オヤジ達の白球(44)千両役者登場
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/76/5f9312ac43d8e35f5e4ad94985ba8608.jpg)
「ようやく場面が整った。ということは次は俺の出番だな」
岡崎がバントを決めて一塁にゆうゆうセーフになる。
それを見届けた柊が「つぎは俺の番だ」と、バットを握りベンチから立ち上がる。
「ベンチの諸君。お前さんたちの出番は、もう来ないぞ。
俺が、ここで代打サヨナラホームランを打つ。
今夜のヒーロはこの俺だ。
岡崎と俺がグランドを一周してくれば、この試合はそれでジ・エンドになる」
「柊。大口をたたいたな。
いいのか。公務員がホームランを打つなどと大風呂敷をひろげても。
公約が達成できなかったときは、どう責任とるつもりだ?」
「神に誓う。俺は絶対に失敗しない!。
見てろ。あの投手から、超特大のホームランを打ってやるから」
「たしかにおまえは大学時代、ホームランバッターだった。と聞いている。
だがいまは、50歳まじかのジジィだぜ。
ホールランを打つ体力が、いまだに残っているのかょ?」
「選手を信頼しないとはまったくもって失礼な監督だな。祐介、おまえってやつも。
芯を喰えばいまでも300ヤードはかるく飛ぶ」
「300ヤード?・・・それはゴルフの話だろ。
無理するな。振り過ぎて腰を痛めたら、みんなの笑いものになるぞ」
祐介の苦笑を背中で受けながら、柊がベンチから出ていく。
バットをおおきく振り回したあと「代打、俺。県庁の総合土木職、所長の柊です!」
と勝手に代打を告げる。
「柊?。柊という苗字はめずらしいのう。
もしかすると大学選手権で、3連続ホールランを打ったあの伝説の柊か!」
3塁で塁審をつとめている事務局長が、目を細める。
柊というめずらしい名前を聞いて、遠い昔の記憶を思い出したようだ。
バッターボックスの柊へ声をかける。
「はい。いまから30年前の話です。
たしかに選手権の文部大臣杯で、3連続ホームランを打った柊洋一です」
「おおっ。やっぱりのう。よく覚えておるぞ。
懐かしいのう~。あのとき球審をしていたのは、このワシじゃ。
凄かったのう。3発連続で場外へ消えていったあの超特大のホームランは」
「ずいぶん昔のことですが、覚えておられたとは光栄の至りです」
ドランカーズのベンチが、にわかに騒がしくなる。
「聞いたかいまの話。どうやら予告ホームランも、まったくの眉唾ではなさそうだ」
熱い視線が柊の背中へ集まっていく。
(なるほど。そういうことか。どうりでいまでもドライバーが300ヤード飛ぶはずだ)
祐介がニヤリと笑う。
30年前の伝説のホームランバッターの登場に、球場内に緊張がはしる。
消防のマウンドを守っているのはAクラスで、3本指に入る好投手。
もっとも得意な球が、打者の手元でおおきく浮き上がるライズボール。
ソフトボール独特のこの変化球に、絶対的な自信をもっている。
しかし今日は、この決め球を一球も投げていない。
できたばかりの素人チームを相手に、決め球のライズボールを投げる必要はないだろう、
と最初から決めてきた。
しかしにわかに展開が変わって来た。
捕手が柊への1球目に、ライズボールを投げろと要求を出す。
(今日はじめてのライズボールの要求か・・・
いいだろう。相手は30年前のホームランバッターだ。
そのおっさんが、どんなもんだか、いまの力を見せてもらおうじゃないか)
ソフトで一番有名な球種が、ライズボール。
下から浮きあがってくる変化球だ。
魔球ではあるが打たれるとよく飛ぶ、という危険な球でもある。
野球のスライダーが、打たれると良く飛ぶ事と同じだ。
独特の変化で空振りを取りやすい反面、強打者を相手にライズボールを投げるのは
危険すぎる側面もある。
(おっさんがどんなものか、全球、ライズボールで勝負してやろうじゃないか。
いいか。気を抜くなよ。全力でライズボールを投げてこい!)
キャッチャーが、ポンポンとミットを鳴らす。
(45)へつづく
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「ようやく場面が整った。ということは次は俺の出番だな」
岡崎がバントを決めて一塁にゆうゆうセーフになる。
それを見届けた柊が「つぎは俺の番だ」と、バットを握りベンチから立ち上がる。
「ベンチの諸君。お前さんたちの出番は、もう来ないぞ。
俺が、ここで代打サヨナラホームランを打つ。
今夜のヒーロはこの俺だ。
岡崎と俺がグランドを一周してくれば、この試合はそれでジ・エンドになる」
「柊。大口をたたいたな。
いいのか。公務員がホームランを打つなどと大風呂敷をひろげても。
公約が達成できなかったときは、どう責任とるつもりだ?」
「神に誓う。俺は絶対に失敗しない!。
見てろ。あの投手から、超特大のホームランを打ってやるから」
「たしかにおまえは大学時代、ホームランバッターだった。と聞いている。
だがいまは、50歳まじかのジジィだぜ。
ホールランを打つ体力が、いまだに残っているのかょ?」
「選手を信頼しないとはまったくもって失礼な監督だな。祐介、おまえってやつも。
芯を喰えばいまでも300ヤードはかるく飛ぶ」
「300ヤード?・・・それはゴルフの話だろ。
無理するな。振り過ぎて腰を痛めたら、みんなの笑いものになるぞ」
祐介の苦笑を背中で受けながら、柊がベンチから出ていく。
バットをおおきく振り回したあと「代打、俺。県庁の総合土木職、所長の柊です!」
と勝手に代打を告げる。
「柊?。柊という苗字はめずらしいのう。
もしかすると大学選手権で、3連続ホールランを打ったあの伝説の柊か!」
3塁で塁審をつとめている事務局長が、目を細める。
柊というめずらしい名前を聞いて、遠い昔の記憶を思い出したようだ。
バッターボックスの柊へ声をかける。
「はい。いまから30年前の話です。
たしかに選手権の文部大臣杯で、3連続ホームランを打った柊洋一です」
「おおっ。やっぱりのう。よく覚えておるぞ。
懐かしいのう~。あのとき球審をしていたのは、このワシじゃ。
凄かったのう。3発連続で場外へ消えていったあの超特大のホームランは」
「ずいぶん昔のことですが、覚えておられたとは光栄の至りです」
ドランカーズのベンチが、にわかに騒がしくなる。
「聞いたかいまの話。どうやら予告ホームランも、まったくの眉唾ではなさそうだ」
熱い視線が柊の背中へ集まっていく。
(なるほど。そういうことか。どうりでいまでもドライバーが300ヤード飛ぶはずだ)
祐介がニヤリと笑う。
30年前の伝説のホームランバッターの登場に、球場内に緊張がはしる。
消防のマウンドを守っているのはAクラスで、3本指に入る好投手。
もっとも得意な球が、打者の手元でおおきく浮き上がるライズボール。
ソフトボール独特のこの変化球に、絶対的な自信をもっている。
しかし今日は、この決め球を一球も投げていない。
できたばかりの素人チームを相手に、決め球のライズボールを投げる必要はないだろう、
と最初から決めてきた。
しかしにわかに展開が変わって来た。
捕手が柊への1球目に、ライズボールを投げろと要求を出す。
(今日はじめてのライズボールの要求か・・・
いいだろう。相手は30年前のホームランバッターだ。
そのおっさんが、どんなもんだか、いまの力を見せてもらおうじゃないか)
ソフトで一番有名な球種が、ライズボール。
下から浮きあがってくる変化球だ。
魔球ではあるが打たれるとよく飛ぶ、という危険な球でもある。
野球のスライダーが、打たれると良く飛ぶ事と同じだ。
独特の変化で空振りを取りやすい反面、強打者を相手にライズボールを投げるのは
危険すぎる側面もある。
(おっさんがどんなものか、全球、ライズボールで勝負してやろうじゃないか。
いいか。気を抜くなよ。全力でライズボールを投げてこい!)
キャッチャーが、ポンポンとミットを鳴らす。
(45)へつづく
終りです、ビニールハウスのビニール
も全部外されて、アバラのような骨組み
だけがむき出しです。
ホウレンソウが、出荷ですか??
先日のキュウリの土地は、暫くお休み?
となるわけですか?? 歳末も働かれる
野菜は・・ドンドン大きく成長しますから
今年は儲かって・・いい年でしたね
中身はホウレンソウとネギの2本立て。
ホウレンソウは20㌢ほどに成長しないと出荷できません。
ハウスで育てているとはいえ、連日の寒さです。
おもうように伸びないときは中断して
ネギの出荷に切り替えます。
こんな風な仕事が、来年の2月の末まで
えんえんとつづきます。
正月のお休みはありますが、群馬の農家に
冬休みはありません・・・