里山を歩く
晩秋のある日、8時少し過ぎ小さな駅に着いた。
乗車客が一日100人ぐらいしかいない田舎駅。
この街の人口はおよそ2万人。
山間の小さな町は人口25000人をピークに少しづつ減少しているが
里山に開けた町が明るく活気のある町として息づいているのは、
焼き物の産地として観光客を呼び寄せる人気があるからだろう。
改札口を抜け、まずは、駅前のモニュメント、時計台をパチリ。
小さな駅舎を背中にして家並みを通り抜け、路地を抜け、林を迂回し、
田圃を縫うようにして進んで行く。
この道程が私は好きだ。
枯葉の匂いがするような風が頬を撫でて通りすぎていく。
静かなひと時に身をゆだねるのも良いが、
同じくらいに、
人の匂いや、生活の匂いがかすかに漂う、
初めての街並みや路地を歩いていくのもいい。
時々放し飼いの犬にであったり、道路を逃げるようにして横切り
民家の塀の隙間にスルリと侵入していく猫などを眺め、
かすかに聞こえてくる赤ちゃんの泣き声に、
若く美しいお母さんのあやす姿など連想しながら歩いていくのも
たのしいひと時だ。
(つれづれに…№131) (2022.12.05記)