お待たせいたしました~
先週自宅開催のワイン会のご報告です。今回は、今年の試飲会で印象に残ったオーストラリアワインを中心に濃い赤ワインのあれこれを探ってみましたー
第25回三幸ワイン会 10月15日(水)午後7時より 自宅キッチンにて
今回のテーマは「南半球国の濃い~赤ワイン達」です
参加者さんからのプレゼントのブーケです 南半球国をイメージする色調で素敵です
まずは、イントロダクションから、
南半球に位置するワイン生産国(チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、南アフリカなど)とアメリカ(主にカリフォルニア)は、ワイン伝統国であるヨーロッパ諸国(フランス、イタリア、ドイツなど)に対し、19~20世紀頃から発展した生産国として「ニューワールドワイン」または「新世界ワイン」と呼ばれています。
一般的な味わいの特徴としては、温暖な気候により糖度の高いブドウから造られるアルコール度の高い凝縮感のある芳醇な味わいのものが多いです。
が、最近の傾向としては、単に濃くて肉厚なワインではなく、繊細さ、エレガントさ、洗練感といった伝統国の銘醸ワインに感じられる要素を取り入れ、品性の感じられる綺麗な造りへと移行しつつあります。
現に、チリ、オーストラリア中心に南半球国のワインはヨーロッパ市場でも大変人気があり輸出量も著しく伸びており、ヨーローッパを代表するフランス、イタリアもこれらの国に押され気味で、ワイン生産量も減少傾向にあります。
このような動きから伝統国、新世界の境界線は、次第に無くなりつつあるとも言えます。
新世界ワインの芳醇さとエレガントさの融合って まずは、味わって探ってみることが今回のテイスティングの第一の目的です。
次に今回のテイスティングワインは、すべてフランスの代表的な赤品種使用ですので、各々の品種特性を再確認することがもう一つの目的、ブラインドで当てっこクイズ形式で楽しみました
いきなり濃いワインは、体にキツイので、フルーツやパンを先にお出しして、胃の保護に
リンゴ、ラ・フランス、クルミ入りパン
では、まず濃厚なワインに入る前に、南半球国のピノ・ノワールをこれまでのワイン会で扱ったことがなかったので、ブルゴーニュの同じ価格帯のものと比較試飲して、その違いを感じとってもらいました。
写真左から
①<ブルゴーニュ>ドメーヌ・シャルル・フランソワ・エ・フィス・コート・ド・ボーヌ 2011
②<オーストラリア>デ・ボルトリ・ウインディピーク・ピノ・ノワール 2013
ピノ・ノワールは、赤い小さなベリーを連想させる風味で、酸味と柔らかいタンニンが調和したなめらかな味わいが一般的特徴です。
①、②ともに透明感のある淡い色調で、エレガントなワインという予想がつきますね。若干、②の方が黒味を帯びた濃いめの色調。香は、①が繊細なの対し、②の方が華やかに主張してくるボリューム感のある香です。
ピノ・ノワール共通の風味を持ち合わせながら、時間の経過とともに①は、地中のミネラルを感じるような複雑なニアンスが加味され、繊細ながら奥行きのある味わいへと変化していきます。②は、香のボリュームから想像通りのフレッシュベリー風味と樽由来のニアンスが調和した豊かさを感じますが、トータルで複雑というより親しみやすくわかりやすい印象。時間の経過とともに甘味もアップします。しかしながら、淡い色付きといい、このエレガントな味わいといい、さすがオーストラリア屈指のピノ・ノワールの産地として有名なヴィクトリア州・ヤラヴァレー産!
ピノ・ノワールの比較試飲のあとは、いよいよ今回の本題、濃い赤ワインのテイスティングです
上記のピノ・ノワールとは全く異なる色調、底が見えないくらい濃い黒味を帯びた紫色です。
フランス主要使用品種のメルロー、シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨンの3品種の特性を再確認するため、ブラインドで比較して頂きました。
グラス 左より、③、④、⑤です。
3つの中で③のグラスのエッジだけ茶色を帯びており熟成を思わせる色調で、その他はまだ鮮やかな色合い。
香では、共通するのは完熟ベリー、スパイス、甘いヴァニラ、シナモン、ココア等樽由来の香、③には潮のミネラル、海藻などを連想する独特の香、④には、青っぽい植物的な香やミント香、⑤には、やはりミント香、さらにタバコの様な乾いた葉のニアンスが加わります。
味わいは、③と④で細やかなタンニンが感じられますが、③、④ともに時間の経過とともに柔らく変化します。それでも、やはり④の方が、タンニンがより豊かに感じられます。
③、④に比べ、⑤は、タンニンは柔らかでアフターに適度な酸味が感じられます。味わいの印象も③、④よりシンプルでなめらか、一貫してタンニンよりもスパイシー感がアクセントになっています。
さてさて、ブラインドでどれがどの品種か タンニンの豊かさや青っぽい香から④のカベルネSは大方皆さん正解!
あとの二つ、メルローとシラーズで皆さん大変迷われました。特に今回は濃厚なだけに探りにくかったかもしれません。
少しヒントをお出ししました。
まずこの中で一つだけオーストリア産ではなく南アフリカ産のメルローがあること、オーストラリアワインには、特有のミント香(畑周辺にコアラの食べるユーカリが生息していることが多いためその香がワインの香に影響する)が感じ取れるなど。
では、ワインをオープンにして、
写真左より、
③<南アフリカ>ボーランド・セラー・メルロー・リセルヴァ 2008
④<オーストラリア>ウインズ・クナワラ・エステート・カベルネ・ソーヴィニヨン 2011
⑤<オーストラリア>プランタジェネット・シラーズ 2012
セレクトワインについて補足しますと、
④、⑤は、Japan Women’s Award SAKURA 2014というワイン関連の女性のエキスパート達がブラインドテイスティングをして、優れたアイテムを選ぶイベントにおいて、それぞれWゴールド賞、ゴールド賞を受賞したアイテムで、私が試飲会にて大変印象に残ったものです。
④においては、受賞ヴィンテージと同じアイテム、ウインズは南オーストラリア州クナワラに位置しておりますが、ここはブドウの成熟期における気温が統計的にボルドーと酷似していることや赤土テラロッサがカベルネSの生育に適しているとされ、カベルネSで有名な生産地です。
⑤は、西オーストラリア州グレートサザンが生産地、冷涼気候で高級ワインの産地として有名です。西オーストラリア州のワイン生産量は、全体のわずか2%ほどですが、今プレミアムクラスではたいへん注目されている生産地です。SAKURAゴールド受賞ヴィンテージは2010年のもので、今回テイスティングの2012年よりももう少し落ち着いた感じが致しましたが、ヴィンテージが切り替わりゲットできずに残念でした。
④、⑤ともに、オーストラリア特有のミント香も控えめで濃いながらも、また様々な要素を感じながらもトータルで落ち着いたニアンスが感じられました。これがシックなボルドーに通じるニアンスかなぁと、個人的には感じましたが。皆さんはどう思われたでしょうか?
⑤シラーズも若いヴィンテージながら、フレッシュな果実ベースの中にちょっとタバコのような熟成ワインに通じる乾いたニアンスもあり、また冷涼地らしいアフターの酸味が支えとなり、もう少し熟成が進むと綺麗な味わいになる予感!2010年ヴィンテージを試飲した印象は、まさに抱擁力!単一品種のシンプル感はあるものの、お母さんのあったかい懐をイメージするゆったりとした印象でした。
③においては、メルローにしてはタンニンもしっかりめで、ただ濃いのではなく奥行のある深さを持ち合わせ、飲み応えのあるパワフルな味わいでした。また、リゼルヴァクラスで2008年と他の2アイエムより熟成が進んでいる分、ほんのり熟成による複雑感も感じ取れました。南アフリカのワイン生産地は海から近いところが多いからでしょうか、潮のミネラル、海藻、昆布などを連想させる香(これが強いとゴムやバンドエイドのような、でもネガティブではない香)が感じられます。こちらのワイナリーは、過去8年で104個の金賞受賞歴を誇る優良ワイナリーです。
自然保護の意識の高い南アフリカでは、ワイン生産においても、低農薬、酸化防止剤の少量使用など地球環境にやさしいブドウ栽培、ワイン醸造を国を挙げて取り組んでおります。ワイン瓶の首のあたりに蝶をモチーフにしたシールが貼られているものが多いのですが、これが自然保護を尊重する国の厳しい基準をクリアして造られワインであることをことを証明するものです。
ちょっと、説明が長くなりましたね、
さて、これから懇親会に突入です 懇親会の模様は次のブログでご報告いたしますね~