原発・残余のリスクとハインリッヒの法則
① 原発を取り巻く状況と残余のリスク
第5次エネルギー基本計画の原案によると、
政府が2030年度にめざす原発比率を20~22%とすること。
そのために必要な原発の稼働は約30基程度を稼働させる必要がある。
現時点では8基が稼働しているのみで、
はたして再稼働反対の国民の意志に反する再稼働の目標を達成することができるのか。
この基本計画原案では、
「原発への依存度を可能な限り低減させる」としながらも、
「重要なベースロード電源」と従来の基本計画と変わらない位置づけをしている。
プルサーマル発電や原発輸出も
「世界の原子力の安全向上や平和利用などに積極的な貢献を行う」として、
原発政策に積極的に取り組む姿勢を推進するようだ。
福島第一原発の事故の混乱を忘れたわけではあるまい。
拡散された放射能の恐れや不安は今なお被災者を苦しめ、
故郷さえフレコンバックの仮置き場として、
先の見えない原発政策の犠牲となっている。
原発の危険性を指摘されると、
「世界一厳しい原発規制」だからと、新原発神話をお題目のように言うが、
具体的に日本の原発規制を世界の規制と比較した説明を国民に明示したことはない。
残余のリスク
最高の科学技術ゃ頭脳を持ってしても、「完全なもの」など作れるわけはない。
二重、三重の安全セキュリティーを追求した原発でも、これを扱うのは生身の人間だ。
ヒューマンエラーという考え方がある。
安全を極めてなお、
事故は絶対に起こらないとは言い切れないことが、
原発事故ではよく起こる。
安全を極めてなお
残余のリスクを内包していることを忘れてはならない。
原発のような制御不可能なものは作ってはいけないのだ。
フクシマの悲劇を二度と起こしてはならないということが、教訓なのだ。
その教訓を生かすことができなければ、
かけがえのない命を奪われた人々や
故郷を失った人々に何と説明していいのか
私は分からない。
(つづく)
(2018.5.14) (風の行方№39)
次回は「ハインリッヒの法則」について述べます。
読者の皆さんにお詫び
①と②を間違えてアップしてしまいました。
①(残余のリスク)は後日アップします。
②は5/16にアップしています。