シャリのねぇ寿司なんぞ食えるかい 2017-11-14 19:00:00 | 昨日の風 今日の風 シャリのねぇ寿司なんぞ食えるかい 「食いねぇ食いねぇすし食いねぇ」「江戸っ子だってねえ」「神田の生まれよ」「あぉ そうかいすしくいねぇ」 ご存じ、遠州森の石松の「石松三十石船」の船中の台詞である。喧嘩っ早くて少々頭は足りないが、お人好しで憎めない隻眼の侠客、石松も墓石の下で苦笑いしているだろう。「シャリのねえ寿司なんて馬鹿々々しくて食えるかい」 静岡県・森町の大洞院にある「森の石松の墓」 糖質ダイエットが流行っているらしい。 徹底して糖質を取らないようにする。結果、ご飯や麺類は極力取らない。現に、糖質カットでダイエットに成功した有名人がテレビの健康場組で出演して映像と生身の身体でアッピールするからなおさらだ。こうした風潮を受けて外食産業や食品会社でも、「低糖質」、「糖質ゼロ」をうたう商品が増えてきた。「糖質ゼロのビール」、「糖質を抑えた面」など、具体例を挙げると、牛丼チェーン店では定食のライスを湯豆腐(夏は冷や豆腐)に変更できる。ファミリーレストランでは、糖質25%減の自家製麺を提供。そして、ついに出た。回転すしチェーン店。シャリなしの寿司。ネタのエビの下には厚さ5㍉、幅2㍉ほどの大根の酢漬け。寿司というより海鮮サラダのような食感だ。他に手巻きすし風の糖質カットをうたう約10種類を展開中だ。 「こちとら、生まれは江戸っ子だい。シャリのねえすしなんぞ食えるかい」「ダイエットですしのシャリが食えねぇ、というのなら、すし屋なんぞに行くな」牛丼屋で定食のご飯の代わりに、湯豆腐でも食うがいい。ファミレスで低糖質の自家製麺を食い、糖質ゼロのビールを飲めばいい。「すしは日本の文化だい」ご飯ものを減らしたからといって、おかずをもう一皿なんてことをやっていれば、本末転倒だ。糖質の摂りすぎも大切だが、日本人の食生活で最もリスクの高いのは塩分です。塩分の摂りすぎは、ガンや脳卒中など命にかかわるリスクが高くなります。最後に声を大にして言いたい。ダイエットのためにすしのシャリが食えなかったら、すし屋なんぞに行くな。すしネタはシャリのほんのりとした甘み味とわずかに加えられた「酢」の味によって何倍も引き立つのだ。 (2017.11.14記) (昨日の風 今日の風№80)