟成感もありながら、その腰の強い酒質が、まだまだ成熟の終了をはねのけている味わい。豪壮で重厚ながら、ほどよい酸味が軽やかさも引き出し、飲み疲れなく最後まで楽しめました。じーーーっと続くアフターフレーバーにココアのような香りと粉っぽさが。
アルト・アディジェなので、スマートでスタイリッシュなワインかと想像していたら、とてもどっしりと骨太な酒質でした。セパージュが土着品種ではなく、カベルネとメルローだったので、さもありなんというところでしょうが、タンニンも上質、酸味もたっぷりとしてくどさを押さえ込んでます。幾分未成熟な青臭さが気になるところ。
シンプルなラベルで、いかにもクール&スタイリッシュなイタリアンデザインですが、同じコルテレンツィオでも、"ラ・フォア"になると超インパクト。これ以降のヴィンテージは"ロッソ"表記が、"メルロー・カベルネ"に変わっています。
まずは画像がひどすぎ。どうもマクロがうまくいかない。これはスペイン、DOラマンチャのワインです。
協同組合と地元の生産者が作ったボデガス・カンポス・レアレスによるフラッグシップワインで、このボデガスのワインは某ワイン誌の旨安大賞にも選ばれてます。
接木無しの樹齢50~60年になる、フィロキセラ前のテンプラニーリョで作っているのですが、2500万本中、200万本の厳選されたブドウで仕込むよいう低収量。オーク熟成も、瓶熟もたっぷりとした手間ひまかかった一本です。
開栓して驚き。初めはおずおずと、次第に傍若無人に荒れ狂う香り。ベリー系のフルーティーさはもちろん、ハーブ、タバコ、皮の匂いが複雑に絡み合い、鼻腔の奥まで吹き荒れます。ひとまず強烈さが納まると、森閑とした静謐さが訪れ、なんともエレガンス。
03ではさすがに固く、濃厚で緻密ではあるもののパワーに押し切られる味わいも、時間とともに開き始めると、豪壮な佇まいと精緻な彫刻を施した豪奢な全容が見えてきます。なんともリッチなワイン。
ブラインドで飲んで、フランスの超高級ワインと言われても、至極納得してしまうような迫力。これがフランス産であれば価格は3倍は下らないはず。おそるべしスペイン(といっても決して安いワインではありませんが)。ひさびさに出くわしたモンスター級に脱帽。
ブレンドのベースになった"ラ・フォンテ・ディ・ピエトラルサ"はカベルネ主体、そのせいか、まだまだがっしりと固く、思った以上にマッチョボディでした。香り・味ともに非常に素直なため、ガシガシしたところを除けばすんなり飲み干せるボトル。そのため変化の過程での、ポテンシャルの開花を見る前に終了。また飲んでみたいものですが、生産量少なく、このVdTはエクストラボトルでもあるため、もう2度と飲む機会はないでしょう。
安く提供する為、量り売りをしていた02が売れ残ったため、03とブレンドしたというのが、このボトル。確かに他のボトルよりも廉価。というより、他の銘柄が結構いいお値段でして…