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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

【時空マジシャン】プリースト魔法

2006-12-06 16:58:22 | Weblog

こんにちは、Webcomic.tvサイトの管理人Shigです。
今日は先日読んだプリーストの小説『魔法』の感想をちょっと書きます。

その前に上の画の説明を少々。Webcomic【時空マジシャン】のネームの13ページ目です。
女忍者すずめの手下の動物達に取り囲まれてマジシャン・ブルー絶体絶命!
このシーンは1ページで1コマなので、何かちょっとプログラム的仕掛けが欲しい
ところですが...まだノー・アイディアです。

で、今日はプリースト魔法についてです。
Webcomic【時空マジシャン】の制作を始めてから、手品や魔術などを題材にした本を読むことが多いのですが、この魔法という小説もタイトルにひかれました。

この本の表紙を見ると原題はThe Glamour(ザ・グラマー)と書いてあるんですよね。
私はグラマーといえば女性のグラマラスな魅力を思いうかべるのですが、辞書で
調べると魔力という意味もあるんですねえ。
でもちょっと想像していた内容とは違うかも...と思いながら読み始めました。

そして読み終えた今の感想は...「う~む、そうですか...そのように終りますか
...なるほど、そうきましたか...う~ん」みたいな感じです。
読後の着地点をうまく見いだせなくて困ってる感じ、ですかね。

何か複雑な料理を食べて、こくや味の重層的なハーモニーは非常に感じるんですが美味いのかまずいのかよくわからないような...

爆弾テロのまきぞえを食った主人公がテロ前の数週間分の記憶を失い、それを取り戻そうと治療をうけたり催眠術で記憶喪失の期間に退行してみたりします。

その失われた記憶にはいったい何がかくされているのだろうか?
という具合に引き込まれていくのですが、その後話しはどちらに向っているのか、
作者・プリーストはいったい読者をどこへ連れて行こうとしているのかわからない
まま摩訶不思議な物語は展開していきます。

そしてそして最終シーン近くで予想外の展開に読者は衝撃を受けつつも魔法をかけられたように読了するわけです。

たしかに奇術的というか主人公と共に読者も魔法にかけられたように翻弄されて
作者がたくらんだとおりなのかもしれませんが、同時にこのトリックやテーマの
表現とひきかえに何か犠牲にしてませんか?と感じてしまうのですが...

私は主人公が恋人のスーザンを救いのない不可視の世界から救い出すことを期待していたのかもしれません。
だって今もスーザンと恋敵のナイオールはあの世界をさまよっているわけですよね。

巻末の解説で、プリーストの作品には『奇術師』という『魔法』より明快な作品が
あり、プリースト初心者には『奇術師』→『魔法』の順で読むことを薦めるとあった。
そうすべきだったかもしれません。

でも読後の着地点を見出せないにもかかわらず、このようにブログに感想を書きたくなるのはそれだけ深い作品なのでしょう。

そのうち再度読みたくなる予感。