千度呼べば 新川和江 ② なみだ
なみだ |
新川和江の詩には、
激しく立ち上がる女の愛が、ゆらめき、
情念の炎となって燃え上がっている。
十分に吟味された言葉の一つ一つは、
静かで語りかけるように優しい。寂しい。
だが、
人には見せない青白い情念の炎が
「愛」という女心の裏側で燃え上がっている。
想いこがれる心の裏に、女の切ない思いが「なみだ」となってあふれ出る。
ひとを思うことが、どんなに辛いことか
「夜ごと流すなみだは どこへ流れていくのでしょう」と、
不安とやるせなさを詠う。
とどかぬ思いに流すなみだを
なんの役にも立たないなみだだとなげく女
一途に流すなみだは
かなしいが美しい女のなみだだ。
(2018.7.24記) (ことの葉散歩道№42)